オリンピック予選に臨むU-22日本代表 [写真]=Getty Images
リオデジャネイロ・オリンピック出場をかけた、U-22日本代表の戦いがまもなく始まる。サッカー王国で行われるスポーツの祭典に、アジアから出場できるのはわずか3チームのみ。若き日本は、6大会連続10回目のオリンピック出場を目指し、27日からのアジア予選に挑む。
予選方式は、ホーム・アンド・アウェーだった前回のロンドン・オリンピック予選から大幅に変更された。今回は、オリンピック予選が第2回AFC U-23選手権を兼ねて実施。オリンピック一次予選にあたるAFC U-23選手権の予選が、今月下旬から始まる。
43の国と地域が参加する一次予選は、各チームを10グループにわけ、リーグ戦を開催。各グループ1位と2位の成績上位5チーム、開催国のカタールを含めた16チームが、来年1月に行われるAFC U-23選手権でもあるオリンピック最終予選に進む。
昨年12月に行われた組み合わせ抽選会の結果、日本はマレーシア、ベトナム、マカオとともにグループIに振りわけられた。グループIは全試合がマレーシアで行われ、日本は27日にマカオとの初戦に臨み、29日にベトナム、31日にマレーシアと戦う。中1日の過密日程をこなしながら、最終予選進出を争うことになる。
シドニー・オリンピック以降、アジア最終予選は常に3グループのリーグ戦だった。各グループ1位にオリンピックの切符を1枚ずつわけ与えられてきたが、今回の大幅な予選方式の変更が、日本にとってどのような影響をもたらすのか。
日本を率いるのは、ベガルタ仙台を鍛え上げた手倉森誠監督。昨年1月にオマーンで行われた第1回AFC U-22選手権、同9月と10月の韓国でのアジア大会はともに1991年以降生まれの選手に出場資格がありながら、リオ世代の1993年以降生まれの選手だけで挑んだ。年上相手の戦いを強いられた両大会ではベスト8で敗退したが、一貫してオリンピックを見据えた強化を図っている。
一次予選の組み合わせ決定後、指揮官は対戦する3カ国について、「予選が開催される時期にマレーシアという地域で試合をしたら、いずれもしぶとそうな印象がある」と口にした。高温多湿という環境もあり、一筋縄ではいきそうもないが、昨年末にタイとバングラデシュ、今年2月にもシンガポールでのアウェー戦を消化。東南アジアにおけるセントラル方式の集中開催に備えてきた。
また、ベトナムは大宮アルディージャなどを指揮した経験のある三浦俊也氏が率いる。日本サッカーを熟知した敵将との対決には、やりにくさがあるだろう。ただ、手倉森監督にとっては「対戦できることが高いモチベーションにもなる」と、士気を高める要因にもなっているようだ。
28年ぶりの大舞台出場を決めたアトランタ世代以降、予選の修羅場を経験した選手たちから、常にA代表に新しい風を吹き込む選手が生まれてきた。川口能活や中田英寿、中村俊輔、大久保嘉人、本田圭佑、清武弘嗣ら、例をあげれば枚挙にいとまがない。厳しい戦いが選手に厚みをもたらしたのか、日本代表という重みが飛躍を促すきっかけになったのか。若き選手たちにとって、大きな成長のかかった戦いが、間もなく幕を開ける。
11日にフクダ電子アリーナで行われるU-22ミャンマー代表戦は、本番前の最終テストと位置付けられる。予選に臨むメンバーで戦うだけに、今後に向けた格好の試金石になりそうだ。
2013年12月、就任会見に臨んだ指揮官は、「強くなるためには勝ちも負けも必要。進むべき道やビジョンを持って、目標をしっかり掲げ、今何をすべきかを落ち着いて冷静に伝え、彼らを育んでいきたい」と口にしていた。
リオ世代の選手たちは、U-20ワールドカップの出場権を逃し、現チームでも年上の相手国に敗れている。流した涙を力に変えるべき勝負が、ついに迫ってきた。
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