[写真]=Getty Images
DAZNとパートナーメディアで構成する『DAZN Jリーグ推進委員会』が、2021シーズンの明治安田生命Jリーグを盛り上げるための特別企画を始動する。王者・川崎フロンターレの谷口彰悟と小林悠が“神奈川ダービー”に向けた意気込みを語ってくれた。
取材・文=林遼平
今季を占う“神奈川ダービー”は「全力でぶつからないと」
――開幕戦は横浜F・マリノスとの“神奈川ダービー”になります。横浜FMの印象、過去に覚えている試合はありますか?
小林 悠(以下、小林)
「2019年にボコられた記憶が……」
谷口 彰悟(以下、谷口)
「ホームですよね。1-4だったと思いますけど、あの試合はたしかに印象が強い」
小林
「衝撃だったな。あんなにやられた試合はあまりなかった。すごく縦に早くて、ディフェンスラインもすごく高くコンパクトだったけど、背後への対応もほぼ完璧だった。攻撃も守備もやられたなと。こっちは攻撃もうまくできないし、失点も重ねる。強いなと感じましたね」
谷口
「めちゃめちゃ思いました。これは強いなと」
小林
「プロに入って一番感じたかもしれない」
谷口
「そうかも。『すごい、やばいぞ』という気持ちになりましたね。相手の優勝への気持ちをすごく感じたし、それくらい圧迫感を感じるゲームでした」
小林
「だからこそ、昨年はその悔しさをぶつけられた。ただ、今年はマリノスの方が同じような気持ちで自分たちにぶつかってくると思うし、そういうところを考えても気持ちの面で上回らないといけない」
谷口
「本当に一昨年の試合はやられたという感情があって、絶対に負けたくない、逆にやり返してやるという気持ちを持っていたので、昨年はホームとアウェイの両方で勝つことができた。ただ、やっていて思ったのはマリノス強いなと。そんなに余裕な感じではなかったので、今年も全力でぶつかっていかないといけないと思います」
――マリノスの警戒すべき選手は?
小林
「マルコス・ジュニオール選手?」
谷口
「たしかに。基本的にマルコス選手が攻撃に絡んでいますよね」
小林
「見ていると本当にいい位置でボールを受けて、それだけでなく決定的な仕事ができる。アシストもだけど、ちゃんとゴールも奪えるのは脅威だと思う。あそこを自由にやらせるとうちは難しい」
谷口
「ポジション取りがすごく上手なんですよ。なかなか捕まらない位置に行ってボールを受けるのがうまい選手。常にどこにいるかを見ておかないといけないし、誰がつくのかを把握しないと一瞬の隙で得点を取ってくる。前の3人は誰が出ても脅威だけど、その一個後ろに隠れながら常に狙っているイメージがありますね」
小林
「あと、守備の選手だと畠中槙之輔選手とチアゴ・マルチンス選手。Jリーグの中でもトップレベルのセンターバックだと思う。スピードがあるので、なかなか一本のパスで背後を取るのは難しいかなと。だからこそ、サイドから崩していければ理想的なのかなと思います」
――川崎のキーマンとなりそうな選手は?
小林
「(三笘)薫じゃない?」
谷口
「たしかにな〜」
小林
「昨年はホームもアウェイもあいつが得点取っているし」
谷口
「向こうは嫌なイメージがあるでしょうね。そうなると薫かな」
小林
「いや、もう昨年は言うことなかったもんね。淡々とやっていたし、一喜一憂もしない。あんな活躍しても、何もなかったかのような……。ちょっと格好つけているところはあったけど(笑)。全然浮かれないし、1年目なのに凄いなと思ったな」
谷口
「点を取ることでより自信をつけていきましたよね。得点を取り出してプレーに余裕が出て、相手も点が取れる選手となって対応が変わってきた。そうなるとよりドリブルが生きてきたり。今年も数字にしっかりこだわってやってほしいですね。言わなくてもやってくれると思いますし、すごく頼もしくなった感じがします」
――三笘選手の凄みが伝わってきます。ちなみに彼の弱点とかはないんですか?
