[写真]=宮地輝、兼子愼一郎
■名古屋グランパス 負傷者の復帰で攻撃の選択肢増加も、連続失点が気がかり
【プラス材料】
負傷者が続々と戻ってきているのが、連戦続きのチームにとっては何よりの朗報だ。8月22日の第25節のアビスパ福岡戦でFW金崎夢生が復帰したのを皮切りに、9月5日の鹿島アントラーズとのJリーグYBCルヴァンカップ準々決勝第2戦ではFWガブリエル・シャビエル、14日のACLラウンド16の大邱FC戦ではFW山﨑凌吾、前節のFC東京戦ではFW柿谷曜一朗が戦列に戻っている。
FWシュヴィルツォクも公式戦ここ4試合連続でスタメン出場しており、コンディションも整ってきた様子。シュヴィルツォク、金崎という純粋なセンターフォワードが揃ったことで、復帰したG・シャビエル、山﨑、柿谷らの起用法にも幅が出るはずだ。より多彩な戦術を用意して戦えるようになるのは、マッシモ・フィッカデンティ監督としてもうれしい悲鳴だろう。
【マイナス材料】
第28節の徳島ヴォルティス戦で今季リーグ戦18回目のクリーンシートを記録して以降、公式戦3試合連続で失点しているのが気になると言えば気になるところ。
大邱FC戦のように逆転のパワーを出せるようになったとはいえ、まずは無失点で試合を進めていくのが名古屋グランパスらしさの象徴的なところで、守備陣はストレスを感じているに違いない。ゴール前ではFC東京戦で神がかり的なセーブを連発したGKランゲラックが好調を維持しているが、彼ひとりの力では及ばない場面ももちろんある。その点では守備だけでなく、ボールを奪った後の攻撃の質や種類にも改善の余地があるのが現状だ。
今一度、自慢の速攻に磨きをかけ、後方にさらなる選択肢を用意したい。
文:今井雄一朗
■大分トリニータ 守備の安定で連続無失点を記録。攻撃の活性化に期待したいが
【プラス材料】
第28節の湘南ベルマーレ戦は2-0で勝利、前節のサガン鳥栖戦はスコアレスドロー。2試合負けなしで、一時期の低迷は脱しつつある。スタメンに守備的な選手を起用して2試合連続でクリーンシートを達成し、勝ち点を積み重ねた。
湘南戦はシュート3本、鳥栖戦はシュート1本に終わった。攻撃陣を活性化させるために、片野坂知宏監督は「得点しないと勝ち点3は取れない。得点できる狙いを持って選手に大胆にチャレンジさせたい」とコメント。今節は攻撃的な選手を起用する方針を示している。
堅牢な守備を誇る名古屋グランパスの壁を突き破れるか、がポイントとなる。
【マイナス材料】
残り9試合の時点で19位に位置しており、J1残留圏内にいる16位の湘南との勝ち点差は6ポイント。負けられない試合が続き、監督や選手たちにかかるプレッシャーは増すばかり。息抜きは必要だが、コロナ禍でピッチ外の行動が制限されているため、メンタルコントロールが必要だ。
今夏に加入した4選手(FW呉屋大翔、MF梅崎司、MF野嶽惇也、MF増山朝陽)が起爆剤となれていない。ここ2試合で先発に名を連ねることはなく、ベンチ入りしたのは野嶽(湘南戦)と増山(湘南戦と鳥栖戦)のみ。即戦力として獲得したはずが、試合で起用できなければ宝の持ち腐れとなる。
文:totoONE編集部