[写真]=兼子愼一郎、宮地輝
■名古屋グランパス 鉄壁の守備でリーグ記録を更新。指揮官の鳥栖対策にも注目
【プラス材料】
2つの引き分けを挟んで再び連勝を始めたチームは、連続無失点試合でついにJ1の歴代トップに躍り出た。無失点時間についても同様にリーグ記録を更新する存在となったことで、とりわけ守備陣は「やられる気がしない」(GKランゲラック)と無類の自信を携えて試合に臨めている。
今節の相手はスタイルこそ違えど堅守とチームの一体感という似た特徴を持つサガン鳥栖だけに、真っ向勝負の印象も強い。一方で名古屋グランパスが鳥栖の特徴をどうやって消すのかという戦術的な面でも注目が集まる試合でもあり、DF丸山祐市を中心とした守備のオーガナイズの“鳥栖バージョン”は見ものだ。
攻守両面での貢献度の高さからか出場機会を増やしてきたFW齋藤学など、選手層の厚みを生かした起用法も、名古屋の鉄壁を楽しむひとつの要素。
【マイナス材料】
「1点取れば勝てる」という必勝パターンがメンタル的にも醸成されつつある今、だからこそ常なる課題になるのが得点力の確保だ。
不安要素は今のチーム状態においては明確には存在せず、勝率を上げるための要素をどれだけ高められるかというのが逆説的な不安要素。そのためにもFWのシュート数はもっと増やしたいところで、FW柿谷曜一朗とFW山﨑凌吾の両センターフォワードには時に独善的なフィニッシュワークが期待される。サイドアタッカーも重要な得点源だが、彼らがシュートを打つためにも“本職”の仕事は充実していて然るべき。
過密日程をうまく乗りきるためにも良い試合内容を結果に伴わせたく、一番の近道はゴールを取るべき人材が取ること。連勝中、上位争いの主役には贅沢な悩みがつきまとう。
文:今井雄一朗
■サガン鳥栖 期待集める若き2トップはリーグ最堅の盾に穴を開けられるか
【プラス材料】
水曜日に行われた第18節のガンバ大阪戦でホーム初失点を喫したサガン鳥栖。それでも、前線からのハイプレスで相手を苦しめるサッカーは健在だ。0-1で敗れた試合ではあったが、打たれたシュート数は鳥栖の半分以下で、好調は続いていると言っていい。
言い換えれば、主導権を握って鳥栖らしく戦えているので、中3日でのアウェイゲームといえども心配はないだろう。金明輝監督も試合後に「負ける時はいつもこういうパターン(中略)。相手のストロングポイントに屈した」と、下は向いていない。
中でも、センターバックのDFエドゥアルドが体を張って相手の最前線を抑えていることが効いている。DFファン・ソッコも経験を生かして高い位置で相手の起点を消し続けている。何よりも、最後尾のGK朴一圭からのコーチングが鳥栖の最強ポイントであろう。
【マイナス材料】
相手の倍以上のシュートを放ちながらノーゴールに終わったG大阪戦。第9節の横浜FC戦こそ3得点を挙げた攻撃陣ではあるが、直近5試合のうち4試合が無得点と、一時期の攻撃力を見せることができていない。
今節はリーグ最少失点の名古屋グランパスが相手。しかも、失点は開幕節のオウンゴールの1点のみで、その後は9試合連続無失点の堅守を誇るチームである。攻撃陣には、より一層の奮起を期待したい。
中でも2トップを組むであろうFW林大地とFW山下敬大は、ここまで全試合でピッチに立っているため、寄せる期待も大きくなる。堅守の名古屋から得点を奪うことで、勝ち点だけでなく、自信も得られるに違いない。若いだけに、自信をつけると今後の戦い方にも大きな影響を与えるだろう。上位対決なだけに目が離せない。
文:totoONE編集部