女子韓国代表の注目選手。左からDFチャン・スルギ、MFチョ・ソヒョン、MFイ・ミナ[写真]=Getty Images
12月8日、EAFF E-1サッカー選手権(女子)初戦でなでしこジャパンが対戦するのは韓国だ。女子代表の日韓対決は2016年3月のリオ五輪予選(1-1ドロー)以来となる。
韓国は2015年、3大会ぶりとなる女子ワールドカップ出場を果たすと、グループステージでスペインを破るなどしてベスト16に進出。リオ五輪出場は逃したものの、ユン・トッキョ監督が続投し現在に至る。2017年3月のキプロスカップではオーストリア(5カ月後の女子EUROでベスト4)と引き分け、スコットランドとニュージーランドに勝利した。なでしこジャパンの高倉麻子監督は、就任以来初対戦となる韓国について「メンバーは大きく変わらずに、順調に組織的な部分でも強化を一つずつ積み上げているのかなという印象」と、強化の継続性について言及した。
現役選手で最も有名なのは、かつてINAC神戸の黄金期を中心で支えたチ・ソヨンだが、彼女は所属するチェルシー(イングランド)の意向もあり今大会には参加しない。いわば大黒柱を欠いた陣容でEAFF E-1サッカー選手権を戦うことになるが、あらためて選手リストを眺めてみれば、カナダ女子ワールドカップメンバー10人、リオ五輪予選メンバー13人が名を連ねる。今大会もおそらくベースとなる4-3-3のフォーメーションは崩さずに戦うと予想される。
選手たちの所属先は、国内リーグ「WKリーグ」が20人、大学が3人。WKリーグ5連覇中の仁川現代製鉄が最多の9名を輩出している。なおWKリーグは先日(11/26)、オールスターチームを結成してINAC(鮫島彩、三宅史織、中島依美、岩渕真奈の代表勢を除く)とフレンドリーマッチを戦い、2-2(延長なしPK4-2)でINACに勝利した。
EAFF E-1サッカー選手権のメンバーの中で、注目してほしい選手は3人いる。
まずはDFチャン・スルギ。トップスピードに乗るまでの加速が鋭い右サイドバックで、1列前でプレーすれば決定力の高さも際立つ選手だ。ちなみに彼女は2010年のU-17女子ワールドカップ決勝で日本と対戦。同点で迎えたPK戦で最後のキックを決め、韓国に初の世界タイトルをもたらした選手でもある。2013年のU-19アジア女子選手権ではFWとして活躍しMVPと得点王に輝き、同年のアジア年間最優秀女子ユース選手として表彰された。2015年にはINACでプレーして、なでしこリーグ7試合出場(0得点)を果たした。
2人目はMFチョ・ソヒョン。今回の来日メンバーの中で、フィールドプレーヤーでは最多の代表キャップ102を誇る。1対1の攻防と大きな展開力が持ち味で、代表ではアンカーまたはセンターバックとして活躍する。所属する仁川現代製鉄ではトップ下で出場することもあり、WKリーグの年間王者を決めるチャンピオンシップでは2列目から飛び出して技ありのループボレーを決めた。彼女も1シーズンINACに所属したことがあり、2016年のなでしこリーグ17試合に出場(0得点)した。
そして3人目は、MFイ・ミナ。細かいステップで強弱をつけたボールタッチを武器とするインサイドハーフで、EAFF E-1サッカー選手権2次予選のMVPに輝くと、今年10月のアメリカとの親善試合でも2試合連続スタメン出場した。彼女たち3人は、仁川現代製鉄の同僚でもある。
なお、国際舞台における韓国女子サッカー界最大の功績といえば、先述のとおり2010年のU-17女子ワールドカップ優勝だが、当時の優勝メンバーのうち今回のE-1選手権に登録されたのは4人(チャン・スルギ、シン・ダミョン、イ・ソダム、イ・ジョンウン)だ。その大会で準優勝した日本の当時のメンバーからは、高木ひかり、猶本光、田中美南の3人が今大会にエントリーしている。
EAFF E-1サッカー選手権2017の女子のプログラムは、8日、11日、15日に千葉のフクダ電子アリーナで行われる。
文=江橋よしのり