[写真]=鈴木颯太朗、兼子愼一郎
■サンフレッチェ広島 J・サントスに爆発の気配あり。課題は最終局面の精度
【プラス材料】
後半アディショナルタイムに同点弾を喫したとはいえ、前節のサガン鳥栖戦での危ないシーンは失点した場面のみ。攻撃では得点機を多く作り、守備も集中してやれていた。勝ち点3こそ逃したが、これで5試合連続負けなし。5月23日のセレッソ大阪戦で「3-4-2-1」に移行して以降、内容も結果も向上中だ。
特に大きいのが、FWジュニオール・サントスの成長ぶり。開幕節のベガルタ仙台戦以来となる流れの中からのゴールは、彼がヒールパスでMF柏好文にボールを預けたところからチャンスになっている。また、67分のMFエゼキエウの決定的なシュートにしても、起点はJ・サントスのポストプレーだった。当初はドリブルばかりが目立ち、チームの攻撃として機能できなかった新外国人FWだが、真摯な努力を続けたことでコンビネーション面でも成長。爆発の予感が漂っている。
【マイナス材料】
チャンスの山を築いたにもかかわらず、1得点に終わってしまったことが、勝ち点3を後半アディショナルタイムに失った要因である。
決定機は作れているのだから、そこをどうやって決めるか。ストライカーに喝を入れたいところだが、MF浅野雄也が鳥栖戦の前半に負傷交代しており、今節の出場は微妙。FW永井龍やFW鮎川峻もトップコンディションに戻すことができておらず、FWドウグラス・ヴィエイラにしても試合には出ているが、状態は決していいとは言えない。
今季は大切な場面で得点を決めてチームを救ってきたMF川辺駿が移籍したことも、攻撃面では大きな痛手だ。MFハイネルやエゼキエウら攻撃能力の高いブラジル人選手たちの奮起に、今こそ期待したいところではあるが……。
文:紫熊倶楽部 中野和也
■横浜FC 約2週間でどれだけの上積みができたか。成果が問われる一戦に
【プラス材料】
前倒しで第21節を戦っていたことで先週はリーグ戦がなく、第20節の清水エスパルス戦から2週間の準備期間があったことは明るい材料である。攻撃時と守備時で最終ラインの形やバランスを変えながら左サイドのDF高木友也とDF武田英二郎のクロスにゴール前で長身のFWクレーベが合わせる攻撃はひとつの武器として確立されてきており、その形に磨きをかけることができているならば得点力アップに期待が持てそうだ。
もちろん守備面の改善も必要であるが、これまでの失点を振り返れば守備組織の崩壊というよりはミス絡みの失点であり、そこでチーム全体の士気が下がってしまったところで失点を重ねることが多いように思われる。その意味ではこの2週間でメンタル面の回復もできたはず。今節は引き締まった守備が見たい。
【マイナス材料】
6月末の清水戦も先制しながら同点に追いつかれてドロー決着。またしても今季2勝目は遠く、残留争いのライバルとは少しずつではあるが、徐々に勝ち点差が広がってきている。いまだシーズン1勝で、勝ち点がひと桁台なのは横浜FCだけ。まずはそこから早く抜け出したいが、2カ月間勝利から遠ざかっていることを考えれば負けない戦いを優先したいところである。
7月に予定されているリーグ戦はこの1試合だけで、ここから東京五輪の影響により約1カ月間リーグ戦から離れる。その中断期間に現状のまま突入するのは何としてでも避けたいところだが、J1復帰を果たした昨季からサンフレッチェ広島とは公式戦で対戦して勝利なし。高い強度を誇る相手に今回も苦戦を強いられることになりそうだ。
文:totoONE編集部