[写真]=兼子愼一郎
■川崎フロンターレ 開幕からの無敗記録と指揮官のJ1通算100勝。ダブル達成なるか
【プラス材料】
ミッドウィークに行われた前節の湘南ベルマーレ戦は1-1。引き分けながら、これで昨季からの連続無敗記録を「24」とし、自分たちの記録をさらに更新した。開幕からの無敗記録も「19」に継続し、こちらは2015年に浦和レッズが記録した数字と並んだ。今節負けなければ「20」となるため、開幕からの無敗記録もリーグ新記録となる。
かかっている記録はこれだけではない。鬼木達監督はJ1通算100勝達成に王手がかかっている。過去4シーズン、鬼木監督はリーグ戦で鹿島アントラーズ相手に負けたことはない。自身の古巣相手にJ1通算100勝を達成できるか。注目となる。
今節は水曜日にベンチスタートだった主力選手がスタメンに名を連ねるだろう。ベストメンバーでさまざまな記録達成を目指す一戦となる。
【マイナス材料】
勝利して反省するチームになっている以上、引き分けによる無敗記録を拠りどころにしている選手たちはいない。指揮官も「負けないことではなく勝ちたい」と常々口にしている。
懸念材料としては、MF田中碧やDF山根視来など、常に出続けている主力選手の疲労が色濃く感じられる節があることだろう。試合後、「僕自身もランニングが少なかった」と反省を述べていたのは田中。ダイナミックなスプリントが鳴りを潜め、動きによる打開策を言い出せなかった。中3日での連戦が続く中、どれだけチームのコンディションを戻せるか。球際の勝負がカギを握る相手でもあるだけに、強度が問われる一戦となる。
かつて川崎フロンターレで指揮を執っていた相馬直樹監督を『等々力陸上競技場』に迎えることで注目も集まるだろう。連勝が止まり、仕切り直しとなるが、ここから連勝街道を突き進みたい。
文:いしかわごう
■鹿島アントラーズ 戦術の浸透度の差にスタジアムとの相性。乗り越えるべき壁は多い
【プラス材料】
ホームで戦った前節のセレッソ大阪戦に1-0で勝利し、連敗を阻止した。第15節のサガン鳥栖戦の逆転負けを払拭できたこともプラス材料に挙げられる。鹿島アントラーズの歴史を見ても、不敗記録が途絶えた後はその反動を受けるように勝てない試合が続くことがある。勝利で仕切り直せたことは、今取り組んでいる相馬直樹監督のサッカーを信じていくきっかけになったことだろう。
C大阪戦でMF荒木遼太郎が奪った決勝点も、相手のパスミスを見逃さず、つないできっちり決めきった。ミス絡みとはいえ、集中力とゴール前の落ち着きがチームにあることを証明する得点でもあった。
今節の相手は首位を独走する川崎フロンターレ。無類の強さを誇る王者ではあるが、今の鹿島なら止めることができるのではないか、という期待を抱けるだけのチーム状態にある。
【マイナス材料】
国内主要3大会とACLで合計20個のタイトルを獲得してきた鹿島にとって、鬼門と呼ぶスタジアムは本当に少ない。しかし、『等々力陸上競技場』は昔から勝てないスタジアムである。
リーグ戦でのアウェイゲームはこれまで17試合を戦い、3勝4分10敗と大きく負け越している。『県立カシマサッカースタジアム』と比較してかなり短くカットされる芝を苦手な理由に挙げる声がチーム内にもあるが、原因はよく分かっていない。直近5年の成績も2分3敗と振るわず、そこに川崎Fのチーム力を加えれば、鬼門で勝利するシーンは浮かびにくい。
また、相馬監督の就任後にチームが持ち直したとはいえ、シーズン途中の就任で戦術を浸透するまでには至っていない。川崎Fの成熟した攻撃や守備を考えれば、不安要素が多い一戦になる。
文:totoONE編集部