[写真]=兼子愼一郎、小林渓太
■横浜FC 可変システムに手応えありも、まずは守備の質を向上させたい
【プラス材料】
守備時と攻撃時で形を変えて戦う、可変システムが機能しているのは数少ない明るい材料。左サイドに入るDF武田英二郎とDF高木友也の高いキック精度や前への推進力を生かしたサイド攻撃から、最前線で待つFWクレーベの高さを生かしたフィニッシュは相手に脅威を与えている。第18節のFC東京戦も前節のヴィッセル神戸戦も相手のスーパークリアやGKのファインセーブに阻まれてしまったが、ゴールへあと一歩まで迫ることはできている。
連敗を抜け出す光がなかなか見えない中でも孤軍奮闘を見せる選手がいる。ボランチに入るMF瀬古樹だ。プロ2年目ながら今季ここまでのリーグ戦の出場時間はチームトップで、キャプテンマークを巻く試合も多い。中盤でボールを奪い、シンプルなプレーで攻撃にリズムを生み出せる選手なだけに、この6番を起点にゲームを組み立てたい。
【マイナス材料】
中断期間中にチームを立て直す時間があったはずだが、結果は2連敗。苦しい状況が続く。再開初戦となったFC東京戦は0-1で敗れたが、内容では上回る部分も見られ、少なからず手応えを得た様子だった。しかし、神戸戦では0-5の大敗を喫した。他のチームとの勝ち点差は開くばかりである。
20試合を終えて50失点と1試合平均2.50失点は、断トツでリーグワースト。得失点差も「-38」と大きく後れを取っている。精神的な強さ、たくましさを含めて守備の改善は必須。まずはそこから手をつけないと、取れる勝ち点も取れない状況である。
新型コロナウイルスの影響もあってか、数名の主力選手がピッチ上で見られない。連戦の中、清水エスパルスとの下位直接対決に向けて、メンバーのやりくりも困難を極める。
文:totoONE編集部
■清水エスパルス 波に乗り始めた攻撃陣に期待大。懸念はセットプレーの守備
【プラス材料】
水曜日に行われた前節のベガルタ仙台戦は打ち合いの末に3-2で勝利。勝ち点で並ぶライバルにアウェイで勝ちきったことは非常に大きかった。
また、直近のリーグ戦3試合は2勝1敗で7得点・4失点。失点はやや多いものの、4~5月の9試合勝てなかった時期よりも得点力がかなり上がってきているのはプラス材料だ。特に仙台戦ではMF鈴木唯人とFWディサロ燦シルヴァーノに待望のJ1初ゴールが生まれ、得点シーン以外でも多くの決定機に絡んでいた。高いポテンシャルを持つ彼らが波に乗ってくれば、さらなる得点力の向上が期待できるだろう。エースのFWチアゴ・サンタナも仙台戦で個の力を示す決勝点を決め、出場した直近の4試合で3得点と調子を上げている。
守備陣ではMF原輝綺がケガから復帰したのが非常に大きい。左右問わず複数のポジションを高いレベルでこなせるのは頼もしいところだ。
【マイナス材料】
仙台戦はCKから2失点して2度のリードを追いつかれ、苦しい展開となった。これまでもセットプレーの守備は課題と言われてきたが、そこがなかなか改善できていない。横浜FCは1試合平均0.60得点と決定力の高いチームではないが、その中でもセットプレーからの得点が最も多く、5月の前回対戦ではMF手塚康平に直接FKを決められて勝利を逃している。今節もセットプレーの攻防は大きなポイントになりそうだ。
戦力面では、DF鈴木義宜とMF中村慶太が味方同士による衝突で負傷離脱したのは不運な出来事で、2人ともチームのキーマンだけに非常に痛かった。詳細な理由は不明だが、DFエウシーニョとDF奥井諒が仙台戦を欠場。もし彼らの不在も長引いて、これ以上守備陣に負傷者が増えると、やりくりが難しくなってくる。
文:totoONE編集部