W杯前に大会の抱負を語ってくれた籾木 [写真]=野口岳彦
今、籾木結花は憧れの舞台で戦っている。フランスで開催されている女子ワールドカップだ。グループステージを2位で通過した日本は、26日にオランダと対戦する。
籾木は物心ついた頃からボールを蹴っていた。「サッカーをやっていた父が、家の中にボールを転がしていたんです。いつからなのか、はっきりと覚えていないけど、いつのまにかボールを蹴っていました」。そうして籾木は小学2年生から本格的にサッカーを始める。
「当時は、父にプレーについて指摘されるとイライラして、無視することもありました。母は、今でも『ルールを理解しているのかな?』という感じで、純粋に試合を楽しんでくれています。ゴールの瞬間に大きな歓声が聞こえてきたら、『あ、お母さんの声だな』って分かるくらい。そんな母からは『もっと派手なプレーをして』と言われます。私はNIKEのスパイクを履いているんですけど、派手なカラーで分かりやすいと喜んでくれています」
中学1年生で日テレ・メニーナ(ベレーザの下部組織)に入った籾木は、ある変化に気づく。周囲と体格差が出始め、それまで武器にしていたスピードが通用しなくなってきた。「体が小さいことはハードルでした」。当時から成長しているとはいえ、今の身長は153センチ。なでしこジャパンの中で最も低い。「試合に出て、相手に勝つためには何が必要かを考えたときに、今のプレースタイルができあがった」。繊細なタッチと多彩なキック、そして的確な予測を身につけ始めたのはこの頃だった。
代表チームでもそのスタイルを変えることはなかった。国際試合で対戦する相手は、籾木が見上げる選手ばかり。体格差はこれまで以上に感じたが、彼女はその差をむしろ楽しんだ。
「スピードも体格も全然違う。自分でも、大人と子供がサッカーをやっているような感覚なんです。でもそれを壁だと思ったことは一度もない。彼女たちの身長に並ぶことはないと分かっていますから。逆に自分がこの小さい体で相手を圧倒できたらめちゃくちゃ気持ちいいだろうなって考えています」
初めてのW杯にも気後れする様子はない。大会前から「細かいドリブルで大きい選手を置き去りにして、ゴールを決めたい」と意気込んでいた。そんな思いを込めて、NIKEのスパイクには「Just Do It」の文字を刻んだ。「思いっきり楽しみたい」。母親のリクエストである“派手なプレー”で、日本を勝利に導くつもりだ。
By サッカーキング編集部
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