[写真]=兼子愼一郎、J.LEAGUE
■清水エスパルス 攻守両面で新加入選手が躍動。課題だった守備が強みに
【プラス材料】
監督が代わり、新加入選手が7人先発した中で開幕節に勝てたことは、チームのムードという意味で何よりの大きなプラス要素。しかも、それが勝率2割台と苦手にしてきた『県立カシマサッカースタジアム』での逆転勝ちということは、大きな自信につながっている。
最大の課題である守備面も、新加入組の力もあって安定感が一気に増し、失点はセットプレーからの1点のみ。GK権田修一のビッグセーブもあり、J屈指と言われる鹿島アントラーズの強力2トップを抑えきった。メンバーを大きく入れ替えた水曜日のJリーグYBCルヴァンカップ・サンフレッチェ広島戦も無失点に抑え、守備は今やストロングポイントのひとつになりつつある。
また、新たな点取り屋FWチアゴ・サンタナが初の公式戦でいきなりゴールを決めたことも大きい。シュートも非常に技ありで、技術の高さや身体の強さを存分に証明した。
【マイナス材料】
鹿島戦で3得点したことは大きな収穫だったが、シュート数は7本と少なく、チャンスの数が多かったとは言えない。これまでのトレーニングで守備にばかり注力してきたわけではないが、攻撃の構築には守備よりも時間がかかっており、ルヴァンカップの広島戦もシュート6本で無得点に終わっている。そのため、アビスパ福岡が人数をかけて守備を固めてきた場合、そこを崩しきれるかどうかが不安材料となる。
また、鹿島戦も広島戦も相手にボールを回される時間が多くなっており、それが攻撃の時間や回数の少なさにもつながっていた。ボールを支配されて体力を消耗させられると、過密日程の中では不利な材料になってくるので、今季初のホームゲームでそこをどれだけ改善できるかが注目される。
文:totoONE編集部
■アビスパ福岡 最大の武器である堅守をJ1仕様にアップデートできるか
【プラス材料】
JリーグYBCルヴァンカップ第1節の北海道コンサドーレ札幌戦で2得点を挙げたことは好材料だ。
同点弾となった1点目はセットプレーによる得点だったが、セットプレーは今後も得点源にしたいアビスパ福岡の武器。J1開幕節の名古屋グランパス戦ではキッカーのDFエミル・サロモンソンが質の高いボールを供給し、ルヴァンカップではMF吉岡雅和の左足から身長192センチのDF三國ケネディエブスがゴールを奪った。ルヴァンカップの2点目も福岡のストロングポイントを出せたシーン。右サイドバックのDF湯澤聖人のクロスにFW城後寿がボレーで合わせた。リーグ戦とルヴァンカップで公式戦2連敗を喫しているが、2試合で3得点は悪くない。
サガン鳥栖から電撃加入し、2試合に途中出場しているMF金森健志の加入後初先発もあるか。
【マイナス材料】
直近の2試合で5失点は厳しい数字だ。5失点のうち3失点が前後半の開始15分以内、1失点が前半終了間際の失点と、得点が生まれやすい時間帯での集中力を高めたい。
また、ペナルティエリア内でのパスミスやGKとディフェンスラインの連係ミスといった失点につながる致命的なミスを避けたい。新加入選手が多く、過密日程で修正する時間が足りない中、選手間のコミュニケーションをどれだけ図れるかがカギとなる。
昨季はJ2最少失点(29失点)という堅守が武器だったが、J1は「相手選手のスピードやテクニックが(J2と)全然違って高いレベルにある」(長谷部茂利監督)。組織的なプレッシングをもう一段階高いレベルに引き上げる必要があるだろう。
文:新甫條利子