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4ゴールで勝利した日本代表のザック監督「全体的に及第点以上」

2014.03.06

日本代表のザッケローニ監督 [写真]=足立雅史

 5日、「キリンチャレンジカップ2014」が行われ、日本代表とニュージーランド代表が対戦。日本は開始17分までに岡崎慎司の2得点、香川真司、森重真人のゴールで4点を奪ったが、その後はニュージーランドに2点を奪われ、4-2で勝利したものの、試合運びに課題を残す結果となった。

 試合後、日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督は以下のようにコメントをしている。

―試合前に、この試合は復習ということで、これまでできたことがどれだけ思い出せるか、ピッチ上で出せるかを目的にしていたが、今日の試合は満足いくものだったか?

「まず、非常に有益な試合だったと思っている。その理由としては、これまで、それほどチャンスのなかったメンバーを実際にゲームで見ることができた。この試合の目的として は、どこまで自分たちのやり方を覚えているのか、また出せるのか。それから、そんなに出場機会の多くなかった選手がどこまでできるのかということが試合の目的としたが、特に最初の25分間は非常に良い我々のプレーができたと思う」

「最初の25分に何が良かったかというと、スピードに乗った技術。それは我々の良さだと思っていて、それが出せたと思っている。それを出してこそ、インターナショナルレベルで渡り合えるのかなと思う。当然、対戦相手の特長としては、我々よりもパワーと走力があったと思う。その後、時に起こることだが、早い時間で4点リードしたことで、チームとしても少しペースを落としてしまったし、選手の中にはけがのことを考えながら、リスクマネジメントをしながらプレーをしたような選手もいたと思う。しかし、チームが本来のプレーを止めてしまって、少し流しにかかった時に、個々の選手がどういった対応でその状況からどう抜け出そうとするのかを観察するためには非常に有意義な時間であった」

「相手よりも得点を取っているうちは良しとしよう。我々のスタイルは、できるだけ多くのゴールを奪いにいくことだと思うが、それを追求しながら同時に失点も減らしていかなければいけないと思う。そのためには、まずは失点を減らそうという気持ちにならなければいけない」

――インターナショナルレベルで使えるかという話題が出たので、2列目の岡崎(慎司)と香川(真司)、本田(圭佑)の3人が、あまりにもポジションが固定されすぎではないかと思う。もっと積極的にポジションチェンジをやればいいかと思うが?

「私の考えとしては、岡崎はあそこのポジションが適正かなと思っている。あそこから相手ディフェンスラインの裏に飛び出す動きに特長があるし、非常に精度が高いものを持っている。本田に関しても、彼の適正ポジションが真ん中のところにあり、真ん中でこそ彼の良いところがでるのかなと。やはりサイドに流れてしまうと、少しその良さが落ちるかなと思う」

「香川と本田の関係だが、2人の距離を近くするのではなく、それよりも本田にはエリア内にどんどん飛び込んで欲しい、ゴール前に走って欲しいという話はした。また香川に関しては、当然トップ下のポジションでも非常に生きることは把握しているが、今晩見たように左のところでも能力を発揮できると思っている。本田は真ん中で相手を背負える、キープもできる、そういう特長を持っている。逆に香川の場合はサイドから中に入ってきて、ゴールの方向を向きながらボールを受けられる。そういった能力が出しやすいというところがあるし、逆に背負って受けるのはあまり得意ではない」

――遠藤(保仁)が後半開始から入り、これで3試合連続で途中出場となりましたが、けがの影響か、戦術的な理由か?

「ほぼ4年間言い続けてきていることだが、もしかしたらまだ信じてくれていないのかもしれないが、やはりフレンドリーマッチというのはある意味でテストの場だと考えている。そういった意味では、他の選手を試す必要があると思っているし、山口(蛍)であったり青山(敏弘)であったり細貝(萌)であったりと、そういったメンバーを使うべきだと考えていて、こういった場を通じてより成長を促し、誰がワールドカップに行くことが相応しいかを選んでいきたい」

―今回はレギュラーでない選手を多く使ったが、その中でインパクトを残した選手はいたのか?

