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新体制初陣で決勝ゴール…若きCB町田浩樹が常勝軍団・鹿島再建の担い手に

2021.04.19

徳島線で決勝ゴールを挙げた町田浩樹 [写真]=J.LEAGUE

「もう一度、強いアントラーズを取り戻す。さらに前に進んでいくために力になれればと思っています。僕自身、腹を決めて取り組んでいきます」

 2020年から1年3カ月指揮したザーゴ監督が成績不振で更迭されたのを受け、4月14日に後を引き継いだ相馬直樹新監督は、常勝軍団復活への強い決意と覚悟を口にした。

 その思いは選手たちにもしっかりと伝わったはず。最終ラインの統率役である犬飼智也も「ザーゴ監督には本当に申し訳ないです。でもここまでの結果はもう終わってしまったこと。今から勝つためにみんながやれることをやるだけ。練習から100%出し切るのが鹿島の強さの秘訣なので、言えることは遠慮なく言っていきます」と厳しさを押し出す意向を示した。

 犬飼とともにセンターバック(CB)のコンビを組む町田浩樹も重責を痛感した1人。ザーゴ監督就任後には出場機会が大幅に増え、守備陣の軸の1人となっていただけに、悔恨の念は強い。しかも、ジュニアユースからの生え抜きである彼は、小笠原満男や曽ヶ端準、内田篤人ら先人たちが堂々と勝ち続ける姿を目に焼き付けてきた。だからこそ「自分たちがその歴史を途切れさせてはいけない」という自覚はひと際、強かったに違いない。

 相馬体制初陣となった16日の徳島ヴォルティス戦ではそんな思いが強く出ていた。短期間で守備の修正を図って挑んだ鹿島は開始早々こそヒヤッとする場面を作られたものの、その後はゲームを支配した。キャプテン・三竿健斗が「コンパクトに守備ができていた分、ボールを取る時に残っているパワーがすごくあった」と語ったように、いい距離感を保ちながら守れた分、2度追い3度追いができ、そこから素早い攻めに転じるシーンも少なくなかった。

 そして何より大きかったのが、常勝軍団の基本哲学である球際でタフに戦っていた点。町田も「チーム状態がよくない中で、球際や走るところ、コンパクトに戦うことをしっかりやろうと。ある意味、鹿島の原点に戻ったというか、勝つことから逆算してプレーすることをみんなが明確に共有していた」と手応えを口にした。

 守備が安定し、失点をゼロに抑えれば、勝利の確率は一気に上がる。カウンターでもセットプレーでも1点を取れば、勝ち点3が手に入るからだ。鹿島はまさにそれを積み重ねることで強豪としての地位を築き上げたわけだが、この日の決勝点もセットプレーから生まれる結果となった。

 そのシーンは31分に訪れた。永戸勝也が左CKのチャンスを迎え、ゴール前に犬飼や三竿ら複数の選手が入り込む中、背番号28をつける190㎝の長身DFは一瞬のスキを見逃さなかった。中央のフリースペースに飛び込み、ジエゴとの競り合いに勝ってヘディングシュートを力強く叩き込んだのだ。

「相手はあんまり身長の高い選手がいなかったし、カツ君がいいボールをくれたので、本当に枠に飛ばすだけでした」と町田は値千金の決勝弾に対して至って冷静だった。というのも、「今日勝っても順位が飛躍的に上がるわけじゃない」という指揮官の厳しい言葉が脳裏に焼き付いていたからではないだろうか。

 今季3勝目は確かに嬉しいことだが、暫定順位は12位。クラブ創立30周年の今年、タイトル奪還という大目標を掲げている鹿島にしてみれば、現状はまだまだ許されるものではない。「まだ30試合残っているので、90ポイントある。何かを起こせないわけでは決してない」と相馬新監督も語気を強めたが、ここから快進撃を見せることで上位戦線に浮上できる可能性はある。それを現実にすることが、町田らピッチで戦う者たちに託された大命題なのだ。

 その原動力になることで、彼自身、東京五輪出場という道も開けてくるだろう。3月のU-24アルゼンチン代表2連戦に参戦し、29日の第2戦では好パフォーマンスを示した町田だが、CBは大激戦区と言っていい。すでにA代表のレギュラーに定着している冨安健洋を筆頭に、板倉滉、中山雄太、同じJ1で奮闘している渡辺剛、瀬古歩夢など候補者がズラリと並ぶ。

 加えて言うと、森保一監督はA代表キャプテンの吉田麻也をオーバーエージ枠で呼ぶことも本格的に考えている模様で、そうなればさらに一枠が減ってしまう。190㎝のレフティという強みを持つ町田と言えども、やはり壁が高いのは事実だ。

「海外組のメンバーは対人の強さもあるし、インテンシティや強度も高い。そこはいい刺激を受けました。それに1人1人しっかりとしたパーソナリティも持っている。そこは自分にはまだまだ足りないなと感じます」と代表活動直後に課題を口にしていた町田だが、監督交代という予期せぬアクシデントに直面した今こそ、そういった部分をより強く押し出すことが求められてくる。

 リーダーシップや統率の部分は特にそう。鹿島の最終ラインを担った秋田豊、岩政大樹、昌子源といったワールドカップに参戦した面々はいずれも凄まじい発信力とオーラがあった。そういう先人たちに追いつき追い越してこそ、常勝軍団のCBとして自他ともに認められる存在になれる。背負うものが多い分、プレッシャーも大きいだろうが、町田には貪欲に泥臭くその領域を目指してもらいたい。

 鹿島再建の担い手として、まずは確実に1つ1つの試合を戦い抜き、勝ち点を積み重ねていくこと。彼にはまずそこからスタートしてほしいものだ。

文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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