[写真]=宮地輝、金田慎平
■サンフレッチェ広島 首位チームと互角に渡り合うも、過密日程の影響は大きく
【プラス材料】
前節は首位を独走する川崎フロンターレを相手に魂のサッカーを見せつけ、1-1の引き分け。今季、『等々力陸上競技場』で勝ち点1を奪った初めてのチームとなった。
かなり崩されてしまったが、それでも最後の最後で体を張ってシュートブロックを繰り返し、やられてもやられても前からプレッシングにいくことを忘れなかった。また、前半はDFジェジエウに子供扱いされていたFWジュニオール・サントスが後半に覚醒。圧巻の突破力でジェジエウの壁を突き破ってチャンスを演出し、MF森島司の同点ゴールを導いた。
決して「表現したいサッカー」をやって勝ち点を取ったわけではないが、城福浩監督が就任して以降、ずっと大切にしていた「靴1足分の寄せ」をチームで体現。絶対に諦めない姿勢を見せたことは、今後の戦いに大きくつながっていくはずだ。
【マイナス材料】
17連戦の真っ只中、選手たちは疲労のピークに達している。水曜日に行われたJリーグYBCルヴァンカップ第3節のベガルタ仙台戦、後半に勝負を決めようと城福監督は主力選手たちを次々に起用した。しかし、中2日の連続と遠征帰り、そして何よりも強度の高かった第19節の名古屋戦グランパスと川崎F戦の影響のためか疲労が色濃く、ギアアップすることもできずに敗戦。コンディションがいかに重要か思い知らされた。
FWドウグラス・ヴィエイラやMF川辺駿、FW永井龍、MF土肥航大ら、戦える選手たちをケガで欠き、完全なターンオーバーも難しい。今節のアビスパ福岡戦も彼らにとっては中2日。心身に染み渡った疲労を取りきることも厳しいと想定される。ルヴァンカップの仙台戦でDF佐々木翔が復帰したのは好材料だが、負傷明けの彼を中2日で起用するのはリスクも高いだろう。
文:紫熊倶楽部 中野和也
■アビスパ福岡 期待の新戦力がいきなり躍動。少ないチャンスをものにできるか
【プラス材料】
公式戦で連勝中と勢いがある。何より第10節のFC東京戦と水曜日のJリーグYBCルヴァンカップ第3節のサガン鳥栖戦では、10人のメンバーを入れ替えたにもかかわらず、チームとしてのスタイルを共有して両試合とも1-0で勝利した。「チームのまとまりにつながる勝利になった」と長谷部茂利監督も手応えを口にする。
さらに合流が遅れていたMFジョルディ・クルークスがFC東京戦で公式戦初出場を果たし、ルヴァンカップの鳥栖戦では精度の高い左足で加入後初得点を挙げた。J・クルークスはベルギーの世代別代表でプレーした経験があり、「技術の高さ、体の強さはパーフェクト」と長谷部監督も絶賛。チーム戦術の理解度が高まれば、さらなる活躍が期待できる。
また、カメルーン人ストライカーのFWジョン・マリも合流済み。チームの勢いは加速するばかりだ。
【マイナス材料】
相手の攻撃の芽を潰し合うようなタフなゲーム展開が予想される。
チャンスが少ない中で得点を取れるかという点では、前節の川崎フロンターレ戦でシュート数5本で1得点を挙げたサンフレッチェ広島に分があるか。GKからゴールへのイメージを共有し、FWジュニオール・サントスの突破力を生かしながらチームで奪った得点だった。一方、アビスパ福岡はルヴァンカップの鳥栖戦で好機を作りながら、セットプレーの流れで奪った1得点にとどまっている。その試合後の会見で長谷部監督は「カウンターで得点を取れる場面もあり、ボールをつないで崩せる場面も作れたと思う」と反省点を述べた。
少ないチャンスで決定打を放てるかが勝負を分ける。
文:新甫條利子