[写真]=J.LEAGUE、清原茂樹
■アビスパ福岡 速攻の切れ味は抜群。崩し方のバリエーションを増やしたい
【プラス材料】
九州勢初となるJ1での5連勝と絶好調。19日のJリーグYBCルヴァンカップ第6節ではリーグ戦3位のサガン鳥栖に4-1で圧勝し、その勢いを加速させている。今季公式戦で最多となる4得点に、長谷部茂利監督も「狙いとしている形から得点を奪うことができて、コーチやスタッフを含めて全員が一体となれる複数得点だった」とチームの一体感を強調した。
組織的な守備からのカウンターを主体に、相手のウィークポイントを分析してそこを突くというタスクを、ピッチ内外の選手やスタッフがしっかりと共有し、遂行できている点が好調の要因だ。
湘南ベルマーレについて「よく走り、コンビネーションがうまい。引き分けも多く、しっかりと勝ち点を積み上げるチーム」と話す長谷部監督には、すでに湘南のウィークポイントも見えているか。
【マイナス材料】
ボール支配率はリーグ最下位。ボールをどう保持して、高さとパワー、機動力のあるFWを生かした攻撃につなげるかが課題のひとつだ。
組織的な守備からのカウンターには鋭さを持つが、「ボールを奪った後、すぐに失うことも多い」と課題を挙げる長谷部監督。4得点したルヴァンカップの鳥栖戦は「(ボールを)失う回数が少なかったので、攻撃する時間が長かった」(長谷部監督)ことが複数得点につながった。鳥栖戦では4得点のうち、左右のクロスから2得点を記録。リーグ戦でも攻撃を組み立て、クロスや中央のコンビネーションからゴールという結果につなげたい。
逆に、湘南は得点パターンとしてクロスからのゴールも多い。アビスパ福岡にとっては、クロスをどう入れさせないかが守備のポイントとなる。
文:新甫條利子
■湘南ベルマーレ 前節の黒星を踏まえ、自分たちの戦い方を徹底できるか
【プラス材料】
水曜日に行われたJリーグYBCルヴァンカップ第6節は柏レイソルと1-1で引き分け、グループステージ突破を決めた。リーグ戦で出場機会の少ないメンバーを中心に戦い、6試合負けなし(1勝5分)でプレーオフステージへと駒を進めた歩みにチーム力の底上げがうかがえる。
事実、ケガから復帰した選手や新加入のブラジル人選手、ニューヒーロー賞に該当する若手を含め、選手層の充実は図られている。個々の特長を生かして戦いの幅が広がることは、勝ち点奪取にポジティブに作用するだろう。
最終ラインを統率するDF石原広教、4試合で2得点と早くも決定力を発揮しているFWウェリントンは、ともにアビスパ福岡に在籍した経験がある。その特徴は相手もよく知るところだろうが、古巣との対戦というモチベーションも含めて活躍に期待したい。
【マイナス材料】
前節の横浜FC戦に0-2で敗れ、9試合ぶりの黒星を喫した。立ち上がりに押し込まれて失点し、後半にも追加点を奪われ、かたや攻撃は無得点に終わっている。結果はもとより、球際や出足で後手を踏んだ内容が不甲斐ない。戦う姿勢を見つめ直し、結果をつかんだルヴァンカップを経て、今節は横浜FC戦の反省点を生かしたい一戦となる。
今節対戦する福岡との通算対戦成績は14勝5分25敗。相手のホームでは7勝5分11敗と、いずれも負け越している。相手は現在5連勝と波に乗っており、タイミングも好ましくない。また、セットプレーでの得点力を備える福岡に対し、湘南ベルマーレはセットプレーを含めて失点が少ないものの、高さでは福岡に分がある。オープンプレーとともに留意したいポイントだ。
文:隈元大吾