国内合宿5日目で合流した香川真司 [写真]=浦正弘
文=元川悦子
6月11日のイラク戦(横浜)と16日の2018年ロシアワールドカップアジア予選初戦・シンガポール戦(埼玉)に向け、1日から千葉県内で行われている欧州組合宿も5日目に突入。前日午後にオフを取った長谷部誠(フランクフルト)ら8人も戻り、午前中は10人で約1時間半のトレーニングを実施した。長友佑都(インテル)と岡崎慎司(マインツ)は相変わらず走る中心のメニューをこなしたが、長谷部らはダッシュ以外に4人1組のパス交換や細かいドリブルからのシュートなどより実戦に近い内容が増えてきた。
そして今合宿初の雨が降り出した午後は本田圭佑(ミラン)と香川真司(ドルトムント)の両エースがついに合流。今回招集された欧州組12人全員がようやく揃った。
午後練からは長友・岡崎も先行組に完全合流。15×15メートル程度の狭いエリアを使った6対3、ペナルティエリアを使った4対4+GK、クロスからのゴールを主とした4対4+GKをこなすなど、戦術的な色合いは確実に増えてきた。「ボールを使った練習でも球際とかをすごく求めてきますし、攻撃側も『とにかく止まるな。パスを出したら動け』と強く要求された。そういう部分が全て監督のやるサッカーに通じるとも言っていた。シンプルと言えばシンプルですね」と長谷部もヴァイッド・ハリルホジッチ監督の求めるものに対して着実に理解を深めているようだ。
そんな10人を横目に見つつ、本田と香川は先行組が初日に取り組んだ約22分間のランニング、タッチラインを18秒・ゴールラインを30秒で走るインターバルトレーニング12本、左回りのゆっくりしたジョギング、体幹強化などをみっちりこなした。練習前には2人がハリルホジッチ監督に呼ばれて7分間直々に指導を受けた。本田は「監督の話?差しさわりのあることばっかりなんで」と報道陣を煙に巻いたが、これまでの合宿の流れや今後の動きの説明を受けたようだ。
今シーズン復帰したドルトムントで尻上がりに調子を上げ、終盤2カ月間に4ゴールをマークした香川はDFBポカール(ドイツカップ)こそ逃したものの、非常にいい形で今回の代表シリーズに参戦してきた。それを象徴するように、初日のハードな走りも余裕の表情でこなしていた。
「みんなも結構きついって言ってたんで、準備はしてきたつもりです。もともと負荷の高いメニューは配られてたんで、準備期間もそれをしっかりやってました。ドルトムントと代表は違いますけど、しっかり集中力とコンディションはキープしたいです。シーズン最後の方はチーム全体がいい意味でのプレッシャーを持ちつつ、楽にできていたところがあったのかなと思います」と本人もドルトムントのいい感覚を代表に持ち込む構えだ。
ハリルホジッチ監督の下でトレーニングするのは3月2連戦以来だが、その時も香川は指揮官のハイレベルの要求に刺激を受けていた。今回、鬼軍曹的なボスニア・ヘルツェゴビナ人監督と再会し、自分たちのやるべきことを改めて考えたようだ。
「(監督から)厳しい要求をされるべきですし、僕たちは世界で勝ててないから。それをホントにストレートに言うんで、できるまでは簡単ではないですし、それはハッキリしてるのかなと。僕たちは厳しい要求っていうのをすごく理解してるし、監督の言ってることがよく分かる。ホントに緊張感はあります。自分はワールドカップを経験して、悔しい思いもして、やっぱりこのチームで長年やらしてもらってますから、自分が引っ張る気持ちは強いです。そういう責任感だったり、メンタル的なものも自分には必要になってくると思ってるんで、その意識をしっかり持って取り組んでいきたいと思います」と26歳になった香川はよりチーム内での存在感を高め、リーダーの1人としてチームをけん引しようと気持ちを新たにした。
まだ19歳だった2008年5月のコートジボワール戦(豊田)での国際A日本代表デビューから7年。香川は日本代表で持てる全ての能力を発揮しきれていない。ここまでの不完全燃焼感を払しょくするためにも、ハリルホジッチ監督率いる新生・日本代表では何としても結果を残すしかない。6月2連戦ではゴールを量産する香川真司をぜひ見たい。
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By 元川悦子