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女子大生だけど、らしくない。清水梨紗と籾木結花が見せたアスリートとしての顔

2018.11.10

清水梨紗(左)と籾木結花(右)。ピッチ上の表情とは違って、はにかんだ笑顔を見せてくれた [写真]=︎NIKE

 清水梨紗籾木結花は、22歳の現役女子大学生だ。けれど、ちっとも“らしく”ない。

 今、1番ハマっていることは何か。そう尋ねると、「なんだろう……」としばらく宙を見つめる。20秒間、考えた末に「サッカー以外の話、するっけ?」「あのプレーが、って話にすぐなっちゃうよね」と言って笑みを交わす。おしゃれなカフェに行ったり、インスタ映えするスイーツを食べ歩いたりもしないという。

 彼女たちの根底にあるのは、もっとサッカーがうまくなりたいという気持ちだ。右サイドバックを主戦場とする清水はアップダウンを繰り返すスタミナとスピードを、FWの籾木は繊細なタッチと多彩なキックを武器に、女子サッカー界を引っ張っている。二人が攻撃面で見せる息の合った連係は、会話のやり取りにも表れていた。

 インタビュー中に顔を見合わせては、ふふっと照れくさそうに微笑む。その度に取材部屋にはふわっとした空気が流れる。だからこそ、彼女たちが真っ直ぐなまなざしで「成長したい」と言った時、アスリートとしての芯の強さを感じた気がした。ちっとも女子大生らしくない。けれど、自分を貫き通す二人が輝いて見えた。

■憧れの舞台に立てるかもしれない。そう考えると、すごく楽しみ

――改めて、お二人のプレースタイルを教えてください。せっかくの対談なので、お互いを紹介するような形でお願いします。

清水梨紗(以下、清水) モミは「ザ・左利き」ですね。ボールの持ち方も右利きの選手と違って独特なんですよ。たとえば、守る時に距離を詰めていても、遠くに感じることがあります。攻撃面では、中に切り込んでチャンスメイクをしたり、自分でシュートを決めたり。とても心強い存在です。

籾木結花(以下、籾木) いつもはこんなに褒めてくれないから、ちょっと恥ずかしい(笑)。

清水 ボールタッチが細かいので、「取れる!」と思っても、いざ足を出したら遠いことがあります。近くに寄っているはずなのに、ボールは遠いというか。何か意識している?

籾木 なんだろう……。ボールタッチが細かいのは、どのタイミングでもボールを出せるように意識しているから。あとは相手のタイミングをずらすことを意識しているかなあ。

籾木結花

――籾木選手から見た清水選手はいかがですか?

籾木 スピードと運動量はチームでトップですね。右サイドで組んでいるんですけど、リサのオーバーラップがあるから自分が中に切り込んで行くことができる。

清水 私もモミだからできる。

籾木 全然違うタイプだからこそ、合うんですよね。リサのスピードが本当にうらやましいよ。でも、対峙はしたくないかなあ。多分、逆を突いても追いつかれるから(笑)。

清水 日テレ・メニーナの時からたっくさん走らされていたから、自然と培われたんだと思う。

籾木 小学生の頃から速かったもんね。速いし、無限に走れる(笑)。

清水 いやいや、試合中はめっちゃ疲れていますよ! 最近はモミとプレーする距離が近いので、試合中に「ちょっと疲れた。モミが行ってきて」と言っています(笑)。

籾木 でも、私がボールを持ったらちゃんと走ってきてくれます。

――そこの信頼関係もバッチリだと。

清水 そう……なのかな?

二人 (笑)。

なでしこ

――FWもDFも相手との駆け引きが重要だと思います。プレー中はどんなことを意識していますか?

籾木 私は常に相手の逆を取ることを意識しています。

清水 私は対峙している選手が何をやりたいのかを考えます。ボールを奪えたら一番いいですけど、そうでなければ相手がやりたいことをさせないようにする。次につながるプレーはさせたくないですね。

――そういった駆け引きは、外国人選手を相手にすると変わりますか?

