試合前にはペトロヴィッチ監督の記念セレモニーが開催された [写真]=J.LEAGUE via Getty Images
2023シーズンの明治安田生命J1リーグ第4節が12日に行われ、北海道コンサドーレ札幌が横浜F・マリノスを2-0で下した。試合後、札幌を率いるミハイロ・ペトロヴィッチ監督が会見に臨んだ。
前節のアルビレックス新潟戦はペトロヴィッチ監督にとっての“メモリアルマッチ”だった。というのも、これまでサンフレッチェ広島や浦和レッズも率いてきたペトロヴィッチ監督にとって、J1リーグで最多となる自身525試合目の指揮だったからだ。しかし、敵地で行われた新潟戦は2-2で終了。“メモリアルマッチ”を勝利で飾ることはできなかった。
このような状況で迎えた本拠地『札幌ドーム』での今季2戦目、相手はここまでのJ1で2勝1分と負けがない昨年王者の横浜FMだ。キックオフ前にペトロヴィッチ監督の記念セレモニーが行われた一戦では、立ち上がりの8分にホームチームが先制する。GKク・ソンユンのロングフィードから、競り勝った金子拓郎が右サイドを突破。最後は小柏剛がゴールネットを揺らした。その後も横浜FMとの一戦では“お馴染み”となったオールコートマンツーマンに近い形で相手に自由を与えず、77分にはバックパスを狙っていた小林祐希が勝負を決める追加点。試合はこのままタイムアップを迎え、札幌が今季公式戦初勝利を挙げた。
試合後、ペトロヴィッチ監督は「今日のゲームについては、それほど多くを語る必要はないでしょう。札幌が横浜FMに勝利した。その結果が多くを物語っていますので」と総括。「横浜FMは質の高い選手が揃っており、彼ら全員がチーム戦術や役割を全うできる手強い相手。Jリーグの中でも最も洗練されており、危険で、1つレベルの抜けているチームです」と横浜FMを称賛した上で、試合を優位に進めるための狙いを明かした。
「私自身が横浜FMを分析した中で思ったことは、攻撃はストロングである一方、ウィークがあるとするば守備の部分。横浜FMのウィークを突いていきたいと考えた中で戦術を練ると、前からボールを奪いにいくことが機能すれば我々にとっては大きなアドバンテージで、主導権を握ることができると思っていました」
「(横浜FMの)前線に個の能力が高い選手が多いため、局面での1対1やスペースを与えるのは非常にリスキーです。それでも、そうしたリスクを背負ってでも前から奪いにいくという姿勢を見せ、それが上手くいったゲームだと思います」
ペトロヴィッチ監督の言葉通り、この試合の札幌は横浜FMの陣形が前がかりになった際には背後へのロングボールを織り交ぜており、自陣に相手を引きつけてからのスペースを狙った攻撃で多くのチャンスを作り出していた。ペトロヴィッチ監督は「背後を突くということに関してはどの試合でも狙っている」と横浜FM戦“限定”の狙いではないと述べた上で、「札幌の戦い方はパスサッカー、繋いでいくことを大事にしている。前から来るなら相手の背後が空く。そこをスピードのある選手が狙う。そうした攻撃のバリエーションを持つ中でスピードのある選手が重要になると考えています」と主張。この試合で先制点を挙げただけでなく、効果的な飛び出しで札幌の攻撃を活性化させた小柏については「彼が復帰したことはチームの戦い方にバリエーションをもたらしています。彼のスピードは相手の脅威になっており、今日だけでなく前節もそうでした」と称賛した。
昨季王者相手にパーフェクトな試合運びを見せ、今季初勝利を挙げた札幌。ペトロヴィッチ監督も「分かりやすいようにドイツのブンデスリーガで例えると、横浜FMはバイエルンで札幌はボーフムです。もしボーフムがバイエルンに2-0で勝利したならば、ドイツではそれがセンセーショナルなニュースとして1週間も話題になります」と話しつつ、「私が17年間日本で仕事をしてきた中で、今日は最も洗練された試合ができました。今日の試合はモダンでアップテンポで非常にアグレッシブで、最も優れたゲームだと評価できます」と勝利を喜んだ。
加えて、「私自身は結果だけでなく内容も求める監督ですが、本日は結果においても内容においても素晴らしいゲームでした」と評価。「たくさんのチャンスがあり、もっと多くの点が取れたかもしれません。見本となる素晴らしいゲームだったと思います」と語った。
取材・文=榊原拓海
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