[写真]=兼子愼一郎、宮地輝
■湘南ベルマーレ 粘り強さ&スプリント力が復活。相性の悪さを克服できるか
【プラス材料】
勝ち点3にまさる良薬はないだろう。20日に行われた第18節はアウェイで浦和レッズと対戦し、3-2で6試合ぶりの勝利を挙げた。白星が遠く、またプレーオフステージで敗退したJリーグYBCルヴァンカップを思っても、このタイミングで結果を手にした意味は大きい。
試合展開にもポジティブな側面がうかがえる。立ち上がりから相手に主導権を握られて先制を許したものの、前半のうちに同点に追いつくと、その後もリードを許しては同点に追いつき、最終的に逆転した。得点力不足を課題とする中で、今季4試合目となる複数得点を記したことも勝利と併せて前向きな要素だ。
湘南ベルマーレは浦和戦で193回のスプリントを記録した。チームとしてあるべき強度を思えば、一時期は平凡な数値にとどまっていたスプリント回数が持ち直している点もプラス材料と言える。
【マイナス材料】
浦和戦は逆転勝利を収めた一方、試合内容に目を向けると、相手が長い時間主導権を握っていたことは否めない。「4対17」というシュート数にも表れているように、浦和は攻勢を傾け、決定機も演出した。対する湘南はGK谷晃生のビッグセーブもあって幾度かピンチをしのいだが、カウンターによる失点もあり、攻めている際のリスク管理を改めて徹底したい。また、4本のうち3本のシュートをゴールに結んだ精度は前向きに捉え得るが、チームとしていかにフィニッシュまで持ち込み、いかにその回数を増やすか。今後も地道な積み重ねが欠かせない。
今節対戦する柏レイソルとの通算対戦成績は10勝9分18敗、ホームでも5勝3分9敗と黒星が先行している。今季もルヴァンカップのグループステージは2引き分けと互いに譲らなかったが、3月のリーグ戦は1-2で敗れた。
文:隈元大吾
■柏レイソル 瀬川&戸嶋の復帰は朗報も、チームはいまだ混迷の中
【プラス材料】
第18節のサンフレッチェ広島戦で戦列復帰を果たしたFW瀬川祐輔が前節の浦和レッズ戦ではスタメンフル出場。攻守に動きの少なさが目立つ柏レイソルにあって、瀬川は味方からパスを引き出す動きや積極的にシュートを狙う意識を見せ、さらに素早いボールホルダーへの寄せ、果敢なプレスバックで守備面でも存在感を発揮した。今の悪い流れを、なんとか変えようという彼の気概は十分に感じられた。
また、浦和戦ではMF戸嶋祥郎が昨年9月に負った左足骨折という大ケガからの復帰を果たしている。まだ試合勘やコンディションとも完全ではないものの、彼も投入されるとハードワークの意識を持ち、球際での厳しさを発揮するなど、限られた時間の中でもインテンシティの高いプレーを見せていた。
柏が誇る2人のハードワーカーの復帰を、悪い流れを変えるきっかけにできるか。
【マイナス材料】
課題が改善されるどころか、中断前よりも問題点が悪化した感がある。
以前は得点力不足が大きな課題だったのに対し、今は守備の強度も低く、相手のボールホルダーに全くプレッシャーがかからなくなった。攻撃ではロングボールを蹴り込む裏一辺倒の単調な攻めが続く。攻守両面において狙いが全く見えず、戦術的に非常に苦しい状況だ。試合では選手が終始迷いながらプレーしているようにも見える。
ピッチ上でチームを鼓舞できるベテラン選手2人、MF大谷秀和とDF染谷悠太はクラブからの公式リリースこそないものの、おそらく負傷離脱と推測される。そこに拍車をかけるように、浦和戦の試合前のウォーミングアップでMF仲間隼斗が負傷し、離脱することになった。
文:鈴木潤