[写真]=兼子愼一郎
■鹿島アントラーズ 本領を発揮し始めたブラジル人アタッカーに要注目
【プラス材料】
前節のサンフレッチェ広島戦は4得点を挙げて快勝した。特にMFアルトゥール・カイキが2得点を叩き出したことは大きなプラス材料だ。
これまでは出場時間が豊富だったわけでなく、途中出場がメイン。もともと得点感覚は非凡なものを見せていたが、結果に結びつかず、積極起用という流れができなかった。第33節のFC東京戦、広島戦と2戦連発で存在感を見せ、チームに欠けていた決定力を埋めることに成功。時間さえ与えれば結果を残せるだけの力を持っており、3位以内という目標を掲げるチームには頼もしい存在となっている。
また、9月上旬に全治6週間の負傷を追ったDF犬飼智也が広島戦で復帰。安定しないディフェンスラインにおいて、主軸の復帰は歓迎すべきことに挙げられる。
【マイナス材料】
残り4試合へ2連勝と調子を上げているのは事実だが、マイナス材料がないわけではない。気になるのは、FWエヴェラウドの生かし方だ。
昨季18得点を挙げたストライカーだが、今季は完全に沈黙している。ここまで24試合に出場して1得点。途中出場が増え、ピッチに立っても効果的な働きを見せられないでいる。本人のコンディションの問題や指示など外側から知り得ない部分はあるが、決して能力が低いわけではなく、エヴェラウドを生かそうという動きになっていないように見える。
もちろん個人よりもチーム戦術が優先されるべきだが、終盤の狙いを持った局面では個人を生かす判断の割合が増えてもいい。1点勝負になるリーグ終盤戦。3位を実現するためには、エヴェラウドの力が必要になる。
文:totoONE編集部
■浦和レッズ 安定感抜群の最終ラインに不安なし。懸念は主力の負傷と累積警告
【プラス材料】
前節の川崎フロンターレ戦は目の前で優勝を決められてしまったが、試合終了間際に同点に追いついて引き分けに持ち込み、試合内容の部分でもチームには手応えが残った。
ACLの出場権を争う直接対決であり、立場的には負ければ脱落する両チームだけに熱戦が予想される。
FWキャスパー・ユンカーが川崎F戦を欠場したため、中3日でもMF小泉佳穂が前線に入る構成が継続されるか。疲労の状況次第で入れ替わるポジションが出る可能性もあるが、基本的に大きな変更はないだろう。
鮮やかなパスワークの川崎Fに流れの中から決定機は作らせず、守備ブロックの構築から最終ラインの安定感は特筆すべきレベルになってきた。大崩れさえしなければ、厳しいアウェイゲームでも際どい勝負には持ち込める。
【マイナス材料】
ユンカーは先月に内転筋の問題で緊急欠場した試合があり、同じようなトラブルが推測される。また、MF柴戸海は川崎F戦で負傷交代したため、そのまま途中出場したMF伊藤敦樹がスタメンになる可能性が高いだろう。いずれもコアメンバーであるだけに、リカルド・ロドリゲス監督もギリギリまで出場の可能性を模索しそうだ。
チームに累積警告で出場停止まであと1枚の選手が5人いることは終盤戦の不安材料。毎回ハードな局面が多くなる鹿島アントラーズ戦だけに、次節以降に向けての懸念材料にもなる。前述の負傷者と併せ、積み上げてきたチーム力が問われそうだ。
小泉とMF江坂任の前線コンビはボール保持に強みを発揮する一方、ゴール前での迫力はどうしても不足する。ゴールの少ないセットプレーを含め、チャンスをものにできるか。
文:totoONE編集部