籾木 感覚が全然違う。

清水 うん、それは分かる。相手はフィジカルが強いし、スピードもある。一対一の守備でも対日本人の間合いでやっていると簡単に抜かれてしまいます。でも、外国人の選手はタッチが大きいんですよ。だから、タッチが大きくなったところに入れるかが勝負ですね。

籾木 たしかに、ダイナミックな動きをしてくるよね。

清水 モミみたいな細かいタッチの選手はあんまりいないもんね。

籾木 普段、「これでオッケー」と思っている間合いでやっていると、相手に寄せられて簡単にボールを奪われてしまうので、間合いの取り方はいつも難しいと感じています。私は背が低いので、足の長さだけでは勝負できない。いつも以上に頭を使ってプレーしないといけないと思っています。

清水 前線にいる選手の選択肢を増やすためにも、サイドバックは走らないといけないと思っています。たとえば、ボールをもらいに行くだけではなくて、モミがプレーをできるスペースを作るために走る。そういうプレーを増やしていかないと、外国人の選手を相手にゴールまではなかなかたどり着けない。それに以前と比べて、サイドバックにスピードが求められるようになりました。強豪国はサイドに突破力のある選手を置いてくるので、改めてスピードは大事だと思いますね。

――小柄な清水選手がサイドで上下動を繰り返す姿は、なんだか長友佑都選手と重なります。

清水 あはは(笑)。ありがとうございます。

籾木 いや、長友選手を超えるんじゃないかってくらいの勢いがあるよ。

清水 そんなことないよ! 私はそんなにすごくない!(笑) でも、ゲームメイクができるようになりたいと思っています。私が起点になれれば、チームとしても攻撃の幅が広がる。それは要求されていることでもあるし、新たに挑戦していることですね。

清水梨紗

――籾木選手はお手本にしている選手や、参考にしているプレーはありますか?

籾木 左利きの選手の動画はよく見ます。右利きの選手は視野や動きが違うので、どんなにうまい選手でも自分の中でイメージが湧きにくかったりするんですよ。(リオネル)メッシ選手やベルナルド・シウバ選手はよく参考にしますね。あとは永田(雅人)監督がブラジルリーグの映像を見せてくれるので、ルーカス・リマ選手を参考にしています。ただブラジル人選手のリズムは独特なので、あれを習得するのは難しいですけどね。

――来年は大きな大会もあります。

籾木 私たちの憧れの舞台だよね。

清水 うん、やっぱりサッカー選手である以上、世界一を決める大会は特別な舞台だよね。そんな場所に立てるかもしれない。そう考えると、すごく楽しみです。

籾木 2011年の優勝を見ているので、自分たちもあの経験をしたいという思いが強いです。来年、再来年と、女子サッカーとして大きなイベントが続きます。でも、そこだけを目指していては、自分の成長が止まってしまう。今は目の前の試合や、日々の練習で成長していくことを大切にしていきたいと思っています。その過程で、日本代表のメンバーに選ばれて、出場して、優勝するということを成し遂げたい。もっとサッカーがうまくなりたいですね。

清水 そうだね。大きな舞台を目標にして、もっとレベルアップしていけたらいいと思います。

インタビュー・文=高尾太恵子
取材協力=ナイキジャパン

二人が語るスパイクへのこだわり

なでしこ

――籾木選手が使用している「ファントム ビジョン」はボールコントロールをサポートしてくれるシューズです。実際にプレーした感触はいかがですか?

籾木 自分がうまくなったんじゃないかと勘違いしてしまうくらい、ボールタッチがしやすいんです! 足にボールが吸い付くような感覚で、スムーズにプレーできるようになって感動しました。

清水 モミはもともとうまいよ。

籾木 いやいや(苦笑)。履き心地も大事ですけど、私はスパイクに込められた思いを大事にしたいと思っています。なので、ボールコントロールを重視した「ファントム ビジョン」は私にぴったりの一足ですね。

清水 私はデザインにこだわっています。もちろん機能性は大事ですけど、色がカラフルなほうがテンションは上がる。ちょっと遊び心が入っているスパイクが好きです。次はピンクで!ってお願いしておこうかな(笑)。

By 高尾太恵子

サッカーキング編集部

元サッカーキング編集部。FIFAワールドカップロシア2018を現地取材。九州出身。

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