キリンカップ決勝で逆転負けを喫したハリルジャパン。海外組を含めたフルメンバーでの代表戦は初黒星となった [写真]=三浦誠
9月から始まるアジア最終予選に向けて、“第二段階”に突入したハリルジャパン。欧州の強豪国を相手に、これまで積み上げてきたものを試すと位置付けたキリンカップサッカー2016を準優勝で終えた。
7日のボスニア・ヘルツェゴヴィナ戦で喫した痛恨の逆転負けで課題を露呈した日本代表は、最終予選を勝ち抜くために個々のさらなる成長が求められる。しかし、その一方で大きな問題を抱える危険性をはらんでいる。それは来シーズンの去就について不透明な選手が多いことだ。
例えば、昨夏から無所属が続いたGK川島永嗣(ダンディー・ユナイテッド/スコットランド)に対して、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「残念ながら(所属)クラブを見つけられていなし、長い期間プレーもしていない」と実戦不足を理由に代表招集を見送ってきた過去がある。約9カ月間代表から遠ざかった川島は、3月シリーズでメンバー入りを果たし、先日のブルガリア戦でようやく先発復帰を果たしたばかり。長く苦難の時期を味わった。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は各選手に所属クラブで「先発を奪え」と常に要求してきた。それはチームの中心選手であるFW本田圭佑(ミラン/イタリア)とMF香川真司(ドルトムント/ドイツ)に対しても変わらない。指揮官には「どのようなトレーニングも試合には勝らない」という考えが根本にある。出場時間が短かった選手には電話をかけ、「個人のトレーニングをすぐにしろ!」と試合と同じ負荷の練習を求めるほどだ。
また、移籍がうわさされるのは、海外組だけではない。FW宇佐美貴史(ガンバ大阪)やFW浅野拓磨(サンフレッチェ広島)らの海外挑戦も一部で報じられている。もし実現すれば、これもまた大きく困難なチャレンジとなるだろう。
最終予選の初戦は9月1日。契約満了を迎える選手や、チーム事情から出場機会を求める選手の“移籍ラッシュ”が起こる可能性は高い。新しいチームでレギュラーポジションを確保し、コンスタントに試合出場を重ねるのは決して容易ではない。最終予選に臨む日本代表だが、状況によっては選手たちの去就が最終予選の戦いを左右しかねない。いわば、9月時点での総合力は未知数ということだ。ここで今夏に“動き”がありそうな海外組を一気に整理してみた。果たして彼らは新シーズン、いかなるユニフォームをまとってピッチに立つことになるのだろうか。
■川島永嗣(ダンディー・ユナイテッド/スコットランド)
2015-16シーズンの成績:16試合出場
噂される移籍先候補:-
契約延長のオファーがありながら、「世界の基準でGKとして成長したい」と2014-15シーズン限りでスタンダール・リエージュ(ベルギー)を退団。新たな所属クラブを求めたがなかなか決まらず、ダンディー・Uへの加入が正式決定したのは昨年12月だった。
今年1月2日に開催されたダンディーとのダービーマッチで新天地デビューを飾った川島は、コンスタントに出場を重ねた。しかし、チームの窮地を救うことはできず、21年ぶりの2部降格が決定。それに伴い、クラブは今シーズン限りで契約満了となる8選手を放出することを正式発表した。今シーズン終了までの契約で加入した川島の名前はなかったものの、去就は不透明だ。
5月末の帰国後、「去年のような浪人生活はもうやりたくないですね」と冗談交じりに苦笑いを浮かべたが、「現状はそんなに変わっていないです。来シーズンに関してはこれからの動きになります」と説明している。戻ってきた代表戦のピッチに立ち続けるためにも、度重なる“空白期間”は作りたくないところだ。
■吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
2015-16シーズンの成績:20試合出場/1得点
噂される移籍先候補:名古屋グランパスなど
プレミアリーグ4年目は厳しいシーズンだった。ロナルド・クーマン監督が熱望して獲得したオランダ代表のDFフィルヒル・ファン・ダイクが加入したことで、今シーズンも激しいポジション争いに巻き込まれた。リーグ戦は20試合の出場に留まり、そのうち先発は半分の10試合。不慣れな右サイドバックで起用されることも多く、消化不良でシーズンを終えた。
サウサンプトンは来シーズンのヨーロッパリーグ出場権を手にしているが、出番が確約されているわけではない。吉田自身は「シンプルに試合に出たいだけ。年齢的にも一番いい時期をベンチで過ごしたくない」と本音を吐露しており、常時試合に出場できる環境を求めている。一方でサウサンプトンとは2018年まで契約を残している。愛着のあるクラブに残留するのか、それとも新天地でのチャレンジを選択するのか、決断を迫られている。
■酒井宏樹(ハノーファー/ドイツ)
2015-16シーズンの成績:26試合出場/1得点
噂される移籍先候補:オリンピアコス(ギリシャ)
ブンデスリーガ2部降格が決まったハノーファー。今シーズン限りでクラブとの契約が満了する酒井宏は、キリンカップに先駆けて海外組だけで行われた事前合宿(5月24〜29日)で「たぶんハノーファーにはいないと思います。自分にとって、『ここでやりたい』というクラブと契約したい」と移籍を明言。「ドイツにはこだわっていません。上のチームを探しているし、全世界をターゲットにしています」と新たな国で挑戦する覚悟を決めている。
