最終予選でオーストラリアらと同組となった日本代表 [写真]=Getty Images
2018 FIFAワールドカップロシア アジア最終予選の組み合わせに、思わず口もとをほころばせた国はどこだろう。
日本はグループBに振り分けられ、オーストラリア、サウジアラビア、UAE、イラク、タイと同居することになった。
最終予選からロシアW杯へ到達するには、ふたつのルートがある。
グループ内の上位2カ国を確保するか、3位となってプレーオフに臨みをつなぐのか、である。
オーストラリアと日本は、ストレートインでの予選突破を想定しているはずだ。それだけでなく、首位でのロシア行きを狙っているだろう。残り4カ国はどうか。
1990年代から2000年前半までアジアの強豪として君臨したサウジアラビアは、2006年のドイツ大会を最後にW杯から遠ざかり、アジアカップでも2011年、2015年とグループステージ敗退が続いている。先のリオデジャネイロ・オリンピック アジア最終予選でも、淡白な戦いぶりでベスト8入りを逃した。
UAEは15年のアジアカップで、久しぶりに好成績を収めた。リオ五輪アジア最終予選でも、準々決勝でイラクと印象的な戦いを演じている。
アジア最終予選でUAEを退けたイラクは、日本、韓国と並んでリオ五輪へ到達した。23歳以下では最強とも言われる世代が、五輪を経てロシアW杯へ挑んでくる。
サウジに比べると、UAEとイラクのほうが厄介な印象がある。ただ、2次予選のサウジは、UAE相手に1勝1分の成績を残した。
イラクとタイも2次予選で対戦した。こちらは2引き分けである。
4カ国の力関係を見定めにくい結果が並ぶものの、難しく考えることはない。グループBは「2強+4カ国」の構図だ。日本とオーストラリアを除く国々は、激しい潰し合いを演じるに違いない。
そのなかで、彼らはどのようなプランを描くのか。
相手側の心理に立ってみる。オーストラリアか日本のどちらかから、勝点をもぎ取ろうと考えるだろう。それこそが、4カ国のサバイバルから抜け出す最良の一手だからだ。
日本のホームゲームは、2次予選に引き続いて「サッカーとは遠いゲーム」になるかもしれない。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督と選手たちは、負けないことをひたすらに追求する相手から、どうやってゴールを奪うのかという課題を突きつけられる。
それだけに、9月1日の初戦が重要だ。ホームのUAE戦である。
2次予選で思いがけず苦しんだのは、シンガポールとの初戦にきっかけがあった。攻めて、攻めて、攻め立てた末のスコアレスドローは、その後の戦いに大きな影響を及ぼした。
初戦でつまずいた日本は、負の記憶を引きずった。一方のシンガポールは、ささやかなものだった自信、希望、野心といったものを膨らませていった。シンガポールだけではない。アフガニスタンも、カンボジアも、シリアも、日本から勝点を奪えるかもしれないとの思いを抱くことができた。
最終予選で対戦するサウジアラビア、UAE、イラク、タイも、2次予選の相手と同じように日本をリスペクトしているだろう。ただ、2次予選の相手に比べれば、チームとしても個人としても経験がある。何よりも、ストロングポイントを持っている。一発を秘めた「個」を抱えているのは、2次予選の相手との大きな違いだ。
それだけに、初戦が重要なのだ。「日本は強い」とか「日本のホームで勝つのは不可能だ」と思わせるような試合を、9月1日に見せつける必要がある。UAEをしっかりと仕留めることで、その他の国々にもプレッシャーをかけるのだ。
おそらくUAEは、2015年1月のアジアカップで日本に勝利した成功体験を、改めて磨き上げていることだろう。監督のマフディー・アリはかつての代表選手で、2012年のロンドン五輪予選を勝ち抜いた実績を持つ。簡単な相手ではない。
ロシアW杯へ向かって、一直線に突き進んでいけるのか。凹凸の激しい悪路にハマってしまうのか。振り返ればブラジルW杯の最終予選も、序盤の戦いぶりがすべてを決定づけている。
文=戸塚啓
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By 戸塚啓