[写真]=兼子愼一郎、清原茂樹
■柏レイソル 守備の安定が結果に結びつく。懸念は最終ラインの人材不足
【プラス材料】
第9節のガンバ大阪戦に続き、前節の大分トリニータ戦も1-0で勝ちきり、今季初の連勝を飾っている。結果の出ていない時期は簡単に得点を許し、そこでリズムが狂うケースが多かったが、この2試合では3バックシステムが機能したことで守備に安定感と粘り強さがよみがえった。
大分戦で決勝点を挙げたMF江坂任は、これが今季初得点。本人は「遅い初得点だった」と振り返るも、チームの司令塔に得点が生まれたことは攻撃の活性化を生む良いきっかけになりそうだ。
水曜日のJリーグYBCルヴァンカップ第3節の湘南ベルマーレ戦は、最後に同点に追いつかれて引き分けで終わった。ただ、経験の浅い若手選手を多く起用し、攻守両面において強度の高い試合ができたことはポジティブに捉えていいだろう。
【マイナス材料】
現在の大きなマイナス材料は、明らかな人材不足である。ケガ人を多く出しているうえ、先週は新型コロナウィルスの陽性判定を受けた選手がいたため、主力選手が軒並み戦列を離れるという非常事態に陥った。特に守備陣の不在は深刻で、大分戦で3バックを務めた選手のうち本職のセンターバックはDF上島拓巳ただひとり、DF川口尚紀とDF古賀太陽の本職はサイドバックという状況だ。しかも上島は大分戦の終盤に足を痛め、ルヴァンカップの湘南戦を回避。もし上島のケガが長引くようならば、最終ラインに本職のセンターバックが誰もいないという事態となってしまう。
今週は今季新加入の4人の外国籍選手全員がついに合流した。しかし、コンディションや試合勘に不安が残るため、実戦で起用するのはもうしばらく時間がかかるという。
文:鈴木潤
■徳島ヴォルティス 中2日での連戦も準備万全。西谷の復活が何よりのプラス材料
【プラス材料】
ダニエル・ポヤトス監督が合流し、JリーグYBCルヴァンカップを含めて3試合目の指揮となる。これまでのオンラインによる指導では練習翌日のフィードバックが中心だったが、合流できたことでリアルタイムの修正や指示が出せるようになった。それにより21日のルヴァンカップ第3節のヴィッセル神戸戦(1○0)で勝利できたように、戦術の浸透は加速し始めている。
ルヴァンカップの神戸戦から中2日だが、今節の柏レイソル戦に出場が予想される選手の多くはその試合でベンチ外となっていた。そのため、コンディションとしては好調だ。
また、昨季のJ2で8得点・7アシストのMF西谷和希が前節の鹿島アントラーズ戦(0●1)で今季初出場を果たし、ポジション争いの活性化とともに選手層の厚みも増した。同じく序盤戦はベンチ外だったMF杉森考起も出場機会を重ねながらコンディションが上向き傾向にある。
【マイナス材料】
ポヤトス監督の合流はメリットだが、合流から間もないという観点でピックアップすると、練習内容や試合に向けた準備で細々と変化が生まれている。それらに選手たちが慣れるまでには多少の時間が必要になるだろう。
次に失点内容について。鹿島戦もそうだが、セットプレー絡みの失点比率が非常に高い。ここまでリーグ戦11試合で11失点を許している。その数字自体は多くも少なくもない。しかしながら、その内訳を見ると、50パーセントを超える6失点(※1つのPK含む)がセットプレー絡みというのは気がかり。小柄な選手が多いだけに根本的な難しさはあるものの、何らかの対策が必要だ。
文:totoONE編集部