ウルグアイ戦で長友に指示をするアギーレ監督 [写真]=Getty Images
ハビエル・アギーレを評価するにあたり、どうしても不可欠となるのが「継続性」である。日本代表の強化という点で考えるなら、アギーレのみを切り離すのではなく、「岡田武史→アルベルト・ザッケローニ→アギーレ」というシークエンスの中で評価すべきだ。換言するなら、原博実前技術委員長(現専務理事)の考える「継続性」が確認できるか、という部分をきちんと検証しなければならない。その点を踏まえて、この2試合を検証してみたい。
初陣となったウルグアイ戦については、はっきり言って残念な想いでいっぱいであった。負けたのは仕方ない。というより、順当な結果だったと思う。それ以上に残念に思ったのが、ザッケローニ時代に培ってきたポゼッション&パスで崩すサッカーを否定するかのような、ロングパス主体のサッカーに終始していたからだ。ロングパスそのものは否定しないが、原委員長が強調していた「継続性」から程遠い試合内容に思えてならなかった。
しかし次のベネズエラ戦は違った。前半こそ相手に圧倒されていたものの、後半はザッケローニ時代を彷彿とさせるポゼッションとパスワークを(極めて限定的であったが)見ることができた。とりあえずホッとすると同時に、こうした即興性こそが「アギーレらしさ」なのかな、とも思った。アギーレは選手に対して「自分で判断してプレーすること」を求めているが、いい意味での放任主義がプレーの多様性のベースなのかもしれない。
来年1月のアジアカップに間に合うか、という疑問については、アギーレがクラブでも代表でも常に「それなり以上」の結果を残してきたことを重視する。彼は「顧客満足」をわきまえたプロであり、安易な理想主義者ではない。アジアカップのグループリーグでは、パレスチナ、イラク、ヨルダンと対戦するが、日本の立ち位置をシビアに精査しながら対策を立ててくるだろう。換言するなら、このアジアカップが、アギーレのチームマネジメントを測る試金石となるはずであり、ひいては原専務理事の眼力が明らかになるはずだ。
文=宇都宮徹壱
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