[写真]=兼子愼一郎、Photoraid
■FC東京 試行錯誤を重ねて状況の打開に成功。続けて本来の力を発揮できるか
【プラス材料】
前節の柏レイソル戦はリーグ戦今季初先発のMF髙萩洋次郎が好パフォーマンスを発揮。攻撃だけでなく守備のスイッチも入れ、チームをひとつにまとめあげた。また、MFアダイウトンが先発起用の期待に応え、ケガ明けのDF内田宅哉が右サイドバックとして存在感を発揮したことも明るい材料だ。
5連敗をストップしたことはもちろん、リーグ戦4点差での勝利は2015年まで遡る。この上ない結果と言えるが、何よりも前線からプレスをかけ、球際の厳しさや粘り強さという本来のFC東京らしさを取り戻したことは大きなプラス。
長谷川健太監督が「苦境が急に一変したわけではない。試行錯誤とチャレンジを重ねてきた時間があってこその結果」と振り返るように、もがきながらも自分たちの力で状況を好転させている。
【マイナス材料】
柏戦を無失点でしのいだとはいえ、自陣に押し込まれる時間は長かった。早い時間帯に3点をリードして終始優位に立つことができたはずだが、序盤に飛ばしすぎて時間の経過とともに運動量が落ちてしまった印象は拭えない。試合運びという点で危うさが残ったことは不安材料だ。
また、この柏戦に向けては1週間のインターバルがあったものの、今節は19日に行われたJリーグYBCルヴァンカップ第6節の大分トリニータ戦から中2日で迎えることになる。ガンバ大阪と比較して、準備期間の短さはマイナスと言えるだろう。
特にMF三田啓貴とMF東慶悟は柏戦に途中から出場し、流れを変えるべく、攻守にわたってチームを下支えした。彼らはルヴァンカップの大分戦でも強度の高いゲームをこなしただけに、消耗度は気がかりなところだ。
文:totoONE編集部
■ガンバ大阪 昨季ジンクスを払拭した地で新体制初白星をもぎ取りたい
【プラス材料】
14日に宮本恒靖前監督の解任が発表され、前節の浦和レッズ戦から松波正信監督のもとで再出発を図った。
新監督就任から全体練習わずか1日で迎えた浦和戦は「シンプルにゴールに向かう」ということに気持ちを揃えて臨んだものの、0-3で敗戦。選手同士のポジショニングや距離感が整理され、相手陣内でボールが動く時間帯も多くなり、シュート数も増えたが、最後までゴールはこじ開けられなかった。それでも、7分のFW宇佐美貴史の強烈なミドルシュートに始まったゴールへの積極性は前体制では見られなかったもの。何よりも久しぶりに選手がイキイキとプレーしていたのも印象的だった。
期待は浦和戦でもチーム最多のシュート数で気を吐いた宇佐美。彼が決めれば一気にチームの士気が上がるガンバ大阪だけに、エースの一撃で停滞感を一掃したい。
【マイナス材料】
序盤戦は得点力不足に苦しんだ一方、守備の堅さが目を引いた。しかし、ここにきて複数失点が続いている。中でも直近の浦和戦は今季最多の3失点。攻撃にかける枚数が増えた分、カウンターを食らうシーンが多かったとの見方もできるが、どちらかというと個人のミスが目立った印象だ。
その攻守のバランスはいまだ模索中。現在のチーム状況的に、今後は攻撃に比重がかかる展開が増えると想定しても、ゴール前で個人の対応を迫られることが多くなるはず。改めて気を引き締めたい。
昨季のアウェイでのFC東京戦は、2001年以来リーグ戦での勝利がなかった鬼門『味の素スタジアム』で完封勝利を挙げ、嫌なジンクスを払拭したばかり。2014年にはともに“三冠”を実現した敵将・長谷川健太監督の前で松波体制初白星を奪えるか。
文:totoONE編集部