[写真]=FAGIANO OKAYAMA
10月の『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間MVP』が発表され、J2はファジアーノ岡山に所属するMF上門知樹が受賞した。10月は5試合に出場して4得点を記録。岡山も2勝3分けと好調で現在も無敗を継続している。
岡山移籍1年目の昨季は「ミドルを警戒されて二桁得点に届かなかった」と悔しい7得点止まり。持ち味の「シュートまでどう持ち込むべきなのか」を分析し、今季は新たに「背後への抜け出し」を体得。J2得点ランキング6位の12得点で岡山をけん引している。
取材・文=三島大輔
――まずは10月の『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間MVP』受賞おめでとうございます!
上門 ありがとうございます! チームの調子も良かったので、少しだけ期待していました(笑)。以前から「受賞したいな」という思いがあったので、受賞できて良かったです。
――10月は5試合に出場して4得点を記録しました。ゴールを量産できた理由をどう分析されていますか?
上門 自分自身シュートへの意識が高まったこと。そしてチームメイトの助けがあり、4得点を取ることができました。チーム全体でゴールへ向かう形が結果として現れたと思います。
――現在9戦無敗と上門選手の活躍がチームの結果にもしっかり結びついています。
上門 夏に加入した石毛(秀樹)選手、(ミッチェル)デューク選手が早々にフィットしてくれて、やることがはっきりしました。一時期はチャンスメイクの部分にも着手したのですが、結果的にゴールまでの距離が遠くなってしまい、あまり持ち味を発揮できませんでした。石毛選手の加入で今はゴールを取ることに集中できていますし、2トップを組むデューク選手ともいい関係性を築けています。チームは有馬(賢二)監督の言ったことに対して、真面目に取り組んできました。現在9戦無敗ということで、これまで取り組んできたことが間違っていないことを証明できていると思います。
――まさにいい守備をベースからいい攻撃につながっている印象です。
上門 前から行く・行かないの判断や距離感が大事です。全体をコンパクトに保ちながら、メリハリのある守備ができていますし、ボールを奪ってからのいい攻撃で得点も取れています。一人ひとりが意識高く練習から取り組んでいるので、チームとして攻守のイメージがしっかり共有できていると思います。
――特に先制に成功した際のゲーム運びは見事です。“クローザー”濱田水輝選手を投入しての逃げ切りパターンは自信を持っていますよね?
上門 そのパターンで勝てた試合は多いですし、「先制したら負けない!」という強みは、チーム全体の共通認識としてありますね。最近は先制できる試合も多くなり、結果として無敗を継続できています。仮に追いつかれても最低限ドローに持ち込めていますし、大崩れすることはないと思います。
――FC琉球時代はトップ下、昨季は中盤の2列目の左サイドが主戦場でした。今季は主に2トップの一角を担っていますが、新たに取り組んでいることはありますか?
上門 琉球時代に2トップで出場したこともあるのですが、潰されてしまうシーンが多く、なかなか自分の良さを出せませんでした。これまでの経験を踏まえ、背後への抜け出しに取り組んでいます。もともとシュートは自分のストロングポイントなので、そのシュートまでどう持ち込むべきなのかを考えました。有馬監督からアドバイスもいただきましたし、動きの質を高めるトレーニングも行っています。琉球時代はミドルシュートでのゴールが多かったのですが、昨季はそのミドルを警戒されて二桁得点に届かなかった。なので、今季は背後への抜け出しに力を入れています。あとはボールを奪われてからの切り替えは誰よりも早くすることを心がけていて、それがゴールにつながっている部分もあると思います。
――第33節の東京ヴェルディ戦でのゴールは、抜け出しての強烈な一発でしたね! ちなみに上門選手が参考にしている選手はいますか?
上門 今、セルティックで活躍している古橋亨梧選手の動きは参考にしています。岡山は前線からの守備が求められるチームなので、プレスバックという部分で参考にしているのは前田大然選手(横浜F・マリノス)。プレスのタイミングやポジショニングを見て、実際に試しています。
――先ほど持ち味のシュートのお話も出ました。いつ頃パンチ力のあるシュートを体得したのでしょうか?
上門 小学生の頃から周囲と比べて「キックはよく飛ぶな」と感じていました。小学校時代は遠目からシュートを打って入ることも多かったですね。中学生になって筋肉も付き始めて、本格的にシュートを練習するようになりました。サッカーを始めた時からシュートがストロングポイントですね。“感覚”でやっているので説明するのもなかなか難しいのですが、昔から蹴り込んできた自分だけの感覚があります。
――さて、新型コロナウイルスによる規制も徐々に緩和され、スタジアムに活気が戻ってきました。特にホームゲームでの心強さを感じているのではないでしょうか?
上門 岡山のサポーターは熱いですし、後押しがあって勝ち点を拾えた試合もありました。今季の序盤は寂しさを感じていたのですが、コロナも少し落ち着いてスタジアムにたくさんのサポーターが入れるようになってから勝ち点も稼げています。ホームは本当に大きなアドバンテージです。今はチーム、個人として好調を維持できているので、後押ししてくれる皆さんのためにも記録を伸ばしていきたいと思っています。
――今季での昇格は叶いませんでしたが、来季J1を目指す上でのポイントはありますか?
上門 上位陣を相手にもいい戦いをして勝ち点が取れている一方、自分たちより下位にいるチームとの対戦で取りこぼすことが多かった。そういったチームにも勝ち切れるようになれば、自然と上に行けると思います。来季はJ1から4チームが降格してJ2の注目度も高くなるはずです。岡山はJ1を目指せるチームなので、来季はもっと昇格争いに絡んでいきたいですね。
――では、最後に熱い岡山のサポーターへ、メッセージをお願いします!
上門 残り4試合、熱い岡山サポーターの皆さんのために少しでも勝ち点を積み重ねられるよう頑張ります! 最後まで熱い応援をよろしくお願いいたします!
By 三島大輔
サッカーキング編集部