オークランド戦に出場した本田(中央) [写真]=兼子愼一郎
1月3日からオーストラリアの事前合宿地であるセスノックでの調整に入った日本代表。4日は2014年FIFAクラブワールドカップで3位に入ったオセアニアの雄、オークランド・シティとの練習試合を行った。
18時時点の気温が30度に迫る勢いの暑さの中、今年初の90分ゲームに挑んだアギーレジャパン。ハビエル・アギーレ監督はGK川島永嗣(スタンダール・リエージュ)、DF(右から)酒井高徳(シュトゥットガルト)、塩谷司(サンフレッチェ広島)、森重真人(FC東京)、長友佑都(インテル)、アンカー・長谷部誠(フランクフルト)、右インサイドハーフ・遠藤保仁(ガンバ大阪)、左インサイドハーフ・香川真司(ドルトムント)、右FW本田圭佑(ミラン)、左FW乾貴士(フランクフルト)、トップに岡崎慎司(マインツ)の4-3-3という現時点での最強布陣で勝負に出た。
その意気込みに応えるべく、日本の選手たちは序盤から一気に押し込む。開始早々の香川の決定的シュートに始まり、5分には岡崎のヘッド、10分には長友のクロスに岡崎と本田が飛び込むなど次々と相手ゴール前を脅かす。しかし微妙なズレが生じていたのか、どうしてもシュートが入らず、重く苦しいムードが漂う。それでも33分、遠藤が思い切ったミドルシュートを放ち、これが相手に当たってゴール。ラッキーな形で1点を先制した。
1-0で折り返した後半も同じメンバーが登場。指揮官の本気度が伺えた。が、暑さのせいか運動量がガクッと下がり、相手にチャンスを作られるシーンも増えた。そこでアギーレ監督は後半の15分が経過したところで香川、遠藤、乾を下げて、清武弘嗣(ハノーファー)、今野泰幸(G大阪)、武藤嘉紀(FC東京)を3枚代え。清武と今野は現体制初のインサイドハーフに入り、途中で左右を入れ替えながら、まずまずの動きを見せる。そして終了間際の89分、今野、本田、清武とつながり、精度の高いクロスに岡崎が反応してゴール。2点目を奪ったところでタイムアップの笛が鳴った。やや消化不良感も残ったゲームだったが、最低限の勝利を挙げたことで指揮官も安堵していた。
けれども、無得点に終わった本田は「もう少し、得点、ないしビッグチャンスを増やしたかったというのが本音。普段から一緒にやる時間が少ないし、ミスをしてもいいからトライしていくような要求が必要。練習で動きを見れなければ、試合では絶対に見れない。自分はいい動き出しを増やすことに集中すべきだと思ってるんで、もっとコンディションを上げて、その回数と質を上げていきたいと思ってます」と反省点をズバリ口にした。
確かに本田が右サイドから一気に裏に飛び出しても、いいタイミングでパスが出てこなかったり、ボールが1~2個分ズレていたりする場面は何度か見られた。逆に自らのフィニッシュの精度を欠くことも少なからずあった。ここぞという瞬間に飛び出して今野のクロスにダイビングヘッドを見せた後半63分の決定機などは、絶対に決めたかったが、残念ながらシュートは枠の上。それも最近のミランで9試合連続ノーゴールの影響がどこかで出たのかもしれない。
2011年アジアカップ(カタール)のMVP男としては、こういう千載一遇のチャンスをモノにしてこそ、納得できるはず。自ら課しているハードルを超えるべく、本田は初戦のパレスチナ戦(12日=ニューカッスル)までの残された1週間を最大限、有効活用していくつもりだ。
そんな中でも、右サイドでタテ関係を形成する酒井高徳(シュツットガルト)とのコンビは目に見えてよくなっている。後半などは長友、武藤の陣取る左サイドよりも有効な攻めがはるかに多かった。そういう前向きな材料を生かして、自分らしさをより強く押し出していければ、本田は今シーズンのセリエA序盤戦のようにゴールを量産できるはず。そういう理想像を目指して、セスノックでの日々のトレーニングを明確な成果につなげてもらいたい。
文=元川悦子
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