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かつてのホーム・埼スタで躍動…古巣浦和撃破の原動力となった小泉佳穂が味わった特別な感情

2025.03.03

古巣浦和との対戦を迎えた小泉佳穂 [写真]=Getty Images

 4月並みの温かさに誘われ、5万1009人もの大観衆が集結した3月2日の埼玉スタジアム。この大舞台で行われた浦和レッズ柏レイソル戦に特別な思いを抱いていた男がいた。

「浦和にとってのホーム開幕戦というのもあったし、正直、早すぎて嫌だった。本当にキャンプの時から浦和戦を思い浮かべて寝られなくなるくらい、考えちゃうだけで鼓動が早まっちゃうような、それだけ僕にとっては特別な意味を持つゲームでした」

 神妙な面持ちでこう語るのは、柏の背番号8・小泉佳穂。ご存じの通り、2021〜24年までの4シーズンを浦和で過ごした彼は今年頭から新天地へ赴いたばかり。頭の切り替えが難しかったのだろう。

 それはサポーターも同様。試合前のメンバー紹介で凄まじいブーイングを浴びせたのも、小泉への愛着の表れだったに違いない。

「ブーイングは有難いこと。浦和にいた証でもあるので」と同じく古巣対決となった犬飼智也も話していたが、彼や木下康介、今季から柏を率いているリカルド・ロドリゲス監督とともに小泉も「浦和に勝って恩返ししたい」と心に誓い、慣れ親しんだピッチに立ったに違いない。

 3-4-2-1の右シャドウに陣取った彼は中間ポジションに立ち、時には右サイドに流れながらボールを受け、浦和の守備をかく乱した。3カ月前まで一緒に練習していた安居海渡が主にマークについてきたが、その裏をかくようなパス出しや駆け引きを披露。サッカーIQの高さを随所に示した。

 前半14分の先制点も小泉がお膳立てしたものだった。柏は最終ラインからの丁寧なビルドアップで相手を押し込み、背番号8がボールを受けた時点で左サイドが大きく空いていた。彼はこれを見逃さず、大きく展開。小屋松知哉がドリブルで関根貴大をかわし、右足で豪快なゴールを決めたのだ。

「構造的に空く場所でボールを受けられたし、構造的に空く場所に出せた。すごく意図したプレーではあったんですけど、本当に決め切った小屋松選手が全てかなと思います。浦和は開幕から勝っていなくて、このホーム開幕戦は期するものがあった。その中での先制点を取られる状況はかなりしんどいだろうと思っていた。本当に大きな意味があったし、相手の嫌がることを着き続けたのがよかったですね」と小泉はしてやったりの表情を浮かべたのだ。

 前半31分の垣田裕暉の2点目も小泉が右サイドから上げたクロスから生まれている。「自分のところにかなり余裕がある状態でボールが回ってきている。そこはビルドアップ部隊が本当にいいんだと思います。自分がいいところに立っていれば出てきますから」と彼は自分を生かしてくれた原川力ら後ろの面々にまず感謝した。

 そのうえで、「最後の精度のところは納得しています。いいFWが3人(垣田、木下、細谷真大)いるので、やっぱりFWにもっともっと点を取らせたい」と目を輝かせたのだ。

 1週間で3試合という連戦でほぼフル出場し、これだけのプレーを見せてしまうのだから、小泉のすごさがよく分かる。正直言って、浦和時代は中途半端な扱いをされることが多く、本人の苦渋の表情を浮かべる姿ばかりが目についたが、かつての恩師の下で今季の彼は持てる才能をいかんなく発揮している。まさに「リカルドの頭脳」として柏の攻撃陣を力強くけん引しているのだ。

「あいつはホントすごいです。リカルドが欲しがって獲ったのも分かるし、攻守に渡ってチームの潤滑油になっている。ボールを持ったらうまいことはみんな分かっていますけど、ボールのない時とか守備のスイッチとか立ち位置で相手を動かして、自分たちをよりよくプレーできるように仕向けてくれている。やっぱりキープレーヤーですね」

 浦和時代も共闘していた犬飼智也もしみじみ話していたが、小泉は新たな環境で水を得た魚のようにイキイキしているのだ。

 その姿を目の当たりにさせられ、0-2で苦杯を喫した浦和の面々やサポーターにとっては複雑だったはず。小泉個人もさまざまな思いを抱えながらゴール裏に挨拶に出向いた。「もっとブーイングとか罵詈雑言とかいろいろ言われると思っていたけど、すごく温かく拍手をしていただいて、泣きそうになった(苦笑)。自分にとっては本当に特別なクラブだし、特別なファンサポーターだなというのはすごく感じました。今のJリーグは群雄割拠の状態だけど、浦和レッズはビッグクラブだし、もっとメガクラブになる資質がある。チームを離れたからこそ、それを強く感じました」と背番号8は改めて敬意を口にした。

 結果的に自身の大活躍で柏はJ1首位に浮上。それは小泉にとっては初めての経験だという。

「メチャクチャ嬉しいですけど、まだシーズンが始まったばかり。これからいい時期も悪い時期もあって、そこをどう乗り切って最終的にどこにいるかなので、本当に地に足着けてやりたいなという気持ちです」

 ここからコンスタントに結果を出していければ、柏のタイトル獲得、小泉もアシスト王など目に見える結果が現実になるかもしれない。2025年をキャリアハイのシーズンにすべく、黄色の背番号8はここからも貪欲に前進を続けていくはず。浦和戦という特別な試合を経て、その成長速度は一気にアップしていきそうだ。

取材・文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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