もちろん、UEFAチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグ出場への意欲はある。だが、「本当に興味を持ってくれて、それが現実的なオファーとなり、しっかりとした契約ができればいい。早く決まればいいと思いますけど、フリーなので最後まで悩みたい」と冷静に語る。ステップアップできるクラブはどこなのか。限られた期間の中で、自分に合った移籍先を模索していくようだ。
■長谷部誠(フランクフルト)
2015-16シーズンの成績:32試合出場/1得点
噂される移籍先候補:-
ヴォルフスブルクとの開幕戦で長谷部が立っていたのは、ボランチではなく右サイドバックだった。ユーティリティ性と守備力を評価され、アルミン・フェー監督体制下ではサイドバックでの起用が中心。ボランチで出場することもあったが、第22節のハンブルガーSVでは左サイドバックに入るなど、ポジションが定まらないことにもどかしさと焦りを感じていた。
代表ではキャプテンを務め、ハリルホジッチ監督にはボランチとして厚い信頼を受ける。「真ん中だと360度から相手が来る。頭の切り替えが必要」と代表に戻ってくるたびに危機感を募らせた。状況が変わったのは今年の3月。降格圏内のチームを立て直すべく、ニコ・コヴァチ監督が就任すると、長谷部はボランチに定着する。“本職”に戻ったことで、徐々に調子を上げていった。
長谷部とフランクフルトとの契約は今シーズン限りで満了。一部報道によると、入れ替え戦を戦うことになったため交渉は中断したが、すでにクラブ側は契約延長の結論に至っているようだ。クラブ首脳陣からの信頼も厚い長谷部。1部残留を決めたことで契約更新のオファーが濃厚になったものの、フリーで移籍することができるのも事実だ。長谷部本人はさまざまな可能性を検討する考えを明かしている。
■山口蛍(ハノーファー)
2015-16シーズンの成績:6試合出場/0得点
噂される移籍先候補:トラブゾンスポル(トルコ)
ブンデスリーガ1年目は苦難のシーズンになった。今年1月にセレッソ大阪から移籍したが定位置を確保できず、日本代表に合流した同3月のシリア戦で鼻骨骨折と左眼窩底骨折で離脱。失意のままシーズンを終えた。
ハノーファーとは2019年までの契約を結んでおり、クラブ側も手放すつもりはないという。しかし、チームが2部に降格することもあり、山口が移籍を選択する可能性はないとは言いきれない。ハリルホジッチ監督は「とにかくドイツに残ってやったほうがいい」と伝えたようだが、事前合宿に参加した山口は「何もまだ分からない。自分でしっかりいろいろと考えて、決断したい」と明言を避けた。
■清武弘嗣(ハノーファー)
2015-16シーズンの成績:21試合出場/5得点
噂される移籍先候補:セビージャ(スペイン)、ヘルタ・ベルリン(ドイツ)
清武は「10番」を託された今シーズンを、「この2年間はすごく充実した時間だった。この一年は10番を背負わせてもらって、すごく良かった」と振り返る。2度の負傷離脱がありながらも自己最多となるシーズン5ゴールをマーク。7つのアシストを記録した。
昨年6月の日本代表合宿中に右足第5中足骨を骨折し、合流したのは第4節とやや出遅れたが、復帰すると絶対的司令塔としてチームをけん引。しかし、同9月に再び同中足骨を骨折し、エースを欠いたチームは下降線をたどった。清武が2度目の復帰を果たしても負の勢いを止めることはできず、2部降格が決定。ハノーファー側は慰留する方針を示しているが、移籍が濃厚と見られている。
ハリルホジッチ監督は「能力は本当に高い。代表に多くのことをもたらせる」と絶賛する。キリンカップのブルガリア戦では、MF香川真司(ドルトムント/ドイツ)と同時に先発起用され、同ボスニア・ヘルツェゴヴィナ戦ではトップ下で試された。9月から始まるアジア最終予選を戦う上で、欠かせない存在になることは間違いない。清武は移籍について「まだハノーファーとの契約がありますし、そこは代表が終わってからですね」と話すに止めたが、国内外で彼の移籍に関する報道が相次いでいる。しばらくは彼の動向から目が離せない時期が続きそうだ。
■本田圭佑(ミラン)
2015-16シーズンの成績:30試合出場/1得点
噂される移籍先候補:レスター(イングランド)
今シーズンも苦しい一年だった。序盤は新任のシニシャ・ミハイロヴィッチ監督からトップ下を任されたが、思うように結果を残せず。昨秋にはクラブ批判騒動を起こしたことで、出場機会を失う時期もあった。システムが4-4-2に変更されると、右サイドハーフでの起用が増加。献身的なプレーとアシストで指揮官の信頼を再び取り戻し、チームも公式戦で12試合連続の無敗を記録した。
しかし、今年の3月から再び雲行きが怪しくなる。成績低迷を受け、ミランはミハイロヴィッチ監督を解任。クリスティアン・ブロッキ監督をプリマヴェーラ(下部組織)から内部昇格させた。一度はスタメンを外れされたものの、チームのために走り回る献身性を評価されてポジションを奪回。終盤は孤軍奮闘して評価を高めた。
直近の現地報道では、2020年6月まで3年間の契約延長オファーが出される見込みだという。だが、在籍2年半で4度の監督交代を経験し、かつての黄金期を忘れてしまうほど、体制の安定しないシーズンが続いている。また、水面下ではインテルに続いて中国企業への売却交渉が進んでおり、クラブの行く末は不透明だ。来シーズンもミランの背番号10を背負うのか、それとも新天地を求めるのか。日本代表エースの決断が注目される。
※データ、移籍先候補は2016年6月8日現在のもの
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By サッカーキング編集部
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