[写真]=J.LEAGUE、兼子愼一郎
■アビスパ福岡 中断期間に攻撃の質が向上。持ち味発揮で難敵撃破なるか
【プラス材料】
リーグ戦の中断期間は連動した守備から速い攻撃を仕掛けるスタイルの「質と強度を上げて戦術を高めること」、そして「コンディションを上げること」をテーマにした。
9日の天皇杯2回戦は鹿児島ユナイテッドFCに6-0で快勝。ハットトリックのFW山岸祐也は「中断期間に攻撃面のトレーニングをした成果が出せて、リーグ戦にもつながる」とプラスアルファの手応えを口にした。FWブルーノ・メンデス、FWフアンマ・デルガドら外国籍選手をはじめ、個性豊かなFWとのコンビネーションに磨きをかけ、攻撃の質を高めている。
さらに、山岸自身も約8週間ぶりのフル出場となった。戦線を離脱していた選手が中断期間にしっかりと戻ってきたことはチームに大きなプラス材料となる。
【マイナス材料】
6連勝の後、第16節は横浜FCに1-1のドロー、前節は大分トリニータに1-2で敗戦と勢いが衰えた。リーグ戦の中断期間が吉と出るか。
ヴィッセル神戸の攻撃力について、長谷部茂利監督は「相当な脅威」と警戒する。「相手の攻撃力を考えると、無失点は難しいゲームになりそう。試合に勝つためには先制したい」と話した。特に「(アンドレス・)イニエスタの立ち位置によって、ポジションをどう取るかが大事」とボランチのMF前寛之。警戒すべきはA・イニエスタにとどまらず、中盤のMF山口蛍や日本代表でも存在感をアピールするFW古橋亨梧、FWドウグラスら「得点する選手も、アシストする選手も1人じゃない」(長谷部監督)。
持ち味の攻守の切り替えの速さで、相手にボールを支配される時間を短くしたいところだ。
文:新甫條利子
■ヴィッセル神戸 試合勘は十分も、守備陣のミス増加が気になるところ
【プラス材料】
リーグ戦ここ2試合負けなし。中断前に行われた前節のサガン鳥栖戦は試合開始1分で失点するも、FWドウグラスのゴールで同点に追いついて価値ある勝ち点1を手にした。中断期間中もJリーグYBCルヴァンカップや天皇杯という公式戦を戦っており、選手たちのコンディション面に不安要素はないだろう。
プラス材料は、ルヴァンカップで2つのオプションを試せたこと。浦和レッズとのプレーオフ第1戦では今季初の3バックシステムを採用し、プレーオフ第2戦では新しく中盤ダイヤモンド型の「4-4-2」を試して主導権を握った。結果的に2試合合計で敗退したものの、シーズン後半戦を戦ううえでこの2試合は大きな財産になった。
16日に行われた天皇杯2回戦の鈴鹿ポイントゲッターズ戦でFW田中順也が復帰し、いきなり2得点の活躍。FW古橋亨梧が日本代表の活動から戻ってくるなど、好材料は多い。
【マイナス材料】
ルヴァンカップのプレーオフ第1戦で3バックの中央で機能していたDF大﨑玲央が負傷するなど、攻守でいくつかのマイナス材料が挙げられる。
守備面では、ベルギー代表のDFトーマス・フェルマーレンが『UEFA EURO 2020』参加で不在。DF小林友希がルヴァンカップで代役を務めたものの、プレーオフ第2戦でFWキャスパー・ユンカーに振りきられて失点するなど課題を残した。同試合ではCKのクリアボールをDF酒井高徳が処理ミスし、カウンターから先制点を献上。プレーオフ第1戦ではDF菊池流帆のミスからFW興梠慎三に決勝点を献上するなど、守備のミスが目立っている。
攻撃面では、新外国籍選手のFWアユブ・マシカとFWリンコンがいまいちフィットしない。代表帰りの古橋のコンディションも含め、一抹の不安が残る。
文:totoONE編集部