試合終盤にPKをストップしたGK川島永嗣 [写真]=三浦誠
苦難を乗り越えてのスタメン復帰で、守護神が気迫のセーブを見せた。
3日に行われたキリンカップサッカー2016でブルガリア代表に7-2で勝利した日本代表。GK川島永嗣(ダンディー・ユナイテッド)は、昨年6月16日に行われたロシア・ワールドカップ アジア2次予選のシンガポール戦以来、約1年ぶりの先発でフル出場を果たし、PKストップを含むファインセーブでチームを救った。
昨夏にベルギーリーグのスタンダール・リエージュを退団した川島は今年1月まで半年間にわたって“浪人生活”を送っていた。その間、日本代表には招集されず、年明けになってようやくダンディー・U入りを果たしたが、3月シリーズで日本代表に合流しながら出番はなし。今回、苦況を乗り越えてようやく先発復帰したことで、「家族を含めて、本当に多くの人たちに支えられてピッチに戻ってくることができた」と周囲のサポートに感謝の意を表した。
久々に立つ代表のピッチ。だが、経験豊富な守護神は「自分が成長するために何ができるのかを体に常に染み込ませて過ごしてきたつもり」と一年間の取り組みに自信を持って臨んだ。
最初の見せ場は22分に訪れた。相手の右クロスをディミタル・ラングロクに合わせられるも、至近距離からのヘディングシュートを左手一本で弾き出した。あわや同点というピンチを救った川島のセービングで流れに乗った日本代表は、そこから立て続けに加点。一気に試合を決めた。
さらに試合終了間際の89分には、再び左手一本で今度はPKをストップ。「最初は右利きの選手が蹴るかと思っていたんですけど、左利きの選手に変わったので最後まで我慢して向こうに飛ぼうと思いました。タイミングも合ったので良かった」と横っ飛びでのビックセーブを振り返った。
それでも決して満足はできない。チームのミスから招いた2失点に「厳しい試合になってきた時こそ、1点の重みが本当に結果につながってくる」と反省を忘れない。
この日は2015年12月に生まれた長男が代表戦を初観戦。「もっと多くピッチに立つ姿を子供に見せていきたい」と父親としての決意を胸に今後の意気込みを口にした。
ようやく代表の晴れ舞台に戻ってきた川島が、自信を支えてくれた家族と周囲のサポートに度重なるビックセーブで恩返しを見せた。
文=武藤仁史
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By 武藤仁史
元WEB『サッカーキング』副編集長