PK戦後に分かれた勝者と敗者の明暗 [写真]=Getty Images
その瞬間、スタジアム中が大歓声に包まれ、素晴らしい一体感が生まれた。
5日にサルバドールで行われたブラジル・ワールドカップ準々決勝オランダ対コスタリカは、アルイェン・ロッベン、ロビン・ファン・ペルシー、ウェズレイ・スナイデルらタレント豊富な攻撃陣を要するオランダが、前半から圧倒的に攻めまくる。コスタリカもカウンターから数回、決定機を作るが、オランダの勢いは止まらない。特にこの日、際立ったプレーをしていたのは、オランダFWロッベン。得意のドリブルで幾度となくコスタリカ守備陣を切り裂き、決定機を量産した。
しかし、コスタリカは10人で戦ったラウンド16のギリシャ戦と同じく、いや、それ以上の集中力で得点を許さない。イタリア、ウルグアイ、イングランドと同組の“死の組”に入りながら、2勝1分の1位突破、グループリーグ3試合での失点わずかに「1」で切り抜けた守備は、この日も冴え渡った。
特筆すべきはGKケイラー・ナバスのセービングだ。リーガ・エスパニョーラでも指折りのGKに成長した守護神は、シュートの雨をことごとく止めてみせた。また、5バックの奮闘も見逃せない。ディフェンスラインをベタ引きして守るのではなく、勇気を持ってラインコントロールを行い、オフサイドトラップを積極的に仕掛けた。その数、なんと「14」。延長戦だったことを考慮しても、図抜けた数字である。
しかも、コスタリカは単に守備に専念したわけではない。チャンスと見ればカウンターを仕掛け、延長に入っても、決定機を作った。オランダのサポーターも一時は負けを覚悟したはずだ。
PK戦の結果、準決勝へ駒を進めたのは、ルイス・ファン・ハール監督率いるオランダだった。サッカー大国はギリギリのところで精神的な強さ、経験値の違いを見せつけた。だが、スタジアムを埋めた大部分のブラジル人が鳴りやまない拍手を送ったのはコスタリカのほうだった。今大会を通じて感じるのは、スタジアムに来ているブラジル人たちは、ブラジルの試合以外では、ワールドカップという“お祭り”を楽しみに来ている人が多いということ。だから、ウェーブも積極的に仕掛けるし、時にはブラジル・コールや、地元のクラブの応援チャントも遠慮なくやる。
この日も、スコアレスの展開に飽きてきたのか、前半のうちから、ブラジル・コールやネイマール・コールが聞こえてきた。しかし、コスタリカが感動的とすら言える守備で延長に持ち込むと、スタジアムの雰囲気が変わってきた。一つひとつのプレーに大きな歓声が沸くようになってきたのだ。こうなると、スタジアムはもう完全にコスタリカのホーム状態である。コスタリカの良いプレーには大きな拍手と歓声、オランダのミスやファウルには、スタジアム中からブーイングが起きる。そして、冒頭に書いたように、最も大きな歓声と拍手が送られ、スタジアムが一体となった瞬間は、延長後半が終了して、PK戦が決まった瞬間だった。無論、素晴らしくエキサイティングな試合をした両者に対する賛辞のメッセージである。
この試合を観ながら、スタジアムの動きを感じながら、いつしか、日本代表に思いを馳せていた。自分が日本代表に求めているのはこれなんだなと。もちろん、個人的に日本代表にやってほしいと思うサッカーはある。ただ、そういったこと以上に重要なのは、この舞台で日本代表チームが持てる力のすべてを出し切って戦ってくれること。必死に、愚直に、勝利を目指して全力を尽くしてくれること。それが見られれば、感じられれば、自分だけじゃなく、きっとほとんどの人が日本代表を誇りに思える。納得して大会を去れる。
ワールドカップに出場する32カ国の中で、敗れ去らないチームは、当たり前だが、たった1チームのみである。それ以外の31カ国は必ず敗れて大会から去るのだ。だからこそ、大切なのは「去り方」なのだ。今大会で言えば、コスタリカの他にも、ブラジルと激戦の末にPKで敗れたチリ、ドイツ相手に延長まで持ち込んだアルジェリア、コスタリカ相手にPK戦で惜しくも敗れたものの、不屈の闘志を見せたギリシャ、アルゼンチンを延長まで追い詰める堂々たる戦いぶりを見せたスイス、ベルギーと死闘の末に大会を去ったアメリカ、そして史上初となるベスト8進出を果たし、ブラジルと真っ向勝負を演じたコロンビア。こういった国々のファン&サポーターは、自国の代表を誇りに思って大会を去ることができたはずだ。
新生・日本代表には、ぜひとも4年後に誇れる去り方をしてほしい。もちろん、そのためにはここからの4年間を、いかに悔いることのない4年間にしていくかが重要になる。
文=岩本義弘
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