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世界への切符獲得まであと一歩…夢破れたU-19日本代表の敗因とこれから

2014.10.18

北朝鮮に敗れ肩を落とすU-19日本代表の選手たち [写真]=Getty Images

 勝てば世界切符奪還というAFC・U-19選手権準々決勝。日本は北朝鮮と戦い、1-1からのPK戦で敗れた。

 立ち上がり早々に北朝鮮のチャンスがあったものの、10分にMF井手口陽介のFKがポストを叩いたあたりからは完全に日本ペースだった。12分、19分、26分、28分、30分と次々にチャンスが生まれる。「僕たちのペースだった」と南野拓実が振り返ったこの時間帯で日本は無得点に終わった。

 敗因を論じるなら、「この時間帯で決めておけば……」ということになるのだが、日本の決定力不足はいまに始まったことではない。そもそも「どんなにチャンスを作っても決まらないことがある」のはサッカーというスポーツの特性だ。好機のあとに必ずめぐってくるピンチをどうしのぐか。その勝負所こそがポイントだった。

 36分、まずはFKからのピンチが生まれ、続けてCKから日本は窮地に陥る。ここで踏ん張れればあるいは未来も変わったかもしれないが、結果はGK中村航輔の連続ファインセーブも虚しく、最後はクリアミスのスキを突かれて先制点をもぎ取られてしまった。

「ミスから失点して、自分たちから苦しい試合にしてしまった」(南野)

 この失点で、日本の流れは終わった。負ければ終わりの試合ゆえに、動揺もあったのだろう。細かいミスが増えて攻撃にリズムが出ない。後半になってもそれは同じで、ビルドアップの単純なパスがズレてしまう様は、観ていてもどかしさすら感じるほど。「悪い時間帯にどう戦うか」を一つのテーマに強化してきたチームだったが、この試合について言えば、悪い時間帯は悪い時間帯でしかなかった。

 74分にFKからようやく生まれた絶好機も逃し、いよいよ敗退も見える流れだった。だが82分、MF金子翔太の強引としか言いようのないドリブル突破に対し、疲れの見えていた北朝鮮DFが対応を誤り、PKの判定が下る。この最高にプレッシャーの懸かるPKを南野が決めて、日本が土壇場で同点に追い付いた。

 こうなると、試合は日本ペース……と言いたいところだったが、ここで日本も体力的な限界が見えてくる。足をつりかけている素振りを見せる選手が続出し、動きの量が増えない。延長に入って一度はネジを巻き直したものの、最後まで北朝鮮ゴールを破るエネルギーは生まれなかった。

 PK戦は、延長に入った時点から露骨に「PK戦狙い」を企図していた北朝鮮が心理的に優位だった。気持ちが急いて先に動いてしまったGK中村が5本すべてを決められ、日本は5番手のキッカーだった南野が相手GKの守備範囲に蹴り込んで、無情の決着。「この代表に特別な想いもあったし、この代表で世界に行きたかった」という南野の思いは届かず、2014年のU-19日本代表は解散となった。

 ただ、これで個々の選手の未来が閉ざされるわけではない。選手たちはそれぞれの所属チームに戻り、それぞれの戦いを始めることになる。世界大会に出る意味は大きいが、世界大会に出られなければ終わりということもないのだ。2014年10月17日に夢破れた日本の若獅子たちが再生し、奮起し、そして成長する姿を見せてくれることを、いまは静かに待ちたい。

文=川端暁彦

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