[写真]=兼子愼一郎
■湘南ベルマーレ 先制した時の進め方に課題あり。粘り強い守備を取り戻せるか
【プラス材料】
ヴィッセル神戸と『ノエビアスタジアム神戸』で対戦した前節は1-3で敗れ、2-4で同じく黒星を喫した第20節の柏レイソル戦を含めて2連敗となった。ただ、得点力の向上を期するチームにあって、2試合続けて先制点を奪った事実はポジティブだ。加えて、神戸戦のゴールはFWタリクによるもの。ケガで出遅れた助っ人に今季初得点が生まれたことは、本人が波に乗るためにも、またチームの攻撃面を考えても意義深い。
さらに、神戸戦ではMF中村駿が3試合ぶりに出場した。アンカーとして攻守の手綱を握り、開幕当初から存在感を放つ背番号25の復帰もまた大きい。FC東京と対戦したJリーグYBCルヴァンカップのプレーオフステージ第2戦では鮮やかなミドルシュートも決めている。激しい競争もチームに前向きな効果をもたらすに違いない。
【マイナス材料】
前述のとおり、後半戦は連敗スタートとなった。早い時間帯に先制点を挙げた反面、いずれも逆転負けを喫している。これまで粘り強く失点を抑えてきた歩みを思えば、複数失点を重ねている事実も心許ない。
リーグ最多タイの9引き分けを記録しているように、地道に勝ち点を積み上げてきた今季だが、先制した試合の成績は3勝1分4敗と黒星が先行している。J3のヴァンラーレ八戸と対戦した7日の天皇杯3回戦も、先制したものの間もなく同点に追いつかれて延長戦までもつれ込んでおり、リードした際の試合の進め方はチームとして課題と言える。
今節対戦するFC東京との通算対戦成績は3勝4分13敗、ホームゲームでも1勝2分7敗と大きく負け越している。今季は公式戦で3度対戦しており、リーグ戦は2-3、ルヴァンカップは1-0、1-4と失点も多い。
文:隈元大吾
■FC東京 若きサイドバックがチームの起爆剤に。気がかりは試合勘の欠如
【プラス材料】
第18節から第20節にかけて、シーズン初の3連勝を果たした。現状で下位に位置する横浜FC、徳島ヴォルティス、大分トリニータに勝ちきった格好だが、チーム状態は上向きと言えるだろう。
3得点をマークした大分戦ではプロ2年目のDFバングーナガンデ佳史扶を左サイドバックで起用し、DF小川諒也を右サイドバックに配した。この策がはまり、小川に今季初得点が生まれている。また、バングーナガンデの思いきりの良いプレーはチームにアグレッシブさをもたらし、FWディエゴ・オリヴェイラ、MFアダイウトン、MFレアンドロのブラジル人トリオの勢いを引き出すことにもつながった。
右サイドバックに関しては、6月24日にブラウブリッツ秋田からDF鈴木準弥を獲得したことを発表。ただし、現時点ではJリーグ未登録のため、今節も小川を配する布陣が濃厚か。
【マイナス材料】
天皇杯は初戦となった2回戦で敗れたため、ミッドウィークの公式戦はなく、今節まで2週間のインターバルがあった。準備期間こそ長くあったものの、試合勘が薄れている可能性も否めない。3連勝の勢いに乗りきれないことはマイナスとなる。
同時に東京五輪のため、本拠地『味の素スタジアム』が使用できなくなり、ここからアウェイ7連戦が始まる。今季のアウェイゲームの成績は3勝3分3敗。直近の試合で横浜FCと徳島に競り勝ち、ようやく星を五分に持ち込んだが、決して分がいいとは言えない。
湘南ベルマーレとは今季のJリーグYBCルヴァンカッププレーオフステージで対戦。その第1戦では一瞬の隙を突かれて敗れている。2019年からアウェイでの湘南戦は2連勝中だが、互いに手の内を知り尽くしている相手。苦戦は覚悟しなければならないだろう。
文:totoONE編集部