[写真]=兼子愼一郎、金田慎平
■ベガルタ仙台 首位チーム相手に見せたパフォーマンスを続けられるか
【プラス材料】
12日に行われた第20節の川崎フロンターレ戦に引き分けたことが、今のベガルタ仙台にとって最大のプラス材料だ。5日のJリーグYBCルヴァンカップ第5節の清水エスパルス戦、9日の前節の浦和レッズ戦と公式戦で連敗していたが、それを止めたこと。そして、昨季王者で今季も首位を独走する川崎F相手に追いついて引き分けたことは大きな自信となる。
この川崎F戦の引き分けを、先発メンバーを大きく入れ替えたうえで手にしたことも大きなプラス。連戦の疲れも考慮して、リーグ戦ではなかなか先発出場できなかった選手たちがスタートからピッチに立って結果を残した。チーム力の底上げにつながったことは、他の選手たちにとってもポジティブな刺激を与えることになる。特に、川崎F戦でゴールを決めたMF中原彰吾とFWマルティノスは調子を上げており、頼もしい要素だ。
【マイナス材料】
日程とそれに伴う疲労がマイナス要素だ。9日の浦和戦、12日に組まれた川崎F戦、そして今節のアビスパ福岡戦はいずれも中2日での連戦。仙台は4月17日の第10節の横浜FC戦から週2試合ペースの13連戦ともいえる日程で戦っており、その中盤戦で踏ん張りどころを迎えている。メンバーをうまく入れ替えて疲労を分散させ、この不安要素を払拭できるか。加えて、相手の福岡は約1週間のインターバルを置いて今節を迎える。これも仙台にとってマイナス点だ。
川崎F戦は引き分けたとはいえ、守備が不安定なことが気がかりだ。第12節の柏レイソル戦は無失点で勝利したものの、それからの公式戦3試合はいずれも複数失点。もう一度、守りを引き締めたいところだ。
文:totoONE編集部
■アビスパ福岡 クラブ初の偉業達成も慢心なし。選手層の充実も追い風に
【プラス材料】
クラブ史上初となるJ1での4連勝で勢いに乗るアビスパ福岡。しかし、チーム内に浮かれた様子はない。昨季もJ2で12連勝を達成しているが、その時も勝敗にかかわらず課題を明確にし、シーズンをとおして進化し続けて勝ち点を積み重ねてきた経験があるからだ。「ギリギリのところで失点を防ぎ、わずかな差で勝利に結びついているだけ」と、長谷部茂利監督の口からも連勝に浮かれた発言は出てこない。
前節の柏レイソル戦までの11連戦は、5勝4分2敗と勝ち星が上回った。コンディションが整わなかった選手が復帰し、新加入の外国籍選手の合流や若手の活躍と、連戦の中でもチームがさらに勢いづく好材料を得ている。「誰が出てもアビスパのサッカーを体現できるところが一番の強み」(MF吉岡雅和)だ。
【マイナス材料】
長谷部監督が課題として挙げるのが「攻守の連係面にまだ甘さがある」ことだ。守備から攻撃への切り替えの速さは福岡の特徴だが、ボールを奪った後の展開力にはミスも目立つ。ボランチのMF田邉草民は「相手に押し込まれて耐える時間も多いので、ボールを奪った後に2~3本のパスをつなげれば、疲労も回復して攻守につなげられる」と話す。この辺が「ギリギリのところで失点を防いでいる」と、長谷部監督が現状を見定める理由のひとつだろう。
ベガルタ仙台は中2日での連戦になるが、前回のホームゲームで今季初勝利を記録。12日には首位の川崎フロンターレを相手にドローと、調子は上向きだ。両チームとも手堅いゲーム展開が予想されるため「先制点がいつも以上に重要になってくる」(長谷部監督)。
文:新甫條利子