4日ぶりにピッチに姿を見せたMF大島僚太(中央) [写真]=JFA
リオデジャネイロ・オリンピック日本代表のアラカジュ合宿打ち上げとなる28日は朝からあいにくの雨。小雨になったのを見計らって、予定どおり集合写真を撮ったチームは、いつもと同様にランニングからトレーニングをスタートした。
前日がC.S.セルジェッペとの練習試合だったことを受け、午前中に組まれたトレーニングは終始、軽めのメニュー。ストレッチ後に8対2のグループを二つ作って、それぞれが“鳥かご”でボール回しを行った。
普段の練習中は静かなことが多いチームには珍しく、笑い声やはしゃぎ声が響く。さらに8対2のまま、ふたり一組で手を繋いでの“鳥かご”に移行。外側を取り囲む攻撃側の4組のペアは、手をつなぎながらだろうと苦もなくボールを動かすが、大変なのは中に入る守備側のペアだった。ボールを回され、揺さぶられるたびに手がねじれたりして、なかなかボールが奪えない。それでも一方のチームは攻撃と守備が頻繁に変わっていたが、もう一方のチームでは遠藤航(浦和レッズ)と櫛引政敏(鹿島アントラーズ)のペアはなかなかボールを取れず、しばらくずっと中で守備をやっていた。
この日の全体トレーニングは1時間15分程度。チームが最初のランニングを終えた後、一人だけ異なるメニューを始めた選手がいる。発熱のため、3日間ホテルで静養を取っていた大島僚太(川崎フロンターレ)だ。前日の練習試合はベンチから見届けたものの、出場機会はなし。メディア対応も行われなかった。
体幹トレーニングをしたり、両ペナルティエリア間をランニングしたり、ボールを使ってなまった体を動かしたりと、コンディションの回復に努めた。
「ようやく外の空気が吸えたっていう感じです」
取材対応の場に5日ぶりに姿を現した大島が笑みを見せる。部屋にしかいられないので、とにかく服薬と就寝の繰り返し。食事もチームとは別だったため、チームメイトには会えず、たまに一人で食事会場に向かう際に廊下ですれ違うだけ。症状としても3日間ずっと微熱だったため、食欲もあり、時間を持て余していたという。
「友達と連絡を取ったり、動画を見たりしていました。基本、映画を見ていたんですけど、映画も立て続けに見ると気持ち悪くなっちゃって。だからたまにお笑いとかも見たりして」
30日に予定されているブラジル戦での復帰を目指して焦るのではなく、まずはしっかりコンディションを整えるのが先決だという。
「みんなは一試合やったぶん、連係のことだったりの話をしているので、そういうところで自分が出遅れないように。しっかり治して合流して、リズムを合わせていきたいと思います」
大島の復調は心強い限りだが、彼と入れ替わるように岩波拓也(ヴィッセル神戸)が発熱と下痢を訴えてこの日の練習を欠席した。前日のセルジェッペ戦の62分に途中交代したのも、体調不良を訴えてのことだった。手倉森誠監督が言う。
「こっちに来てから下痢気味だったんだけど、少し調子が戻ってきて、体重も少し戻ってきたからフル出場させようと思っていたんだけど、ゲーム中に吐き気をもよおして、終わったあとにも熱があったようで」
心配される岩波の病状だが、昼には平熱に下がり、昼食からチームに合流したようだ。
アラカジュ合宿を打ち上げたチームは、ブラジルとの親善試合が行なわれるゴイアニアを目指し、午後の便でまずはブラジリアに向かった。便の本数が限られているため、多くのメディアも同じ便での移動となった。
選手たちは機内で音楽を聞いたり、ゲームをしたり、映画を見たり、思い思いに過ごしていた。座席はおそらくランダムのようだから、大きな意味はないのだろうが、植田直通(鹿島)と塩谷司(サンフレッチェ広島)が並んで座っているのを見ると、守備におけるすり合わせでもするつもりなのだろうか、と想像してしまう。
2時間後、飛行機は無事、ブラジリアに到着した。報道陣は別の飛行機に乗り換えてゴイアニアに向かったが、チームは陸路に切り替えて移動した。
本番前最後のテストマッチとなるブラジル戦は30日午後4時30分(日本時間31日午前4時30分)にキックオフ。それが終われば、いよいよ8月4日(日本時間5日午前10時)に北部マナウスでナイジェリアとの初戦を迎える。
文=飯尾篤史