なでしこジャパンの永里優季が、元キマグレンのクレイ勇輝の1stミニアルバム「AGAIN」のプロモーションビデオにスペシャル出演した。同PVでは永里の他、プロボクサーの山中慎介、プロサーファーの湯川正人と3人のアスリートが共演を果たした。
「今の私にピッタリの曲だと思いました」
2月に行われたリオ五輪予選で敗退した永里は“どん底”の状態に陥った。メダルの期待を背負いながら、五輪出場を逃したことで、かつて世界一に輝いた“国民的ヒーロー”はマスコミから猛バッシングを浴びた。
「全てを投げ出したくなった。孤独で、どうしたらいいかわからなくなっていた。目指すものがなくなってしまった」
このままサッカーを続けるべきかどうか——。現役引退という4文字まで頭をよぎった。永里はサッカーから距離を置き、いろいろな場所に行って、たくさんの人と会った。次のステージに向かうためのヒントを追い求めて。
「そんな時に、『AGAIN』のプロモーションビデオ出演の話をいただいて。聞いてみたら、これ私のための歌じゃんって(笑)」
永里にとって音楽とは「常にそばにあるもの」だという。家にいる時、車に乗っている時、電車やバスに乗っている時。その時の気分に合わせて、聴く音楽をチョイスする。
「勇気が欲しい、ヒントが欲しい、自分の力や判断だけでは一歩を踏み出せない、どうしたらいいか悩んでいるときに、歌を聞くことで、これでいいんだって自信を持てたり、背中を押してもらったりしています」
クレイ勇輝がキマグレン解散後、初めて発表したミニアルバム「AGAIN」は立ち止まりかけていたアスリートにとって「どストレートにかぶっていた」。
忘れたいCRYに声に出して泣いた時でも
空を見上げ歩くから
笑っちゃうくらいに孤独に負けそうな夜でも
いつか朝日登るから
もう一度信じてみよう
僕は僕のままで大丈夫
そう何度でも何度でもAGAIN
(AGAINより)
前向きな言葉に背中を押された。そして永里は新たな目標を見つけた。
「なでしこジャパンをもっと夢のある場所にしたい。サッカーをやっている女の子に、胸を張って『女子サッカー選手を目指してね』って言えるように。それが今の目標です」
自分のためではなく、誰かのために。新たな思いを抱いて、なでしこジャパンのエースは「再び」走り始めた。
——プロモーションビデオ出演のオファーをもらったときの感想は?
元々、(クレイ勇輝がメンバーだった)キマグレンは聴いてましたし、アルバムも普通に買っていました。神奈川出身という共通点もありますし、海が好きなので、夏の曲が多いので。個人的には泣きたいときに聴きたくなるんです。聴いているだけで涙が出て来るというか。チェルシーに移籍して2シーズン目は泣きたくなることがあったので、そういうときによく聴いていました。
——音楽は永里選手にとってどんな役割を果たしますか?
勇気が欲しい、ヒントが欲しい、そういうとき。自分の力や判断だけでは一歩を踏み出せない、どうしたらいいか悩んでいるときに、歌に力をもらったり、ヒントをもらったりして、これでいいんだって自分の思ってることに自信を持てたり。
——どんなシーンで音楽を聴きますか?
家にいるときは大体音楽をかけてますね。テレビもあまり見ないので、常に音楽と共にあります。移動中も必ず音楽を聴いています。車では歌いながら、バスとか電車とかに乗っているときも。
——好きなジャンルはありますか?
これっていうのがなくて。そのときで心の状態が違うから、自分の中に入って来る歌詞も違うんです。そのときの心情を大切にしたいと思うから、「あ、いいな」って思ったら買っちゃいます。
——「AGAIN」という楽曲を聴いた印象は?
今の自分に“どストレート”にかぶってるなって。2、3カ月前まで、全てを投げ出したいぐらい、ここからどうしたらいいかわからないという状態になっていたので。サッカー自体をやるのかどうかを考えるところまで行きましたし。これから自分は何がしたいんだろうと悩みました。中途半端にサッカーを続けるのもイヤだったし、目指すものがなくなったわけではないんですけど、自分の中でどこに向かっていけばいいのかわかりませんでした。今までは結果が出なかったり挫折したりしたことがあっても、次にどこに向かわなければいけないというのがすぐに出てきたんです。次のステージに向かわなければいけない思っていたけれども、そのステージがどこなのか見えなかった。自分でも、こういう感覚は初めてでした。
——その状態からまた頑張ろうと。
「AGAIN」というのは繰り返すというよりは、再スタートという感覚で私はとらえています。もう1回、またさらなる高みを目指して、選手としてやっていこうと思っています。今の私の目標はなでしこジャパンを夢のある場所にすること。今の現実だとどうしても、女の子に「女子サッカー選手になろう」とは言えない。自分がやっている職業を、胸を張って子供たちに薦められるようにしたいという思いが強くなりました。新しい目標に向かって、再スタートしていきたいと思います。
■アルバム情報
クレイ勇樹
1stミニアルバム
「AGAIN—また夏に会いましょう—」
2016年7月27日発売
2000円(税抜)
【収録曲】
AGAIN
波乗りSUMMER
浴衣カーニバル
海にいこうか
DADADA—祭りの後の静けさに—
星を探して
また明日
クレイ勇輝オフィシャルサイト
http://www.kureiyuki.com
AGAIN PV SPORTS VER
By サッカーキング編集部
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