復帰を果たした酒井高徳(写真は今年2月15日のもの) [写真]=Getty Images
3月の代表ウイークが明け、2025明治安田J1リーグが再開。2023・24年王者のヴィッセル神戸はここから一気にギアを上げていかなければならない状況だ。
ご存じの通り、彼らは2月8日のFUJIFILM SUPER CUP 2025を皮切りに、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)、J1の超過密日程を強いられたが、開幕当初から井手口陽介、宮代大聖、広瀬陸斗ら主力級の負傷者が続出。海外移籍に踏み切った初瀬亮の穴埋めもできておらず、戦力不足を露呈。非常に厳しいスタートを切ることになり、ACLEでまさかの16強敗退。J1も開幕から4戦未勝利と信じがたい苦境に直面したのだ。
J1に関しては、3月16日の湘南ベルマーレ戦で5試合目にしてようやく初白星を飾ったものの、暫定順位は17位。この位置から抜け出すことが最重要命題と位置づけられた。
そんな彼らが29日に対峙したのは、今季好調の鹿島アントラーズ。国内7冠の鬼木達監督を迎え、レオ・セアラ、小池龍太ら新戦力がフィットし、6戦終了時点で勝ち点13を確保。首位に立ったのだ。しかも、彼らは本拠地・カシマスタジアムでめっぽう強い。神戸の吉田孝行監督も「我々はチャレンジャー」と試合前に語っていたが、敵を凌駕するサッカーが求められたのだ。
けれども、この日の神戸は重苦しいスタートを切ることになった。鹿島の徹底した大迫勇也、武藤嘉紀に対する守備、中盤での球際と寄せの激しさに阻まれ、なかなかボールを前線に入れられない。鹿島により多くのチャンスを作られ、前半33分にはGK前川黛也のミスをレオ・セアラに突かれ、前半のうちから失点を喫してしまったのだ。
「セカンドボールの攻防もそうですし、ちょっとしたことで流れが変わってしまう。相手の方が自分たちのゴール近くでプレーしていたのはありましたし、僕らはもっとゴールに向かっていく必要があった」と中盤の要・扇原貴宏も不完全燃焼感を覚えたという。
歯切れの悪い戦いぶりをベンチからじっと見つめていたのが、酒井高徳。ご存じの通り、彼は2月15日のJ1開幕・浦和レッズ戦で右縫工筋肉離れに見舞われ、1カ月間離脱。ようやくベンチ入りできる状態になり、試合に帯同したのだ。
「対鹿島はしっかり戦う部分が絶対大事になりますけど、ミスで失点した分、得点を取れるチャンスを残りの時間でしっかりと模索しなきゃいけなかった」と本人も危機感を募らせていたという。
吉田孝行監督もその実情をよく理解していた。だからこそ、宮代や汰木康也、カエターノやグスタボ・クリスマンら持てるカードを次々と切ってテコ入れを図ろうとしたが、敵陣に押し込んでもフィニッシュまでなかなか行けない。苦しい流れの中、81分に最後のカードである酒井高徳を投入したのだ。
背番号24は広瀬と交代して右SBに入り、前にいる武藤とともにサイド攻略からの決定機演出を求められたが、この日はどうしても相手の守備ブロックを崩し切れない。頼みの大迫もゴールに届かず、0-1のままタイムアップの笛。暫定順位ながらJ2降格圏の18位に沈んでしまった。
「勝ててないんで、苦しいとは思いますね…。自分も『できる限り、チームの力になりたい』と思ってキャンプから準備してきた中で5週間も離脱してしまって、別の選手が不慣れなポジションでやらなければいけない状態を作ってしまった。そこにはすごく責任を感じてます。そういう僕が今、どうこう言える立場でもないけど、開幕戦以来のピッチに立てたという意味で、今日は新たなスタート。ここから『力強い』と思ってもらえるプレーを出さなきゃいけないし、もっと前に絡むことも必要。試合中の細かいところでの修正も自分の役割だと思っています」と本人も鹿島戦を機にチームに活力を与え、浮上の起爆剤になることを誓っていた。
実際、背番号24が最終ラインにいるかいないかで、前線や中盤に指示やサポート、危ない場面での対応などは確実に変わってくる。ここまで右SBをこなした松田陸や広瀬も優れたプレーヤーではあるが、周りへの影響力や発信力という部分はやはり酒井高徳には叶わない。
山口蛍というリーダーが去った今、停滞中のチームを鼓舞し、強引に前を向かせるようなタスクをこなせるとしたら、やはり彼しかいない。そういう意味で、酒井高徳の復帰は悩める神戸にとって前向きな材料に違いない。
今のモヤモヤ感を払拭し、連勝街道を驀進しない限り、3連覇への道は遠のいてしまう。すでに鹿島との勝ち点差は10に広がっており、1試合消化が少ないとしても、安穏としてはいられない状況なのは間違いないのだ。
幸いにして4月は横浜FC、アルビレックス新潟、東京ヴェルディといった下位グループとの対戦が続く。ここは百戦錬磨のタフな男に率先して立て直しを図るべきだ。
「今季は先に失点する試合が多いので、それをまず改善しないといけないし、その後の戦い方も改善しないといけない」と扇原も語気を強めていたが、神戸最大の強みである堅守を取り戻すためにも、酒井高徳のフル稼働が必須だ。コンディションをさらに引き上げ、チームの拠り所として躍動することで、王者を窮地から救えるはずだ。
「苦しい時の高徳」の真骨頂を発揮するのはここからだ。エネルギッシュな男の一挙手一投足から目が離せない。
取材・文=元川悦子
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By 元川悦子