[写真]=兼子愼一郎
■横浜FC 各ポジションに即戦力を確保。まずはミニキャンプの成果を見せたい
【プラス材料】
途中就任だった早川知伸監督にとって、これだけまとまった準備期間を取れたのは初めてのこと。チーム作りをするうえで願ってもない時間となった。ケガ人も多く戻ってきているようで、改めてチームを見直し、やりたいサッカーを落とし込む貴重な時間になったはずだ。ミニキャンプの成果を発揮したい。
さらに、この中断期間中にクラブはJ1残留へ大型補強を敢行した。FC東京からボール奪取力に優れたMFアルトゥール・シルバを獲得したことに始まり、ブラジルからDFガブリエウ、FWサウロ・ミネイロとFWフェリペ・ヴィゼウを補強。東京五輪のメンバーにも選ばれたドイツ人GKスベンド・ブローダーセンも加えることに成功している。最下位からの逆転残留に向け、助っ人たちの力を最大限に生かしたい。
【マイナス材料】
大型補強が目立つ一方、選手の流失もあった。特にこの数年キャプテンとしてチームを支えてきたGK南雄太、チームメイトやファン・サポーターからの信頼が厚くてセンターバックやボランチで貢献したDF田代真一の移籍、力強い守備と愛されるキャラクターだったDFカルフィン・ヨン・ア・ピンの退団は衝撃を与えた。何よりこの3人はチームが苦しい時に先頭に立って戦える選手たちで、2019年のJ1昇格の立役者。「チームは生き物」と言うが、現在のチーム状況で彼らがチームを去ったことの影響は少なくないと感じる。
ここまで2勝しかできていないチームがここから残留を果たすためには、かなりのハイペースで勝ち点を積み上げていくことが求められる。残留圏とは勝ち点9ポイント差で、「-37」の得失点差を考えれば、さらに勝ち点を積み上げる必要がある。そのためにも、再開初戦を落とすわけにはいかない。
文:totoONE編集部
■名古屋グランパス 前線の駒不足をどうカバーするか。指揮官の采配に注目
【プラス材料】
ACL参戦にまつわる長い隔離生活も明け、心機一転して臨んだシーズン後半戦は再試合となっていた天皇杯3回戦での勝利からスタート。連戦と過酷な環境下における活動の“後遺症”はまだまだ残るが、J2のファジアーノ岡山を相手に「まずは勝利が優先」の名古屋グランパスらしさを遺憾なく発揮した。
FW山﨑凌吾が負傷し、新外国籍選手のFWヤクブ・シュヴィルツォクの合流もFW金崎夢生の復帰も未定の現在、ACLで成熟度を増した「4-3-3」の布陣とFW柿谷曜一朗の1トップがうまく機能したのは朗報でもあった。MF長澤和輝のコンディションも上がり、チーム状態はまずまずといったところか。
リーグ戦は未勝利が4試合続く状況だが、敵地での勝利から再び上位を追いたい。
【マイナス材料】
マッシモ・フィッカデンティ監督も頭を悩ませているのがFWの枚数不足。再開するリーグ戦はいきなり中2日での3連戦が待っており、柿谷しか最前線が任せられない台所事情はそのままゴール前の迫力にも関わってくる大きな課題だ。
先の天皇杯ではJ2のDFを相手に安定感あるポストプレーを披露した柿谷だが、J1の屈強なセンターバックを相手にそれがどこまで再現できるのかは未知数。布陣にかかわらず自慢の機動力を生かした攻撃とチャンスメイクをしていきたいところだが、連戦を見据えればあまり無理もさせられない。
攻撃の組み立てにおいて、どんな方策や戦術を練ってくるのかは注目でもある。
文:今井雄一朗