[写真]=兼子愼一郎
■柏レイソル 戦術の浸透で守備が安定。あとは最終局面の課題を克服するだけ
【プラス材料】
先週末に行われた第25節のサガン鳥栖戦に敗れて4試合ぶりの敗戦を喫したが、水曜日に行われた前節は徳島ヴォルティスに1-0で勝ちきった。
徳島にボールを握られる時間帯こそ多かったものの、コンパクトなブロックを作って運動量の多いFW瀬川祐輔とFW細谷真大が前線から規制をかけ、入ってくるボールに対しては最終ラインがペナルティエリア内への侵入を阻止する粘り強い守備を見せるなど、敗れた鳥栖戦の反省点を生かすことができた。残留を争うライバルとの直接対決を制した価値のある勝利で、さらに直近の3試合のうち2試合を無失点に抑えているように、守備戦術の共通理解は確実に深まってきている。
ここ5試合で3勝1分1敗という結果を見ても、一時期の低調な状況から復調した気配が感じられる。
【マイナス材料】
徳島に勝ちきったことは評価できるが、リードした後も何度か良い守備から鋭いカウンターで決定機を作り出したにもかかわらず、そのチャンスを仕留めきれずに最後まで苦しい展開を強いられた。ラストパスの精度、ゴール前のシュート精度など、最後の質の部分には相変わらず課題が残る。
また、徳島戦はFWペドロ・ハウルが欠場し、FW武藤雄樹とDFエメルソン・サントスに関しては2試合連続のメンバー外となっている。公式リリースが出ていないため欠場理由は表に出てきていないが、もし彼らがケガだとすると、鳥栖戦で負傷交代を余儀なくされたDF高橋峻希を始め、MF大谷秀和、MFドッジを含めた主力選手の相次ぐ離脱はチームにとって大ダメージだ。
文:鈴木潤
■横浜FC 既存戦力と新戦力の融合が好調の原動力に。この勢いを継続できるか
【プラス材料】
ついに最下位を脱出することに成功した。前節のガンバ大阪戦は前半に退場者を出した相手に対して前半アディショナルタイムに先制するも、後半早々に追いつかれる何とも言えない嫌な流れになりかけた。しかし、そこで気落ちすることなく戦い、後半に2得点を奪ってきっちり勝利。大分トリニータを追い抜き、19位に浮上した。
そのG大阪戦で先制点を決めたMFアルトゥール・シルバや決勝点を決めたFWフェリペ・ヴィゼウだけでなく、GKスベンド・ブローダーセンやセンターバックのDFガブリエウといった、今夏にチームに加わった外国籍選手たちが早くもチームにフィット。中核を担っていることは大きな戦力アップである。
中断前に行われた第20節の清水エスパルス戦と第22節のサンフレッチェ広島戦を含めれば、ここ6試合の成績は3勝2分1敗と大きく勝ち越している。中断期間を経てまとまりを得たチームは今、どんな相手にも堂々と戦えている。
【マイナス材料】
最下位脱出に成功したことはとても明るい材料であるが、依然として残留争いの渦中では厳しい状況にあることを忘れてはならない。残留圏にいる16位の清水とは勝ち点7差であり、まだまだ差はある。全く油断も過信もできる状態ではないことには変わらない。
中断明け以降はほとんど同じメンバーで戦っており、今節は真夏の3連戦の3試合目となる。お世辞にも選手層が厚いとは言えないメンバー構成の中でターンオーバーを選択するのか、最後の力を振り絞って戦い抜くことを選択するのか。そこは指揮官の腕の見せどころ。仮にメンバーを入れ替えた中で、サッカーの質が落ちてしまうようでは厳しいことになる。
文:totoONE編集部