[写真]=J.LEAGUE
4月の『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間ベストゴール』が発表され、J2はFC町田ゼルビアに所属するFW荒木駿太が受賞した。
受賞したのはJ2第10節 大分トリニータ戦の23分に決まったゴール。右CKから翁長聖と平河悠が連動して抜け出し、最後はフリーになった荒木がニアサイドにシュートを決めた。「最終的には自分が決めて受賞できましたけど、チーム全員で決めたゴールだと思っています」という、見事なまでに崩し切ったトリックプレーを振り返ってもらった。
取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
――まずは4月の『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間ベストゴール』受賞おめでとうございます!
荒木 プロになってから初めての個人賞なので、素直に嬉しいです!
――デザインされたCKから決めたゴールを改めて振り返っていただけますか?
荒木 まず平河選手がニアに走り込むのがポイントで、黒田(剛)監督からは「死んだふりをする(※プレーに関与しないように見せかける)演技力が重要だ!」と言われていました。翁長選手のフリックも抜群で、平河選手が抜け出したタイミングで勝負は決まったのかなと思います。エリア内ではチャン ミンギュ選手が自分のマークを上手くブロックしてくれていたので、フリーの状態でシュートまで持ち込むことができました。最初はファーサイドを狙うつもりでしたが、瞬間的にニアサイドを選択しました。全てが思い通りになったゴールだったと思います。
――このデザインされたCKは、どれくらい練習を重ねたのでしょうか?
荒木 大分戦の2〜3日前から練習をしていたのですが、なかなか上手く決められず監督から「スター性がないな〜」と言われていました(笑)。ただ、「本番では決めます!」と宣言していたので、綺麗に決まってホッとしましたね。
――このCKを繰り出すタイミングも重要だったと思います。
荒木 右CKを獲得したらやるという共有認識はありました。上手く連携して平河選手が抜け出した瞬間に「これは来た!」と思いましたね。少し緊張しましたが、落ち着いて決めることができて良かったです。最終的には自分が決めて受賞できましたけど、チーム全員で決めたゴールだと思っています。
――今季はサガン鳥栖から期限付き移籍という形で町田に加入しました。移籍を決断した理由を教えていただけますか?
荒木 青森山田とは高校時代によく対戦をしていて、黒田監督のチームは粘り強く、すごく嫌なチームでした。ただ、自分も「黒田監督のサッカーに合うな」という感覚がありました。また鳥栖に入団できたのは、金明輝さん(現在 町田ヘッドコーチ)がいたからこそだと思っています。黒田監督と明輝さんの2人がいるのは、自分にとってすごく大きかったです。「町田ならまた成長できる」と思い、移籍を決めました。
――今季の町田は守備に対する意識が高く、“先手必勝”の素晴らしいチームになっていると思います。日々どんな練習をしているのでしょうか?
荒木 まずは守備からです。「相手にシュートを打たせなければ得点は入らない」と言われていますし、とにかくエリア内では全員が体を張るチームです。日々の練習から守備の強度は求められているので、ここまでの試合でもそれが自然と体現できているのだと思います。
――荒木選手の絶え間ないプレスがチームを支えていると思います。学生時代から走力には自信があったのでしょうか?
荒木 いえ、昔は全然走れませんでした。中学時代はずっと後ろの方で走っていたのですが、コーチに「キャプテンがそんな後ろにいて良いのか?」と喝を入れられ、そこから頑張って練習をして前の方で走れるようになりました。高校時代は小嶺(忠敏)先生(長崎総科大学附属高校)のもとでサッカーを教わりました。とにかく練習がきつかったのですが、逆に「ここを乗り越えたら何でもできる」という自信が付きましたね。今、思い返すと中学・高校・大学と全て走るチームでした。学生時代の経験があって成長できたと思いますし、指導してくれた皆さんに感謝しています。
――きつかったけど、体力が付いたという練習はありますか?
荒木 高校時代に5kgのメディシンボールを持ってリレーをするという練習はきつかったですね。体全体を使うので、次の日は確実に筋肉痛になっていました(笑)。リレー形式で楽しいですけど、めちゃくちゃきつかったです。
――ここから気温が上がっていく中、荒木選手の豊富な運動量は間違いなく武器になると思います。
荒木 夏には強いですし、これから自分のストロングポイントがより生きてくると思います。今以上の成績を残して、2位ともっと勝ち点差をつけて圧倒して優勝したいと思っています。この夏が勝負だと思うので、チーム一丸となって頑張っていきたいです。
――改めてここまでの手応えと、これからに向けた抱負を聞かせてください。
荒木 今はチームとしてすごく良い雰囲気ですし、コミュニケーションも活発です。「毎試合勝つ!」という気持ちで日々良いトレーニングができているので、これを続けていきたいと思います。前線にミッチェル デューク選手とエリキ選手がいるので、彼らをもっともっと生かせるような形を作ることができれば、J2優勝・J1昇格という目標に近づいていけると思っています。
――シーズンはすでに3分の1を消化し、クラブ全体で決起会BBQがあったそうですね。
荒木 普段なかなかお話しできないようなフロントスタッフの方たちも一緒でした。お肉も美味しかったですし、すごく楽しい時間でしたね。「ゼルビアに来て良かった!」と感じた瞬間でした。
――では、最後にファン・サポーターの皆さんにメッセージをお願いします。
荒木 ホーム・アウェイを問わず、雨の中でも応援に来てくださって、ありがとうございます! ファン・サポーターの皆さんの声が自分たちの力になっているので、まだまだシーズンは長いですけどJ2優勝に向けて一緒に闘ってください。これからも応援よろしくお願いいたします!
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By 三島大輔
サッカーキング編集部