[写真]=兼子愼一郎
■サンフレッチェ広島 大敗したカップ戦のショックから立ち直れているか
【プラス材料】
前節の大分トリニータ戦に勝利して今季初の連勝を飾り、これでリーグ戦6試合負けなし。また、2019年10月19日の清水エスパルス戦以来となる逆転勝利でチームの士気も上がった。2年目の若手FW鮎川峻にもプロ初ゴールが生まれ、大分の地で選手たちは歓喜した。
特に大きいのは、FWジュニオール・サントスがチーム戦術を少しずつ理解し始めていること。大分戦の逆転弾は彼が前線から相手を二度追いしたことでチーム全体の守備のスイッチが入り、結果としてDF今津佑太のインターセプトからMF川辺駿の得点へとつながった。
J・サントスの奮闘もあり、チームはコンセプトである「相手陣内でのフットボール」を敢行。ボール支配率は56パーセントに到達し、昨季は一度もできなかったボール支配率55パーセント超えでの勝利もつかんだ。城福浩監督の狙いとするサッカーが少しずつではあるが、形になりつつあると実感している。
【マイナス材料】
JリーグYBCルヴァンカップ第2節の横浜F・マリノス戦に0-5で完敗し、上げ潮ムードに水をかけられた。サンフレッチェ広島の新システムの穴を突き、幅を取ったサッカーを表現した横浜FMの攻撃を止めることができなかった。
今季は完封試合が第5節の清水戦の1試合しかなく、相手の攻撃に我慢しきれずに失点してしまうシーンが続いているが、それはある意味で必然。昨季とはシステムが変わり、守備の組織も変わっている。組織が有機的に機能するまで、どうしても時間がかかってしまうのは否めない。
その守備のキーマンというべきDF佐々木翔が日本代表合宿で足に違和感を感じ、モンゴル戦前のトレーニングを休んだという情報もある。もし、彼が負傷離脱するようであれば広島にとって大きな痛手。DF荒木隼人やDF野上結貴、今津やDF井林章といったセンターバック陣のさらなる奮戦が必要となる。
文:紫熊倶楽部 中野和也
■ガンバ大阪 試合勘の欠如は致し方なし。気持ちの面で相手を上回りたい
【プラス材料】
チーム内で新型コロナウイルス感染者が複数名出たことによる活動自粛を経て、3月23日から活動を再開した。今節は活動再開後、初の公式戦となる。再開日の練習後の宮本恒靖監督によれば「昨年の連戦の厳しい戦いを思い出させつつも、コンディションの良し悪しを見極めて試合に臨むメンバーを決めていきたい」とのこと。
3月31日にはACLの日程変更に伴うリーグ戦の日程変更が発表されたが、いずれにせよ今後はチームの総合力が問われる戦いが続く。
だからこそ「1試合1試合、個人のコンディションやチームとしてのゲーム感が大事になる。ゲームの中でそれらを合わせながら、より一層コミュニケーションを取ってやっていきたい」とDF三浦弦太キャプテン。“逆風”を結束力に変えるためにも、まずは今季初白星をつかみたい。
【マイナス材料】
サンフレッチェ広島がすでにリーグ戦6試合を戦っているのに対し、ガンバ大阪は2月27日に行われたヴィッセル神戸との開幕戦以来で、これが2試合目。公式戦でなければ高められない部分もあるだけに、試合勘がどのくらい高まっているのかは心配だ。
ただ、試合に飢えている状況は、改めてサッカーに対する欲や選手個々の士気を高め、雰囲気を良いものに変えているとも聞く。それをチーム一丸となって、ピッチの上で表現できるかだろう。
気になるのは、神戸戦(0●1)でも課題として残った“得点”の部分。相手陣内に深く切り込んだ先で、いかに決定的なチャンスにつなげるのか、そこで決めきれるのかは今回もポイントになりそうだ。リーグ戦での対決はここ3試合負けなしと、相性の良い広島から今季初白星につながる“得点”を期待したい。
文:totoONE編集部