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一人の美容師の活動に賛同し、マイナビ仙台とINAC神戸が「復興支援マッチ」を開催

2021.08.02

サッカー教室終了後には全員で記念撮影[写真]=INAC神戸レオネッサ

 7月30日、マイナビ仙台レディースとINAC神戸レオネッサによる「復興支援マッチ」が、宮城県のセイホクパーク石巻で開催された。

 9月12日のWEリーグ開幕に向けて調整を続けるチーム同士の一戦は、両チームともに決定力を欠き0-0のスコアレスドローに終わった。

 試合後には、宮城県の塩竈市、東松島市、気仙沼市、石巻市の小学生を対象にしたサッカー教室を開催。マイナビ仙台、INAC神戸の選手が子どもたちと一緒にボールを追いかけ、ピッチにはたくさんの笑顔が溢れた。

 この復興支援活動は、神戸市に住む一人の美容師、西山博資氏から始まった。INAC神戸とマイナビ仙台がその活動に賛同し、今年は「復興支援マッチ」として実現した。

 西山氏は1995年に阪神・淡路大震災で被災した。「その時に、全国の人に助けてもらったことで『恩返しがしたい』と思い、災害が起こるたびに被災地に出向き、僕ができることとして避難所での美容カットをしてきました」

 2011年の東日本大震災のときには、一人の少年から「僕たち、これからどうなるの?」と問われた。その言葉がきっかけとなり、西山氏は東北の子どもたちを神戸に招待する支援活動を始める。

「大震災を乗り越え、復興した神戸の街を東北の子どもたちに実際に見てもらうことで、元気になってもらいたい」(西山氏)

 現在、INAC神戸の社長を務める安本卓史氏は、2017年までヴィッセル神戸で常務取締役を務めた人物。もともと交流のあった西山氏から相談を持ちかけられ、子どもたちをJリーグの試合に招待したり、サッカー教室を開催するなど、サッカーを通して西山氏の活動を支援してきた。

「東日本大震災からの復興は、まだまだ道半ばです。時間がかかるし、いろいろな人のパワーが必要になる。私たちは大きな震災を経験した神戸のチームとして、できることは何でも協力していきたい」(安本氏)

 その思いは、選手たちも同じ。マイナビ仙台のGK齊藤彩佳が、選手たちの思いを代弁してくれた。

「マイナビ仙台の前身、ベガルタ仙台レディースは東日本大震災を機に生まれたチーム。ですので、私たちは東日本大震災の記憶を胸に戦っています。すごく苦しい思いですが、決して忘れてはいけないものです。今日の活動も、とても意義のある時間になりました。私たちはサッカー選手で、直接、復興の力にはなれないかもしれないけど、子どもたちや苦しい思いをしている人の“気持ちの面での復興”には貢献できるはず。サッカーを通して、元気や勇気を与えられるように、これからもこういった活動には積極的に参加していきたいと思います」

 神戸と仙台。大震災を経験した街の人たちは強い絆で結ばれている。これからも、支え合いながら復興への道のりを歩んでいく。

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