[写真]=J.LEAGUE
8月の『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間ベストゴール』が発表され、J2はV・ファーレン長崎に所属するMF中村慶太が受賞した。
受賞したのはJ2第30節・水戸ホーリーホック戦の83分に決まったゴール。カイオ セザール、ジョップ セリンサリウとの見事なワンツーから、ダイレクトシュートでゴールネットを揺らした。「カイオ選手のポジショニングとジョップ選手が少しサイドに開いてパスコースを作ってくれたおかげで決めることができたと思います」という好連携でのゴールを振り返ってもらった。
取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
――まずは8月の『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間ベストゴール』受賞おめでとうございます!
中村 これまで受賞したことがなかったので嬉しいです。ただ、チームを勝利に導くゴールではなかったので、9月以降はそういったゴールを増やしていきたいと思います。
――素晴らしい連携から決めたゴールを改めて振り返っていただけますか?
中村 まずパスを受けた際、相手のボランチの選手がプレスに来ていることが分かりました。前に仕掛ければ相手の足が止まると思いましたし、カイオ選手が良いポジションを取っていたので、イメージ通りのワンツーができました。ラストパスを狙うつもりでしたが、相手DFがジョップ選手のパスコースを切れていなかったので、もう一つ前に侵入できると思いました。相手DFとの間合いもありましたし、ジョップ選手の落としが良かったですね。シュートはダイレクトでコースを狙えば、GKもタイミングを取りづらいと思ったので、ダイレクトを選択しました。特に練習をしていた形ではないのですが、カイオ選手のポジショニングとジョップ選手が少しサイドに開いてパスコースを作ってくれたおかげで決めることができたと思います。
――今夏、柏レイソルから古巣・長崎への復帰を決断しました。移籍発表が6月30日、30歳の節目を迎える誕生日当日でしたね。
中村 夏の移籍は急に決まるものです。チームへの挨拶や引越し作業も踏まえ、一番早いタイミングが6月30日でした。よく「狙っただろ!」と言われますけど、全くそんなことはなくて(笑)。ドタバタで深夜に長崎に着いたので、誰からもお祝いされずに終わった誕生日でした(笑)。ですが、このタイミングで移籍が成立したのは、何かの縁だと思います。生涯忘れることはないでしょうね。
――第2登録期間で移籍した選手がプレーできるのは、最短で7月22日(土)のJ2第27節からでした。この約3週間は大きかったですか?
中村 早く長崎でプレーした方が、戦術面も含めて馴染めると思いました。毎週、練習試合があったので試合勘や連携を深めることができました。この準備期間があって良かったなと思いますし、もし加入して1週間なら今回のような連携からのゴールは取れなかったと思います。
――複数のポジションをこなし、長崎の攻撃をけん引しています。ファビオ カリーレ監督からの信頼も厚いと思うのですが、攻撃面ではどんなことを要求されているのでしょうか?
中村 「常にボールに絡んでほしい」と言われています。出場するポジションによって役割は少し違いますが、攻撃のアクセントという意味では同じです。ゴールやアシストを増やしながら、チームの攻撃を良くすることを心がけてプレーしています。
――ルーキーイヤーから中村選手を応援している長崎のファン・サポーターの中には、ボランチやインサイドハーフでの起用に驚いている方もいるかもしれませんね。
中村 昔から知ってくれている長崎のファン・サポーターの方は、「プレースタイル変わったな」と思うかもしれませんね。それこそ松澤(海斗)選手のようなプレースタイルで、どんどんドリブルで仕掛ける選手でした。そこからJ1で経験を積んで、サッカー感が鍛えられました。今のプレースタイルを確立しつつ、チャンスの時はもっとドリブルで仕掛けていこうと思っているので、そのバランスをうまく取りながらやっていきたいです。
――プロでのボランチ起用は、清水エスパルス移籍後からだと思います。
中村 大学時代からボランチはやりたいと思っていました。ドリブルもできるということで前線での起用が多かったのですが、現在FC東京のピーター(クラモフスキー)監督に出会って、その可能性を広げてくれました。自分のサッカー人生でもすごく大きな出会いだったと思いますし、ボランチでプレーするきっかけをくれたことに感謝しています。
――外から見ていた今季の長崎の印象と、実際にプレーしてみての印象はいかがでしょうか?
中村 長崎の試合はハイライトですけど、毎回チェックしていました。選手一人ひとりのクオリティはすごく高いと思います。良い試合をする時は手が付けられないですけど、一方でなかなか噛み合わない時もある。その波をなくすことができれば、もっと勝ち点が取れると思っています。僕が加入してからもそういった試合はいくつかあるので、原因をはっきりさせて、波をなくしていきたいと思います。
――J2はいよいよ最終盤です。第36節はホームで1位FC町田ゼルビア、第37節はアウェイで2位ジュビロ磐田との連戦を控えています。
中村 まずは目の前の相手に勝ち続けて、上位にプレッシャーをかけることが大事です。勝ち点が離れていると、相手は引き分けOKになってしまう可能性もあります。しっかりと準備をして、町田・磐田に勝てるように精度を上げていきたいと思います。
――来季からは新スタジアムも開業します。
中村 まだ中には入っていないですけど、長崎市内を通る時に「工事が進んでいるな」と思いながら見ていますし、SNSで進捗情報をチェックしています。日本トップクラスのスタジアムができるので、柿落としはJ1で迎えたい。なんとしてもJ1昇格を果たしたいと思います。
――では、最後にファン・サポーターへメッセージをお願いします。
中村 J1に昇格するため、長崎に帰ってきました。そういった思いは強く持っています。ただ、それは僕だけではなく、チームメイト全員が持っています。なかなか勝ち点を拾えない時期もありましたけど、残り8試合はまだ遅くないです。自分の生活の一部を犠牲にしてでも、長崎のためにしっかりと戦います。最後は笑って終われるように、良い準備をして頑張りたいと思います!
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By 三島大輔
サッカーキング編集部