[写真]=鈴木颯太朗、J.LEAGUE
■柏レイソル 守備面の改善に成功するも、攻撃面の課題はいまだ解決できず
【プラス材料】
前節の川崎フロンターレ戦は後半に退場者を出して数的不利を強いられた中での戦いとなったが、チーム全体の粘り強い守備もあって、スコアレスドローに持ち込んだ。
中断前の鹿島アントラーズ戦を含め、ヴィッセル神戸、川崎Fという上位チームとの対戦で2勝1分の勝ち点7を獲得できた要因は守備面の向上にある。中断期間中に取り組んできた守備戦術の修正と確認作業の成果であり、選手たちはこの3試合の守備に手応えをつかんでいる。DF高橋峻希は「この守備ができれば勝ち点を積み上げていけると思う」と自信をのぞかせた。
また、加入当初は力を発揮できず、しばらくメンバー外が続いたDFエメルソン・サントスは先発出場した直近の2試合の活躍に目を見張るものがあり、川崎F戦ではFWレアンドロ・ダミアンを抑えた。彼自身も「もっともっと進化していける」と調子を大きく上げている。
【マイナス材料】
組織的な守備でボールを奪い、素早くカウンターに転じるというサイクルが生まれつつある。ただ、最後のクロスやパスの精度不足、ボックス内に入った時の判断ミスもあり、攻撃面に関してはまだまだ向上の余地がある。川崎戦でも退場者を出す前の11対11の局面では、ボールを奪って何度かカウンターに出ていきながらアタッキングサードでの精度に欠け、決定機には至らなかった。
また、カウンターは大きな武器ではあるものの、その一方でボールを保持して自分たちが試合をコントロールする時間帯を増やすという点は明らかに物足りない。特に真夏の消耗戦の中では、相手にボールを持たれて陣形を動かされると体力の消費も激しくなるだけに、今後は自分たちがボールを握る形も構築しなければならない。
文:鈴木潤
■サガン鳥栖 新戦力が合流初戦でいきなり機能。既存戦力との連係に期待したい
【プラス材料】
前節の浦和レッズ戦、金明輝監督が3試合ぶりに復帰した。復帰戦を勝利で飾ることはできなかったが、勝ち点3を得てもおかしくない内容だった。
その大きな要因は、中断期間中に獲得した選手たちが機能したことによると言ってもいい。特筆する実績はないものの、金監督の目指すアグレッシブなサッカーにマッチしているようだ。試合後に「白崎(凌兵)、小泉(慶)に関してはチームの戦力・補強になっている。岩崎(悠人)に関してはまだ成長段階だが、チームにない部分を補ってくれる選手」と評価している。
今節は3人揃っての先発となるのか分からないが、柏レイソルにしてみれば情報が少ない分、脅威に映るのではないだろうか。そこに結果を出しているMF酒井宣福やFW山下敬大らが加わることで新たなパワーとなるだろう。
【マイナス材料】
新加入選手が新たなパワーを与えているのは分かったが、如何せんチームに合流して間もない。前線からのアグレッシブさは見せたものの、90分間をとおして力が出せるかどうかは未知数である。
また、浦和戦の2失点は自分たちのミスが絡んでのもの。言い換えれば、与える必要のない失点だった。このあたりを数日間の中で解消できたのか、試される一戦となるだろう。
選手の入れ替わりや監督の活動自粛など、チーム作りに必ずしもプラスとは言えない状況が続いた中、上位にとどまるためにも取りこぼしは許されない。前節の惜しい試合の借りを返し、新たな歩みを見せるサガン鳥栖となれるかどうかに注目したい。
文:totoONE編集部