[写真]=宮地輝、Photoraid
■アビスパ福岡 最優先は守備の再構築。新戦力は状況打開の切り札となるか
【プラス材料】
13日に湘南ベルマーレからMF中村駿が完全移籍で加入することが発表され、同日の公開練習ではチームに早くも溶け込んでいる姿を見せた。ザスパクサツ群馬やモンテディオ山形でともにプレーしていたFW山岸祐也の存在も大きいようで、「(山岸に)助けてもらいながら、早くチームに馴染みたい」と話す。プレーでは「アビスパ福岡は前線に収められる選手がいるので、攻撃に厚みを出したり、前線に顔を出したりして自分の良さを出していきたい」と意気込みを語った。
長谷部茂利監督は水戸ホーリーホックの監督を務めていた時代から中村の存在に注目していたと言い、「ボールを動かすことが上手な選手で、チームのやりたいことをもっと円滑に実行してくれると思う」と期待する。
リーグ戦4連敗中だが、新戦力がチームに新たな活力を注入してくれるか。
【マイナス材料】
ガンバ大阪は中立地でのACLから帰国したばかり。スケジュール的に福岡のほうが余裕はあるものの、「いつでも複数得点が取れる前線の選手、特に外国籍選手と宇佐美(貴史)選手には気をつけなければいけない」と長谷部監督は警戒する。福岡はリーグ戦4連敗中で、その4試合はいずれも複数失点を喫した。守備の安定を取り戻さない限りは、苦しい状況が続くだろう。
第22節の横浜F・マリノス戦で左サイドバックのDF志知孝明が約1カ月半の離脱から復帰したことはプラス材料だが、前線からの連動した守備を遂行するには気候的にも厳しい時期となる。押し上げて高い位置から奪いきる場面とブロックを作って中央を閉める場面の賢い使い分けが重要になる。
連敗中の4試合でセットプレーからの失点が続いている点も早急に修正したい部分だ。
文:新甫條利子
■ガンバ大阪 アジアの舞台で培った団結力をリーグ戦でも発揮できるか
【プラス材料】
ACLでの戦いを終え、Jリーグに戻ってきたガンバ大阪。
そのACLはグループステージ敗退となったが、長期にわたり寝食をともにしながら、登録外になった選手も含めてチーム作りを行った時間はチームを成熟させるうえでプラスに働くはず。「この時間をJリーグでいかにプラスに働かせられるかは自分たち次第」とMF倉田秋は言う。長距離移動の疲れ、疲労の蓄積、帰国後もバブルでの生活を強いられる中でうまく気持ちを切り替えて臨めるか、がまずもってのカギになりそうだ。
また、この先は再び未消化だった試合、カップ戦を含めて中2~3日での長い連戦が待ち受ける。必然的に総力戦になる中で、いかに結果を積み上げていけるか。勝つことが苦境を乗り越える力になっていくと考えても、今節のアビスパ福岡戦で良いスタートを切りたい。
【マイナス材料】
ACLでのケガ人が心配だ。DF高尾瑠、DF藤春廣輝、MF福田湧矢、FW小野裕二、FW塚元大らは出場した試合で負傷してから一度も公式戦のピッチに立つことなく帰国している。「そこまで深刻なものではない」(松波正信監督)とのことだが、連戦の最中にいきなり公式戦で戦列復帰となれば、起用は慎重にならざるを得ないだろう。
中でも、もともと手薄だったサイドバックに再びケガ人が増えているのも深刻だ。仮に高尾、藤春、福田らが復帰できなければ、ACLでサイドバックもしくはウイングバックを預かったFW川﨑修平やMF奥野耕平らが穴埋め的にポジションを変えることも考えられる。
また、ACLで登録外になっていたMFチュ・セジョンやFWチアゴ・アウベスが試合勘も含め、どれだけチームに貢献できるかも明暗を分けそうだ。フレッシュな力を注いでくれることを期待したい。
文:totoONE編集部