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川崎Fがアジアツアーでベカメックス・ビンズオンFCと対戦…日本・ベトナム両国の架け橋に

2022.11.22

[写真]=宇佐美淳

 川崎フロンターレはアジアツアー最後の目的地であるベトナム・ビンズオン省を訪れ、かねてから協力関係にあるベトナム1部ベカメックス・ビンズオンFCと11月20日に親善試合を開催した。日本とベトナムが2023年に外交関係樹立50周年を迎えるにあたり、日越サッカーの懸け橋という役割を担っている両クラブが、特別親善試合を行うこととなったのだ。

 両クラブにはスポンサー同士のつながりがあり、川崎のクラブパートナーである東急と、ベカメックス・ビンズオンのメインスポンサーであるベカメックスIDCが2012年に合弁会社を設立し、ビンズオン省で都市開発に着手。商都ホーチミンから車で1時間ほどの距離に位置するビンズオン省は、海外企業の投資誘致にも積極的で、特に製造業が盛んな土地として知られる。

 両クラブは日越40周年の2013年に、トップチーム同士の国際親善試合「東急ビンズオンガーデンシティカップ」を開催。これを皮切りに、2014年以降も子供向けのサッカー教室や交流試合、指導者交流などを続けてきた。日越45周年の2018年には、両クラブが主幹となりUー13越日国際親善大会を発足。さらに、川崎は2021年にJクラブとして初となるベトナムサッカースクールをビンズオン省に開校するなど、サッカーを通じた国際交流を展開している。

 そんな両クラブがトップチーム同士で試合を行うのは2013年以来。今季惜しくも2位に終わった川崎は、シーズン終了後のアジアツアーでまずタイを訪問。Jリーグアジアチャレンジinタイで2試合を消化後、多くのメンバーが帰国したため、ベトナム帯同メンバーは、瀬古歩夢、橘田健人、遠野大弥、宮城天、安藤駿介、早坂勇希、佐々木旭、松井蓮之ら一部のトップチームメンバーに若手を加えた構成だ。このうち宮城は、Uー13時代にビンズオン遠征に参加した経験がある。ベトナムのファンは、宿敵タイの英雄であるチャナティップの参加を期待していたが、残念ながらベトナム遠征には帯同しなかった。

[写真]=宇佐美淳

 一方のビンズオンは今季のリーグ戦で7位と優勝争いにも残留争いにも絡まなかったが、リーグ最終節を終えた翌日に川崎との試合に臨むという過密日程となった。しかし、Jリーグのトップクラブである川崎との対戦は選手にとって大きな経験になると考え、なんとか有意義な試合にしようとする姿勢が現場の指導陣からはうかがえた。

 川崎との試合では、主将のトー・バン・ブーを含め最終節で起用しなかった主力数人がスタメンに復帰したものの、ビンズオンも若手中心のメンバー構成とならざるを得なかった。地元メディアを驚かせたのは、リマリオ(今季リーグ得点王)とモーゼス(元ウガンダ代表)がスタメンに名を連ねたことだ。両選手は先日、ベトナム1部ハイフォンFC(今季Vリーグ2位)を退団したばかりで、現在はビンズオンで練習参加中。また、最終節をケガで欠場していたベトナム代表のエースストライカー、グエン・ティエン・リンはこの日も欠場だった。

 この日のスタジアムの雰囲気は非常に良く、普段のリーグ戦よりも多くの観客が入っていた。スタジアム周辺で開催された日本祭りも大盛況。現地進出している日系企業のブースや日本食レストランの出店が並び、ミニゲームのコーナーなども設置され、大勢の地元住民や現地在住の日本人らで賑わっていた。

[写真]=宇佐美淳

 注目の試合は、前半立ち上がりから川崎がボールを握る展開となり、ビンズオンゴールを脅かしたが、GKグエン・ソン・ハイの好守もあり、ビンズオンが何とかしのいでいく。試合が動いたのは36分、山内日向汰が中央に切れ込んで豪快なミドルをたたき込んで川崎が先制し、川崎が前半を1点リードで折り返す。

 後半も流れは変わらず川崎のペースで進む。ビンズオンは粘り強く守りながら時折カウンターを見せるが、効果的な攻撃とはならない。一方の川崎は、82分にCKのこぼれ球を宮城天が決めて追加点。試合はこのまま2ー0で川崎が勝利し、アジアツアー、そして2022年最後の試合を勝利で締めくくった。

[写真]=宇佐美淳

 川崎とビンズオンの協力関係が始まって、来年で10年目を迎える。今後も15年、20年と川崎は長期的にアジア戦略を進めていく方針だ。また近い将来、トップチーム同士の3度目の対戦もあるかもしれない。願わくばAFCチャンピオンズリーグでの対決が実現してほしいものだ。

取材・文=宇佐美淳

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