なでしこの合宿でトレーニングに励む熊谷
パリオリンピック2024(パリ五輪)に向けて8日から合宿をスタートさせたなでしこジャパン(日本女子代表)。チームを率いる池田太監督が、パリへ渡る前のチームの状況や、トレーニングのなかで重視する要素などを語っただけでなく、キャプテンはDF熊谷紗希(ローマ/イタリア)が務めることも改めて明言した。
なでしこジャパンが、パリ五輪に向けた一歩目を踏み出した。合宿地には日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長も激励に訪れたらしく、池田監督は「いよいよ始まるなという感じです」と率直な気持ちを口にする。
チームが始動したなかで、池田監督は改めてキャプテンを熊谷に託すことも明言。6月14日に行われたメンバー発表会見のなかでも、池田監督は「本人と直接話したわけではありませんが、このチームをずっと引っ張ってくれている熊谷にまたチームをまとめてもらうつもりです」と語っていたが、今回は熊谷本人と「意思の確認をした」らしく、その後チーム全員に改めて熊谷がキャプテンを務めることを伝えたという。
池田監督は「これまでも伝えてきたことではありますが」と前置きしつつ、熊谷にキャプテンを託した理由について、次のような言葉で説明している。
「彼女の持っている経験、すべての選手や我々スタッフを含めたチームの全員に対して、フラットなコミュニケーションがとれる能力など、しっかりとしたキャプテンシーを発揮してきてくれました。今までやってきてくれたことに感謝もしています。五輪に向かっていく、そして大会期間中にもしっかりとチームをまとめてくれるようにと、そんな話を本人として、その後選手全員に共有しました」
今回の合宿では「コンディショニングをチェックする部分」に重きを置いているが、池田監督は「前回の活動の時に、(今回の合宿の)初日には対人メニューも含めてボールを使ったトレーニングをして、ある程度の強度を持って進めていくということは伝えていました」と明かす。そのため、現在の選手個々人のコンディションは上々のようで、池田監督も「しっかりとみんな準備をしてくれました」とコメント。「パリはここまで暑くないとは思いますが、暑熱対策は今の段階からできる準備だと思っています」とも話し、着々とパリ五輪に向けた準備を進めていること示唆した。
そして、池田監督個人としても、指揮官として臨む初の五輪となる。2021年10月、なでしこジャパンが東京五輪の戦いを終えた後、池田監督はチームの指揮官に就任。FIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023ではメジャー大会を経験したものの、五輪の舞台は今回が初めてだ。
「いろんなスポーツが行われる五輪で戦えるのは喜びですし、楽しみでもあります」と語る池田監督は、五輪とW杯の違いについて、「中2日で、移動もあるなかで5連戦、6連戦という短期間で大会が行われます。疲労回復の部分も含めて、全員で戦っていく必要があると思っています」と自身の見解を明かす。「どのように準備をしていくのかという部分も含めて、W杯とは異なるアプローチが求められます」と語った。
昨年開催されたW杯では、スペイン女子代表が史上初の優勝を成し遂げた。今大会、なでしこジャパンはスペイン女子代表と同じグループCに組み込まれており、現地時間25日に行われる初陣で“W杯王者”と対戦する。池田監督は初戦に向けて「もちろん、大会に良い形で入っていきたいという思いはあります。相手に対する準備もしっかりやって、良い形で大会に入れれば」と語ったが、大事にしているのは目の前の一戦一戦への準備だという。“一戦必勝”の考え方で過密スケジュールを乗り越えていく覚悟だ。
「どこにピークをもっていくという考え方よりも、一戦一戦を戦い抜くという考え方が大事だと思っています。まずはグループステージ全体を通してどのように戦うのかが大事です」
この後、なでしこジャパンは13日に、石川県の『金沢ゴーゴーカレースタジアム』にて『MS&ADカップ2024~能登半島地震復興支援マッチ がんばろう能登~』でガーナ女子代表と対戦する。こちらの試合は15時20分キックオフ予定で、フジテレビ系列にて全国生中継される。
パリ五輪前最後の“実戦”としてガーナ女子代表と戦った後は、いよいよパリ五輪が開幕。なでしこジャパンは、7月25日(日本時間26日0時00分)に第1節でスペイン女子代表と、同28日(日本時間29日0時00分)に第2節でブラジル女子代表と、同31日(8月1日0時00分)に第3節でナイジェリア女子代表と対戦する。
By サッカーキング編集部
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