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【コラム】豪州攻略へ、カギは右のトライアングル 岡崎・本田・香川トリオの復活も?

2016.10.10

オーストラリア戦での活躍に期待がかかる(左から)岡崎、本田、香川 [写真]=Getty Images

 2018 FIFAワールドカップロシア アジア最終予選B組暫定4位という苦境から這い上がるために、是が非でも勝ち点を確保しなければならない11日のオーストラリア戦(メルボルン)。その大一番を翌日に控え、日本代表は試合会場となるドッグランズスタジアムで10日17時半から公式練習を行った。

 6日のイラク戦(埼玉)直後から3日連続でトレーニングを回避した岡崎慎司(レスター)がこの日から合流。最初のランニングから全メニューを消化した模様で、一転して試合出場の可能性が出てきた。絶対に落とせない重要なゲームだけに、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は彼を含めて誰を送り出すか、大いに頭を痛めているに違いない。

 守備陣を予想すると、まずGK西川周作(浦和レッズ)の連続先発は確実で、最終ラインは右から酒井高徳(ハンブルガーSV)、吉田麻也(サウサンプトン)、森重真人(FC東京)、槙野智章(浦和)という顔ぶれになりそうだ。左は太田宏介(フィテッセ)も考えられるが、やはり相手の高さと強さを踏まえると、DF本職の槙野が必要だろう。そしてボランチは相手のタフなフィジカルを考えると、山口蛍(セレッソ大阪)、長谷部誠(フランクフルト)というコンビがベストチョイスと見られる。

 問題は攻撃陣の方だ。定石通りならイラク戦のいい流れを踏襲して右に本田圭佑(ミラン)、トップ下・清武弘嗣(セビージャ)、左に原口元気(ヘルタ・ベルリン)、最前線に岡崎という並びで行くだろう。しかしながら、3日間休んでいた岡崎をいきなり先発させるのは、やはりリスクが高い。となると、1トップの先発には浅野拓磨(シュトゥットガルト)が繰り上がるのが普通の考え方。だが、マシュー・スピラノヴィッチ(杭州緑城)とトレント・セインズベリー(江蘇蘇寧)の長身センターバックコンビとの対峙を踏まえると、日本人屈指の強さを誇る本田を前に上げるという秘策もあり得る。そこは指揮官の判断次第だろう。

 その最前線の選手起用によって、2列目も変わってくる。最終予選2戦連発中の原口の左サイドは確定と言えるが、トップ下と右サイドは極めて流動的だ。1トップが浅野であれば、トップ下に清武を置いて右に本田という構成が有力だし、1トップが本田なら、トップ下に清武、右サイドに浅野という配置が考えられる。

 ただ、香川も試合前日の取材対応で目をギラつかせるほど闘争心を前面に押し出している。コンディション的にもイラク戦より上向いているのは間違いないため、ハリルホジッチ監督が満を持してトップ下で先発起用する可能性もゼロではない。その場合は右に清武が移動してダブル司令塔のような形も採れるし、浅野を置いて前に走らせることも可能だ。岡崎が強硬先発するなら、トップ下・香川、右の本田という3枚看板が復活するかもしれない。彼らもイラク戦ではロンドン五輪世代に主役の座を持っていかれたため、今回は黙っていられないという思いも強いはずだ。

 いずれにせよ、右サイドのトライアングルの多彩な選択肢の中から指揮官がどれを選ぶのかによって試合の行方は大きく変わる。実際、オーストラリアは左サイドの守備に弱点を抱えている。6日のサウジアラビア戦(ジェッダ)でも開始早々にこのサイドをえぐられ、マイナスのクロスから1失点目を喫しているのだ。

「サウジの試合も見ましたけど、右で崩してゴール前にクロスを入れるんじゃなくて、裏を選択して深い位置まで切りこんだ時にマイナスが利くと思う。単調にサイドに行ってクロスを上げるんじゃなくて、いったん裏を狙って起点を作って引きつけてっていうのは1つ手段になる。相手は体も強いし、クロスに対しては跳ね返す技術もあるんで、そういうひと工夫が利くと思います」と岡崎も右からの打開ポイントを説明していた。そういう臨機応変な判断をチームとしてできるかどうかが、先にゴールを奪うための絶対条件と言っていい。

「4年前の(2014年ブラジルW杯)最終予選の時も、前半立ち上がりからすごく相手に押し込まれて、ケーヒル(ティム・ケーヒル=メルボルン・シティ)中心にロングボールでうまく起点を作られて、ホントに厳しい戦いだったなと振り返っても感じました。(ハビエル・)アギーレさんの時にも1回やりましたけど、彼らのスタイルはポゼッション含めて変わりつつある。そういう中、明日はより厳しい戦いが続くと思います。チームとしてどれだけ攻守において彼らよりハードワークすることを90分間やり続けられるかがキーになりますね」と香川も劣勢の時間帯が多いことを覚悟していたが、それでもじっと耐えて、攻略すべきところを徹底していくことが、オーストラリア戦アウェー初勝利につながるはずだ。ここは日本代表の総力を結集して、3ポイントをもぎ取るしかない。

文=元川悦子

By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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