[写真]=鈴木颯太朗
■サンフレッチェ広島 チームの状態次第では水曜日の二の舞の可能性も
【プラス材料】
リーグ戦はここ5試合で2勝2分1敗と、一時の低迷から脱した感がある。複数得点を挙げた試合が5試合中3試合と段階を踏みながら増えており、流れとしては悪くない。
3バック変更以後は3試合負けなし。「3-4-2-1」の形は慣れたもので、ボールもよく回るようになり、チャンスの数も増幅した。
特にFWジュニオール・サントスは1トップに固定したことでポストプレーの意識が高まり、ポジション取りもチームにフィットしてきた。少しずつではあるが戦術的な視点を持てるようになり、居残り練習で自分を高めようとする努力も見えている。彼が点取り屋として覚醒してくれれば、サンフレッチェ広島が抱えている多くの問題が解決に向かうはずだ。
【マイナス材料】
水曜日の天皇杯2回戦で、関西サッカーリーグ所属のおこしやす京都を相手に1-5という衝撃的な惨敗を喫した。
普段はリーグ戦に出ていない選手たちでチームを構成したが、ケガから復帰したFWドウグラス・ヴィエイラやMF土肥航大はまだまだゲーム感がつかめておらず、急造と言っていい最終ラインも不安定。1点ビハインドで迎えた後半、城福浩監督は同点に追いつこうと攻撃型の布陣を敷いたものの、それが裏目に出てカウンターとセットプレーで失点を重ねた。
広島とは思えない強度に乏しいゲームを演じてしまっては、どんな相手にも勝てない。チームの根幹を揺るがすほどの敗戦は、同時に選手層に問題を抱えていることもあらわにしてしまった。よほど意識高く戦わないと、立て直しは容易ではない。
文:紫熊倶楽部 中野和也
■柏レイソル 中盤&最終ラインに吉報届くも、依然として前線に課題あり
【プラス材料】
約3週間に及んだ中断期間は、それまで連戦で手をつけられなかった戦術面の修正を細かい部分まで入念に行った。ネルシーニョ監督の「良い再開を迎えられると思う」という言葉を聞く限り、充実した中断期間を過ごしたようだ。
新加入のブラジル人選手4人の中で早くも主力の座を射止めているMFドッジは、中断期間中に日本人選手と密にコミュニケーションを取り、MF椎橋慧也をはじめとした他のボランチの選手との連係を深めた。
さらに、先週行われた天皇杯2回戦の栃木シティFC戦は3-0の快勝を収めただけでなく、昨年8月に全治8カ月の重傷を負ったDF高橋祐治が復帰を果たしている。彼に続き、FW瀬川祐輔やMF戸嶋祥郎の復帰も近い。
【マイナス材料】
韓国代表としてワールドカップアジア2次予選に出場したGKキム・スンギュは2週間の隔離が適用されるため、しばらく試合に出場できない。今節スタメン濃厚のGK佐々木雅士は、今季はJリーグYBCルヴァンカップで5試合に出場しているものの、リーグ戦では初出場となる。
新加入のブラジル人選手4人はドッジが順調にフィットしている反面、FWペドロ・ハウルとMFアンジェロッティが負傷。DFエメルソン・サントスは天皇杯でベンチにすら入れなかった。期待された新外国籍選手たちが戦力になりきれていない点は気がかりだ。
また、天皇杯の栃木シティFC戦も3-0の勝利を収めたとはいえ、数多くあった決定機をことごとく逸していた。課題の決定力不足がいまだ改善されていないというのが現状である。
文:鈴木潤