小林
「弱点は、結構ポンコツなところです」
谷口
「(笑)。天然なんですよね」
小林
「キャンプのバイキングで大皿にもずく酢をそのまま入れてたもんね。びしゃびしゃになってたから『なんで小皿に入れないの?』って注意してさ。『癖強っ!』って言ったら『これくらい大丈夫ですよ』と言ってたけど、次見たらあいつちゃんと小皿入れてたからね(笑)」
谷口
「ミスったと思ったんでしょうね(笑)」
小林
「あんなにお皿の種類あるのに、もずく酢そのまま入れる人いないでしょ」
谷口
「『それはないわ』と僕も言いました。そういうトリッキーなところが、逆に相手にとってはプレーが読めないんだろうな」
――(笑)。話を戻しまして、開幕戦の勝敗を分けるポイントはどこになると思いますか?
小林
「やはり得点のところですね。ゴールを先に決めて、早く追加点を奪う。それが本当に昨年の勝ちパターンだった。鬼さん(鬼木達監督)は今年も1試合3得点を目指すと言っているし、強気にそこは目指していきたいですね。
谷口
「お互い、攻撃力に自信のあるチーム。そのなかで得点を取るためには、ボールを持って攻撃しないことには始まらない。いかにマイボールの時間を増やすか、守備の時間にどれだけ圧力をかけられるか。その細かいところのやり合いを制した方が勝利に近づくかなと」
小林
「あと、個人としてはゴールを決めること。そこは自分の仕事だと思っているので」
谷口
「僕は失点をしないことですね。それは開幕戦だけでなく、今年1年間ずっとこだわってやっていかないといけない。あとは、得点を取るために強気にアグレッシブな守備をしていきたいです」
理想のヒーロー像は「母ちゃんかな(笑)」「兄ちゃんは常に一歩先を行く存在」
――今年のJリーグのキャッチフレーズは、「2021のヒーローになれ」。二人にとってのヒーローを教えてください。
小林
「誰だろうな」
谷口
「難しいですね」
小林
「母ちゃんかな(笑)。小さい時は母子家庭だったので、俺と兄貴を女手一つで育ててくれて、俺にとってのヒーローでしたね。強い母でした。彰悟は?」
谷口
「ヒーローか……」
小林
「悟空じゃないの?」
谷口
「ガチなやつ(笑)」
小林
「仮面ライダーとか? 桜木花道?」
谷口
「僕は仮面ライダー好きでしたね。でも、そういうことじゃないんだよな」
小林
「そういうことなんじゃないの?(笑)」
谷口
「それなら、僕は兄貴かな」
小林
「へー」
谷口
「姉ちゃん、兄ちゃん、僕の3人兄弟で、僕は末っ子なんですけど、やっぱり兄ちゃんのやることはだいたい真似するじゃないですか。だから、何をするにしても兄ちゃんがやっていることと同じことをしていた。目標というか、兄ちゃんがサッカーやっているのを見に行ってサッカーがやりたくなったし、常に一歩先を行っている存在。困ったことがあったら助けてくれるし、考えたらヒーローという存在でしたね」
小林
「お前、兄ちゃんも格好いいの?」
谷口
「兄ちゃんが格好いいかどうかは言えないでしょ(笑)」
小林
「俺の兄ちゃんは小さい頃、太ってたから全然ヒーローじゃなかった」
一同
(爆笑)
小林
「多分、兄ちゃん格好いいよな。この感じで格好よくないわけないでしょ」
谷口
「普通な感じです(苦笑)」
小林
「やっぱりヒーローはみんなを救う、元気にするというのもあるし、一番は格好いいというところじゃない」
谷口
「格好いい、助けてくれる、頼りになる。そういうイメージですね」
――自分たちが子どもたちのヒーローとなるためには?
谷口
「僕のヒーローは助けてくれる、頼りになるイメージなので、サッカーで言えば最後の最後で体を張って守ったり、ピンチを救ったりするプレーを見せることが、そういうところに繋がってくるのかなと」
小林
「俺はやっぱりポジション的にゴールを決めること。小さい頃、サッカーを始めた時もゴールを決める人が一番格好いいと思っていた。キラキラ映るし、そういう風にチームが苦しい時にゴールを決めたり、チームを勝たせられる選手になりたいなと思います」
谷口
「うんうん」
小林
「やっぱり、子どもにヒーローと言われるのは一番嬉しいよね。子どもは素直ですし、そういう子どもたちに『ゴール格好よかったよ』と言われるのが、自分は一番サッカー選手で良かったなと感じる瞬間なので。そうなりたいなと思います」
谷口
「子どもたちに憧れられるのはこれ以上ないことですね。そういう選手でありたいし、そういうプレーを見せていきたいという思いはあります」
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