ボールを奪い合う前田直輝(左)と石田雅俊(右) [写真]=川端暁彦
文=川端暁彦
8月26日、西京極総合運動公園陸上競技場にてU-22日本代表は4日間の強化合宿の総仕上げとして、地元の京都サンガF.C.と練習試合を実施した。
先発メンバーにはGK櫛引政敏、DF伊東幸敏、植田直通、奈良竜樹、亀川諒史、MF原川力、川辺駿、野津田岳人、中島翔哉、矢島慎也、FW鈴木武蔵の11名が並んだ。常連組中心の編成ながら、大島僚太と遠藤航の二枚看板を欠くボランチには、広島から磐田へ期限付き移籍中で、今回は追加招集だった川辺が抜擢された。
対する京都は疲労のある主力選手を休ませたものの、DF菅沼駿哉、石櫃洋祐、MF駒井善成、磐瀬剛といったレギュラー格の選手が先発し、FW大黒将志、MFキム・ナミル、DF山口智といった経験豊富な元日韓代表選手たちも顔をそろえるラインナップ。腕試しをするには地力十分な相手との試合となった。
ただ、いざ試合が始まってみると、日本は攻守に噛み合わないシーンが目立つ。「監督からは『いつポゼッションするのか、いつ速く攻めるのか』の判断について言われていたけれど、それができていなかった。速く攻めすぎてしまった」とMF矢島慎也が嘆いたように、奪ってから縦への速い攻撃を意識する余りのボールロストが頻発。前半15分までに鈴木が2度の好機を逸してからは、チャンスらしいチャンスを作れずに苦しんだ。
逆に41分、京都の左DF下畠翔吾のクロスボールからFW大黒将志がヘッド。これはポストを直撃したが、こぼれ球を抜け目なく押し込まれて先制点を許してしまった。これには手倉森誠監督も「大黒は何回も動き直して、オフ・ザ・ボールで駆け引きをしてくる。若いDFにとって元代表FWにああして“やられた”ことは大きい」と素直に脱帽。Jリーグの歴史に名を刻むベテランFWに代表DF陣がレッスンを受ける形となった。
日本は後半から7枚を変更。FW金森健志、杉本竜士、前田直輝、MF宮原和也らをピッチに送り出す。対して京都はほぼ全員を交代し、U-18所属の高校生3名(FW沼大希、MF荻野広大、DF麻田将吾)を含むフレッシュな陣容となった。
後半は開始早々の47分にFWフェホのクロスからFW石田雅俊に決められるという日本にとって最悪のスタートとなり、以後も攻撃の形がなかなか作れない。61分にFW鎌田大地が投入され、65分には反転からのシュートで相手GKを脅かしたが、連係の噛み合う攻撃はなかなか見られない。その辺りは前田直が「互いに『見なくても走り出せるような関係』にはなれていない。足元で欲しいのか、スペースで欲しいのか、ワンタッチなのかツータッチなのか。そういう部分を理解していかないと」と言ったとおり。
このまま試合が終わっていれば反省ばかりの試合となるところだったが、88分にようやく反撃が実る。宮原が左サイドに出したボールで鎌田がスペースを突いて、ファーサイドへ折り返す。走り込んだ前田直が見えていたという完璧なクロスに前田直がキッチリ合わせて、見事なゴールが生まれた。
「ゴールに絡んだ前田直と鎌田はこの世代に新たなチャンスをもたらしてくれる選手だと感じた」と手倉森監督も納得の得点は単発に終わったものの、ゴールを狙った姿勢が噛み合ったもので、この試合における収穫となった。ただ、京都との一戦が「いろいろなものがすべて足りない」(手倉森監督)ことを露呈する試合内容となったのも確かな事実。来月以降も月1回のペースで集まり、来年1月のAFC・U-23選手権(リオ五輪アジア最終予選を兼ねる)を目指すことになるが、残された時間はそう多くない。
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