「最初の25分は非常に良い時間帯が続いたということで、当然注意して見ていたが、それ以外の時間帯でも、チームが上手く回っていない時に各々が何ができるのか、どういうリアクションを起こすのかを見るためにも非常に役に立った試合だったと思う。全体的に及第点以上の活躍をしていたと思うし、そういったことは監督にインパクトを与えたのではないかと思う。当然より良い選手、そうでなかった選手もいるが、相対的にはみんな及第点かなと」

「これからワールドカップの最終メンバー発表のタイミングまで試合ができないことは非常に残念だが、この週末から選手たちは各々のクラブに戻って、それぞれの実力をアピールしてくれるだろうと思う。4月の国内合宿を有意義に使っていきたい。何度も言うが、まだワールドカップに行く23人のメンバーは決めていない状況なので、そういった意味では海外組、国内組に関わらず持っている力をアピールして欲しいと思う」

―監督は常々、チームの課題として準備期間が長い時は良いプレーができるが、短い期間だとなかなか上手くいかないと語ってきたが、今回はシングルマッチデーだったが、序盤から良い時間帯を作ることができたと思う。短期間で準備することが上手くなったと捉えられるか?

「良いサプライズではあった。そうなると良いなと思っていたが、まさかあそこまでできるとは思っていなかった」

―今日の試合で満足しているとのことだが、あえて課題を挙げるとすれば何だと感じているか?

「やはりフォーカスしなければならないのは技術力だと思っていて、それこそが日本代表のストロングポイントだと考えている。ただし技術力単体だけではいけない。そこにスピードを加えないといけないと考えている。やはり世界レベルでやるには、スピードに乗った技術力をより出していけるかが大切になってくると思うし、足元足元にならないように、スペースで受けるようなパスを供給しなければいけない。チームとしてダイナミズムのある動きを出していければいけない。そういったことができれば、世界と渡り合えると思う。逆に今日のように、10平方メートル四方で、5分、10分と細かいパスを繋ぎ続けることだけでは何も起こらないと感じる」

「今日と似たような試合で、札幌で行われた韓国戦でも3−0にしてから、我々がペースを落としてしまった。当然、私も皆さんも日本代表の試合を見てきたが、時にウチの出来が非常に良くて相手がいないような試合運びをしていたことも皆さんの頭に残っていることもあると思う。逆に非常に簡単な試合の流れから、急に相手が非常に強い存在になって劇的に試合の流れが変わることも頭の中にあると思う。当然、相手の方が走力であったり、フィジカルで優れていることが多いと思う」

―昨日の会見で、香川や本田は所属チームで苦戦している選手はそれぞれの監督へのメッセージを残すようなプレーをして欲しいと語っていたが、今日の試合でそれを実際に果たせたと思うか?

「特に前半の25分のところは、良いメッセージを発信できたと思う。2人のコンビネーションに関しても、特にその25分では非常にダイナミズムに溢れ、非常に正確で良いコンビネーションが出ていたと思う。あれだけのスピードと高い精度で、コンビネーションやパス交換ができるのは、本当に彼らのストロングポイントだと思う」

――監督はいつも攻撃的なチームスタイルなだけに、失点は自分たちの得点よりも少なければある程度目を瞑ると語っているが、ワールドカップ本大会を戦う中で、隙を作っての失点で貴重な勝ち点をこぼす状況も起こると思う。こういう試合で、しっかり無失点や最小失点に抑えていかないといけないという思いはあるか?

「考え方としては、前半25分のようなペースで攻め続けていれば、逆に相手にチャンスはあそこまで生まれなかったと考えている。当然サッカーの傾向だと思うが、得点を多く取るチームは、その分、失点も多くなりがちで、逆に得点の少ないチームはより失点を少なくしようとすることがサッカーのある程度の傾向だと思う」

「相手よりも多く点を取ることに関して、できるだけ多くのゴールを取って当然失点をしないということで、そういったバランスを見つけることが一番大切だと思うが、うちの失点の形を見ても守備陣が完全に戻っている状態、陣形が整っている状態でやられてしまっているという状況が起こっている。今日の2失点にしても、1失点目はリバウンドが相手のアドバンテージとなって取られた失点で、2失点目に関してもしっかり戻っていたのにやられてしまった。どうせ失点するならば、相手を褒めるような失点が個人的に好ましいとは思っているが、時にウチは集中力を欠いて自分たちのミスしてしまうことも起こっている。その意味で、その注意力のところをより高めていかないといけないと考えている。当然、攻撃的になりすぎてバランスを失ってしまい、それで失点するのが一番嫌だが、まだバランスは崩れていないと思っている。当然、攻守共により成長していかないといけないという思いはもちろん持っている」

「今回は国立競技場での最後の代表戦となった。こうして一時代を築いたスタジアム、歴史的な試合が行われたスタジアムが幕を閉じるのは残念な気持ちであるが、改修された新しくなったこのスタジアムで、クオリティの高い歴史的な沢山の試合が行われることを思っている。当然、そういったことが起これば、イコール日本サッカーが成長し続けることが言えると思う」

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