C大阪に所属する南野拓実 [写真]=Getty Images
文/川端暁彦
3日、日本代表の“国内組合宿”メンバー23名が発表された。7日から2泊3日の日程にて千葉県内で行われる同合宿に名を連ねた23名の中には7人の初選出組を含まれており、非常にフレッシュな顔ぶれとなった。
こういったメンバー発表では、選ばれた人よりも「選ばれなかった人」を思い浮かべていくと指揮官の狙いも見えてくるというもの。国内組の常連選手では、遠藤保仁、柿谷曜一朗、山口蛍、今野泰幸、伊野波雅彦、森重真人、西川周作の7名が選外になっている。この7人については観るまでも(あるいは練習するまでも)ないという判断が下ったのだと思われる。
また駒野友一、中村憲剛を筆頭としてベテラン勢は一人も選ばれておらず、1985年に生まれた北京五輪世代のDF水本裕貴とFW豊田陽平が最年長で、それも招集経験のある選手たち。若手中心の選考となったのも大きな特徴と言える。
個別の選考を観ていくと、国内組の常連3選手が選外となっているセンターバック、そして常連4人が全員海外組のサイドバックが一つのポイントと言えそうだ。サイドバックは内田篤人、センターバックは吉田麻也がそれぞれ負傷離脱しているという状況もある。新戦力と旧戦力が混ざり合うような特徴的な選考となった。
旧戦力では水本、槙野智章、安田理大が久々の復帰となった。戦術理解度という点ではアドバンテージを持っている3人と言えるだろう。また同じく復帰の鈴木大輔は、もともと5番手のセンターバックと見込まれる選手であり、このメンバーの中では一番W杯行きに近いDFかもしれない。
そして初選出7名の内の過半数にあたる4名がこのDFとして選出された。26歳の山下達也、25歳の塩谷司という中堅二人は昨季の段階から日本代表へ推す声が根強くあった実力派のセンターバックだ。山下、塩谷には能力が評価されるまでに時間が掛かり、いったんJ2で力を蓄えてから檜舞台へ進んできた選手という共通項がある。
一方、21歳の昌子源は今季よりセンターバックのポジションを強奪し、首位を走る鹿島で存在感を見せている。ストッパータイプだが、ロングキックの質も高い。23歳の今井智基(通称メロ)は昨季から大宮に大卒で加入したルーキーで、初年度から右サイドバックのポジションを奪い取っていた。アグレッシブなプレーはザッケローニ監督のサイドバックの好みとも合致する。
今回は基本的に1ポジション2名で選出されているようだが、サイドバックは3名(槙野、安田、今井)でセンターバックは5名選ばれた。となると、センターバック5枚の内、誰かがサイドでプレーすることになりそうだ。昌子や水本はサイドバックとしての経験もあるが、塩谷も候補となるかもしれない。「守備を固める際に本来センターバックの選手をサイドに置く」というのは、ザッケローニ監督が過去にもやってきた采配。これまで今野や伊野波が担っていた役目を誰に託すのか注目される。
他のポジションを観ていくと、GKは3人がチョイスされた。かつての常連選手ながら負傷を機に選外となっていた東口順昭が久々に名を連ね、鳥栖の長身GK林彰洋、従来の第3GKだった権田修一と共に選出されている。
MFとして選考されたのは4人。2列目より前の選手たちはいずれもFWとして登録されているので、この4人はボランチの候補だろう。いずれも招集歴のある選手たちだが、柴崎岳は早くからザッケローニ監督に評価されながら、昨年の東アジアカップを体調不良で辞退し、代表定着の好機を逸していた経緯がある。本人も思うところはあるはずで、奮起を期待したいところ。
FW登録は大量8名だが、4-2-3-1システムの3と1の正副選手が選ばれていると思えば、特におかしくはない。まずは豊田に加え、初選出の24歳、川又堅碁が“1”の候補となることは確実。となれば、工藤壮人は右MFの“岡崎ポジション”での起用。同様に初選出の26歳・小林悠も最前線ではなく、この位置での起用と観るのが自然だろう。ドリブラーが配置される傾向の強い左MFには、齋藤学と原口元気という招集歴も豊富な二人が選ばれた。
そして、現状でも本田圭佑のサブが不在となっている注目のトップ下には、まず東アジアカップでも同位置を担った高萩洋次郎が入った。19歳、最年少での選出となった南野拓実も、チームでは主に左MFを担っているが、元々はトップ下タイプ。人数のバランスを考えると、この位置での選出と観ていいのではないだろうか。
合宿はわずか3日間。23名のJリーガーが、ワールドカップメンバー入りの実質的なラストチャンスを与えられた。
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